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トイレの壁に手をつかせて後ろから襲い、床には血が…女子高生(18)に20回以上の性加害をした男性の“情けなすぎる自慢話”とは「俺の親は公務員で力がある」

文春オンライン / 2024年7月20日 10時50分

トイレの壁に手をつかせて後ろから襲い、床には血が…女子高生(18)に20回以上の性加害をした男性の“情けなすぎる自慢話”とは「俺の親は公務員で力がある」

被害を告白するマサミさんと母親

 2022年8月から、三重県の私立高校3年生に通うマサミさん(仮名、当時18歳)が、同級生の男子生徒A(当時18歳)から何度も同意のない性行為をされていたことがわかった。少なくとも20回以上の被害があり、受験を直前に控えた時期だったが何も手につかなくなるなど、精神的に追い込まれていたという。マサミさんに何が起きたのか。本人と両親に話を聞いた。

状況が一転したのは交際1カ月の“記念日”だった

 マサミさんとAが交際を始めたのは高3の7月中頃だった。2年生のときに同じクラスになり、3年生ではクラスが分かれたが何度も告白を受けて交際に至ったという。

「毎朝、お互いの家から学校へ行く合流点にあるコンビニで待ち合わせて、一緒に自転車で学校へ行っていました。私が先にいることも、Aが先にいることもありました。帰りもそこで別れたり、自宅まで送ってもらったこともあります」(マサミ)

 登校する道は狭かったため並んで会話をすることはなく、自転車置き場から教室に向かう途中で話をする程度だった。毎日ではないが、学校の食堂で一緒に昼食を食べることもあった。

「クラスが違うので、休み時間に会ったらしゃべる感じ。暑い時期だったので、夏休み中に一度名古屋に行ったくらいで、遠くに遊びに行こうという話にはならなかったですね。何をするというのもあまりなかったです」(マサミ)

 部活などもあり遠くに遊びに行くことはほぼなかったが、8月の誕生日にはAがマサミさんの家を訪れ、プレゼントを渡したという。一見通常の交際に見えるが、状況が一転したのは交際1カ月の“記念日”だった。

 Aに「記念の写真を撮ろう」と言われ、マサミさんは夜、花火をしに近くの公園へ行った。公園は自宅から徒歩約7分の距離にある。

 マサミさんがのちに母親にした証言内容によると、真っ暗なトイレに入るとAはマサミさんに、トイレの壁に「手をつくように」と言い、体を後ろから押さえつけた。「嫌だ」と言っても、Aはやめなかったという。このトイレは道路にも面し、車の通りもある。Aはマサミさんが着ていた高校の体操服や下着を下ろすと、無理やり性行為に及んだ。

「痛い、やめて」と抵抗しても「全然、聞き入れてくれなかった」

「痛い、やめて」と抵抗しても、Aは行為を続けたという。「全然、聞き入れてくれなかった」とマサミさんは振り返る。トイレの床に血が飛び散りショックを受けたが、マサミさんが自ら水を汲んで流した。その日から3日ほど出血が続き、腹部や局部に痛みを感じ、椅子に座るのが難しかった。

「どれだけ『嫌だ』と言っても聞いてくれませんでした。その瞬間、何を考えていたかはあまり覚えていません。嫌だけど、我慢しなきゃと思っていた気はします。当時からこれは被害だと思っていましたが、それを親に言う勇気はありませんでした。大学の推薦があったので、問題を起こすと推薦がもらえなくなると思い、卒業まで我慢するしかないと思っていました」(マサミ)

 行為が終わりAから解放されたマサミさんは、帰宅後すぐにシャワーを浴び、自分の部屋へ直行した。そのため、マサミさんの異変に両親は気が付かなかったという。精神的なダメージを隠し切れなくなっていったのは、夏休みの終わりごろだった。

「娘はもともと元気な子で、なんでも話す親子関係でした。何かあれば、『ママ、ママ、聞いて』と言ってきたんですが、夏休みの終わりごろには、あからさまに口数が減って、落ち着きがなくなっていました。

