「大人の服が着られないほどガリガリ」摂食障害で40キロまで激ヤセ…女子大生タレントだった宮崎麗果(36)が、“年商25億の実業家”に転身した経緯
文春オンライン / 2024年7月27日 11時0分
宮崎麗果さん ©深野未季/文藝春秋
〈 同級生から「日本人なのに、なんで日本語を話せないの?」と…アメリカ育ちの実業家・宮崎麗果(36)が語る“生い立ちに悩んだ”子ども時代 〉から続く
経営者、モデル、インフルエンサーなど、多彩に活動する宮崎麗果さん(36)は、2度の離婚を経て元ダンス&ボーカルグループの黒木啓司さんと再婚。現在、第5子を妊娠中だ。
かつて家族関係やDV被害に苦しみ、無一文から年商25億円企業を作り上げた彼女に、ステップファミリーのリアルや、「ネオフェミニスト」としての発信についてなど、話を聞いた。(全3回の3回目/ 1回目 から読む)
◆◆◆
高校時代にスカウトされて芸能界入り
――今年から芸能事務所に所属されたそうですね。大学時代もテレビ等で活躍されていたということで、芸能界復帰ということになりますか。
宮崎麗果さん(以降、宮崎) 「活躍」も「復帰」もおこがましいほど全然、身を入れた活動はしてこなかったのでお恥ずかしいですが(笑)。お仕事の幅も広げていきたいなということで、事務所に入らせてもらったんです。
――それで今回の取材もお引き受けいただいて。
宮崎 メールで取材依頼をいただいたじゃないですか。タイトルに「文春オンライン」ってあるのを見たら開くのが怖くなって、夫の啓司さんとお互いに「なんかした?」って確認し合いました(笑)。
――怖い思いをさせてしまい、恐縮です。かつて芸能界に入った経緯は?
宮崎 高校生のとき、友だちと一緒に事務所へ遊びに行ったら、その場でスカウトを受けて入ったんです。なので、もともと全然、芸能界志望でもなくて。
バラエティのノリや会話のキャッチボールがわからなかった
――小学校まではインターナショナルスクール、中学時代はアメリカで過ごされてきたということで、日本の芸能界に入って驚いたこともあるのでは。
宮崎 まず、台本が読めなかったんです。漢字が全然わからないので。それに、日本の番組を見て育っていなかったので、バラエティのノリというか、会話のキャッチボールとか、そういうのも全然わからなくて。
――そんな中で活動するのは大変だったのでは。
宮崎 むしろ、全然プロ意識もなかったし、正直バイト感覚でした。今思い返すと本当にダメだったなと思います。
周りの子は芸能界が長い子も多かったし、この世界でやっていくんだと、真面目に一生懸命頑張ってる人ばっかりだったので、余計に自分のダメさを痛感しました。
「ガリガリだよ」摂食障害で体重40キロまで痩せてしまい…
――一方で、モデルをしていたときは摂食障害になるほど追い詰められたそうですね。
宮崎 169センチで40キロのときは倒れる寸前でした。細いのが正義、みたいな世界だったので、「ガリガリだよ」と周りから言われてもまだまだ、みたいに思ってしまって。
――心身に影響もあったのでは。
宮崎 栄養失調になっていたと思うんですが、月経の周期も狂いましたし、肉もないし骨ももろくなっているのか、立っても座っても寝てても身体が痛いんです。
当時はGAPとかZARAのキッズサイズがぴったりで、大人の服が入らなかったくらいで。
――摂食障害は、完治というものはあるのでしょうか。
宮崎 完治はむずかしくて、私はストレスがかかると発症しやすいです。思考のクセみたいなもので、苦しさから回避しようとするとそっちに流れてしまうというか。
自分はずっと、いろんなものに向き合わず逃げてばっかりの人生でしたから。
芸能界から逃げて留学、結婚もしたが…
――具体的にはどういったことから逃げていた?
宮崎 まず、芸能界から逃げて台湾に留学という名の逃避をして、結婚にも逃げました。恋愛でも、いつも束縛するような人ばかり選んで、パートナーに必要とされることに存在意義を見出そうとしていました。
摂食障害のときもですけど、心の奥底では、「これじゃダメだ」って気づいているんです。でも、自分に向き合うことができないタイミングって誰でもあると思うんですよね。
――逃げずにはいられない状況というか。
宮崎 それもある意味、自分の身を守るひとつの術というか。私も、親との関係や、恋愛のこと、仕事のこと、いろんなことから逃げた先にふと、「ああ、私が恋愛でうまくいかないのは、ややこしい家庭で育ったがゆえに、家族に執着があるんだな」と気がついて。
そうやって30年かけてひとつずつ紐解いて、自分の中で矛盾をなくしていってやっと今、という感じです(笑)。
入院中に起業を決意した理由とは
――腹が据わった瞬間ってありますか。
宮崎 3番目のハナちゃんがお腹にいるときですね。死産の可能性もあるくらい危険な状況でしたが、離婚したばかりで、それまで専業主婦だったからお金もないし、就職もできない状況で。でも、子どもを育てることからだけは逃げたくなかった。そのとき、選択肢として、起業しかなかったんです。
それで、病室にパソコンを持ち込んで、司法書士を雇うお金もなかったので自分で定款を書いて登記まで一気にやってコンサル会社を作りました。
――今は3人のお子さんをみながら、化粧品や植物療法サロンなど3つの会社を経営されていますが、どんな風に生活を回しているのでしょうか。
宮崎 夫婦で協力しています。日によって子どもの習い事なども違うので、私が仕事の場合は夫に行ってもらいますし、逆もあります。意外と決まったルーティンがないんです。
なので、コミュニケーションは家族内で密にとらないとわけがわからなくなるので、アプリとかカレンダーでお互いの予定を完全に共有して、「今どこにいる?」なんてことは基本的にないような状況にしていますね。
起業後、「どうせ男がバックにいるんでしょ」と言われ…
――男性社長が多い中、起業して悔しい思いをしたことはないですか。
宮崎 めちゃありますよ。いっぱいなめられました(笑)。というか、今も全然ありますし。
――どんな悔しいことがありましたか。
宮崎 女性が生きづらい世の中で、男性からの差別や嫌がらせはある意味、想定内だったんですけど、女性同士でも争いが多かったことにショックを受けて。
1人で何か起ち上げようとすると、「どうせ男がバックにいるんでしょ」とか「スポンサーがいるんでしょ」みたいなことを他の女性から言われてびっくりしました。
――会社でもありそうですね。
宮崎 会社で昇進したら「上司とヤッたんでしょ」と言われた友だちもいます。
私はワーキングママの友だちが多いのですが、保育園の送り迎えが基本パパ担当で、ときどきママが行くと、保育士さんから「たまにはお母さんも来るんですね」と嫌味を言われたりとか。
――一緒に仕事と子育てをしている黒木さんも周りから何か言われることがある?
宮崎 お互いに会社を立ち上げて仕事もしているのに、ちょっとでもイクメンっぽい投稿をすると、「暇なの?」と言われたり、「ヒモだよね」みたいな反応があって。「男性は稼ぐのが当たり前」という差別ですよね。
昭和の時代で止まったままの人権感覚によって男性も女性も差別を受けているわけで、この状況がアップデートされないといけないですよね。
モラハラ男に殴られて、骨折したことも…
――宮崎さんは、女性支援についてもよく発信されています。
宮崎 典型的なモラハラ男と付き合っていたことがあって、殴られて骨折したこともありますし、友だちとは会うな、仕事もするな、という人だったんです。
経済的に自立してほしくないから仕事を取り上げるわけですけど、それであっという間に無一文になってしまって。
――どうやって相手から逃れたのでしょうか。
宮崎 旅行すればスーツケースに荷物を入れてもバレないと思って、一緒に旅行に出て、その帰りに一目散に逃げました。
そのとき、経済的自立は自活につながるということをすごく感じて。相手と縁を切るには、絶対に女性は経済的に自立しなきゃいけないし、自分で稼ぐことで自信もついてメンタルが安定するんですよね。
――「自分さえ我慢すれば丸く収まる」と考えてしまう人も多そうです。
宮崎 「麗果ちゃんの言っていることは正しいかもしれないけど、みんな我慢してなんとかやってるんだよ」と言われたこともあります。
でも、自活していれば、相手に対して我慢する必要もないと思うんです。そもそも、我慢の“先”に幸せがあるんじゃなくて誰にでも“今”幸せになる権利がある。女性ばかりが我慢を強いられている現状があるから、日本のジェンダーイコーリティが先進国で最下位なのではないでしょうか。
消えない「男性が怖い」という思い
――男性に対して今も忌避感がありますか。
宮崎 やっぱり男性が怖いという思いは消えないし、啓司さんと出会うまでは、交際も結婚も二度とごめんだと思っていたくらいで。
啓司さんは優しいけど、喧嘩したりするとときにキツい言い方になることもあるじゃないですか。それだけでも「ウッ」となってしまって。
――身体が反応してしまうというか。
宮崎 韓国ドラマを一緒に観ていたとき、私が感動して泣いているシーンで啓司さんがまったくの無反応だったことがありまして、「あれ!? 実はサイコパス!?」って(笑)。
過去のトラウマも全部話して、こういうのが怖いとか苦手とかって説明して理解してくれて、「サイコパスじゃないから」と言ってくれたのに、「サイコパスほどそういうこと言うからな……」と疑心暗鬼になったり(笑)。
――著書の中では、ご自身のことを「ネオフェミニスト」とも言われています。
宮崎 男性もフェミニズムに参加するのが大切だと思ってます。女性も男性も自然と互いを支え合える社会にしたいと思う一方で、「私が女性を引っ張るリーダーだ!」みたいな思いもなくて。ただただ、“経歴すべてが事故物件”と言われる私の経験を活かしていきたいなと思います(笑)。
撮影=深野未季/文藝春秋
(小泉 なつみ)
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