 勉強も毎日コツコツするタイプで、いつもダイニングで自分でやっていたので、私から『勉強しなさい』と言ったことは1回もありませんでした。1年生のときは成績も上位でした。そのマサミが、夏休みの終わりごろから、何も手につかない様子だったんです。学校でトラブルがあったのかと心配してはいましたが……」(母親)

「私、頭がおかしくなった。何もできなくなった」

 夏休みが明けて2学期が始まっても、マサミさんの様子は戻らなかった。

「『私、頭がおかしくなった。何もできなくなった』と言っていました。『本当に大丈夫?』と聞いても、『大丈夫』と言うだけ。学校から帰るとリビングで過ごしていたのに、逃げ込むように自分の部屋にこもるようになりました。親と話すときも、おどおどしているというか、目を見て話さなくなったんです。

 マサミの部屋はリビングの上にあるのですが、友達と遅くまで話している声が聞こえることもありました」(母親)

 マサミさん自身も両親に心配されていることはわかっていたが、自分が我慢するしかない、と思っていたという。それでもAとの交際の話は母親にしていた。

「マサミから恋愛の相談をされることがあり、Aのことも話していました。最初は『家の手伝いをしている』など他愛もない話でしたが、徐々に『俺の親には力がある』『俺の親は公務員だ』など自慢話が増えてきたと言っていました。

 また力比べのようなことをしたがり、マサミの手のひらをAが拳でたたき、『お前には力がない』『お前は弱い』と言ったと聞いた時はぎょっとしました」(母親)

 性被害に加えて精神的にも圧迫を受けていたが、マサミさんとAの交際は一応続いていた。どういう心理状態だったのだろう。

「『別れたい』と何度も言ったんですが、Aは『別れたら自殺する』と」

 「Aに対して最初は恋愛感情がありましたが、途中からは怖い気持ちが大きくなっていました。『別れたい』と何度も言ったんですが、Aに『別れたら自殺する』と泣かれてしまい会話にならないので、離れることができませんでした。今思えば言葉だけだったとわかるんですが、当時はもしAが自殺したら、Aの親に何かされると思っていました」(マサミ)

 Aはマサミさんに対して力を誇示する一方で、「お母さんがご飯を作ってくれないから家事は自分でする」「おばあちゃんが足をけがして買い物に行けなくなったので、自分で買い物に行く」など、いかに自分が可哀想で苦労しているかということを折に触れてアピールをしてきたという。

「Aは自殺未遂したことや、バイト代を親に取り上げられるという話をしていました。当時は私もそれを信じて、可哀想だと思っていました。Aは母親が教育委員会で、父親は公立高校の教師なのですが、親に権力があるともよく言っていました。

 当時は、教育委員会と大学がつながっていて、Aの機嫌を損ねたら大学への推薦がもらえなくなるんじゃないかと思っていました。でも考えてみたらAはダサいですよね。自分の力ではなくて親の力を頼ってたわけですから」(マサミ)

「夜中でもずっと電話してくるし、受験も近いのに家まで来て…」

 1回目の性被害の後も、Aはマサミさんに執拗に性行為を求めた。マサミさんはストレスで食欲が減り、日常生活にも支障が出始めた。

「あの時期のマサミは、毎日ただただ無気力に見えました。宿題ができない、朝起きられない、喋らない、笑わない、抜け殻でした。感情がなくなり、日常生活が送れない状態でした」(母親)

 マサミさん自身も、Aとの関係を断ち切ろうともがいていた。

「本当にずっと『別れたい』と伝えていたけど、Aが『自殺する』と言って全然別れてくれないんです。夜中でもずっと電話してくるし、受験も近いのに家まで来て長々喋ったり……。自分でそれを解決することができない状態でした。もうどうしようもなくて、親に打ち明けるしかないと覚悟を決めました」(マサミ)

 しかし親に被害を告白する前に、状況はさらに悪化していった。

〈 「娘さんの気持ちを考えたことがあるんですか?」息子が性加害をしたと認めない母親が、逆に被害女性(18)を責めた“身勝手すぎる一言”とは 〉へ続く

(渋井 哲也)

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