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「古賀紗理那もあの人には相談を…」女子バレーの「チームの行方さえ左右する」“最強の選手”とは?《竹下佳江が解説》

文春オンライン / 2024年8月1日 11時0分

「古賀紗理那もあの人には相談を…」女子バレーの「チームの行方さえ左右する」“最強の選手”とは?《竹下佳江が解説》

今大会限りでの現役引退を表明しているキャプテンの古賀紗理那 ©文藝春秋

〈 眞鍋監督が「ヤバいぞ、今の選手は本当にヤバいぞ」と…女子バレー“異例”の「リベロ2人出場」に至った理由とは〈竹下佳江が解説〉 〉から続く

 主将の古賀紗理那が「目標は絶対メダル」と意気込む女子バレーボール。1次リーグ初戦は世界ランク4位のポーランドに1-3で逆転負けを許したが、1日はブラジル戦、3日はケニア戦に臨み、決勝トーナメント進出を狙う。

 古賀が今大会限りでの引退を表明した背景、心の拠り所にしている選手とは……? 現役時代はセッターとしてチームの司令塔を務め、現在は日本代表の監督付戦略アドバイザーを務める竹下佳江さんに、話を聞いた。(全3回の2回目/ つづきを読む )

◆ ◆ ◆

キャプテン・古賀紗理那は「世界に誇る選手」

――キャプテンの古賀紗理那選手は、もともとスキルの高い選手でしたが、東京五輪以降、さらに技、メンタル、身体能力がパワーアップしたように見えます。

竹下佳江さん(以下、竹下) 彼女は本当に凄い。バレー技術もさることながら、チームを率いるキャプテンシーには目を見張るものがあります。コート内で一番声を出しているのも古賀選手だし、チームにも厳しい要求を出している。もちろん、その分、自分にはもっと厳しいんですけど。

 まず、練習から絶対手を抜かないし、フィジカルトレーニングにも懸命に取り組んでいます。20代後半になってジャンプ力もアップさせているんですよ。現状を保つだけでも大変な年齢なのに、さらに進化させているなんて凄いと思いませんか。

 ブロックをかわすストレート、巧みなクロスやブロックアウト、あるいはフェイントで交わすなど、もともと器用な選手ではあったけど、今はライトからも効果的なバックアタックを打ちますし、後衛に下がった時も相手のコートが良く見えているのか、効果的なバックアタックを決めています。もちろん、レシーブも瞬時に反応しますし、バレー選手としての技術は、めちゃくちゃ高いと思います。

 現に、ネーションズリーグでもベストアウトサイドヒッター賞も受賞しましたし、世界に誇る選手と言ってもいい。

東京五輪の悔しさが今の古賀を作り上げた

――確かに今年ネーションズリーグの時、世界ランキング1位(当時)のトルコにフルセットで勝った試合や強豪の中国を下した時、古賀選手の「絶対にひかない」というプレーに胸が締め付けられました。

竹下 みんなを安心させられるような頼もしい存在になっていますよね。東京五輪の時のケガや、いろんな困難を乗り越えてその悔しさが今の古賀選手を作り上げたんだと思います。自分のプレー以上にチームのことを考え、みんなを安心させられるような頼もしい存在になることが、自分の存在意義と考えているんでしょうね。

 繰り返しになりますが、相手からサーブで狙われ続けようが、古賀は絶対に崩れないという安心感があるから、リベロを2人選出できたんですよ。

パリ五輪限りでの引退を表明。強い覚悟を感じる古賀の“言葉”

――大エースになった古賀選手が、パリ五輪を最後に引退表明しました。まだまだ大活躍できるでしょうに残念……。

竹下 引退の決断はそれぞれの人生。色々な意見があると思いますが、私は凄くかっこいい身の引き方だと思いましたけどね。

 多分、彼女は現役最後のプレーをパリ五輪と定め、あれだけストイックに自分を追い込んできたはずですし、五輪前に発表することで、それまでお世話になった方やファンの人たちに、最後の雄姿をしっかり届けたいと考えたんでしょう。

 私はロンドン五輪後に引退を発表しました。すると、多くの人から「もっとプレーを見たかった」という声を少なからずいただいた。今思えば、それまで応援して下さった方に申し訳なかったなと後悔しています。だから、古賀選手の引退発表は潔いし、これまでどれだけファンの人々を大切にしてきたかが分かります。

 五輪直前に語っていた「目標は絶対にメダルを取る。それは自信を持って、胸を張って言いたい。集大成なので、パリでハイパフォーマンスを出せるようにしたい」という古賀選手の言葉に、強い覚悟を感じます。

 その古賀選手が引退を記者会見ではなくSNSで発表したのは、時流なんでしょうね(笑)。でも、改めて会見はするかもしれないですね。

3歳児の母・セッターの岩崎こよみの強み

――またいつかバレー界に戻ってくる可能性もありますし。

竹下 それは本人が決めることなので私には分かりませんが、結婚し、子育てが一段落したところで復帰するというバレー界の環境は整いつつあります。リーグでの復帰はもちろんのこと、日本代表入りも可能。現にセッターの岩崎こよみ選手は3歳児の母ですからね。選手人生の選択肢が広がるのはとてもいいことだと思います。

――岩崎選手のトス回しは安定しているように見えますが、竹下さんから見てどうですか。

竹下 彼女の武器は175cmと身長があるので、高いところでトスを上げられることと、元アタッカーだっただけにツーアタックなどの攻撃が得意だし、時にはブロックに加わることも。最大の武器はチーム最年長者(35歳)なので、チームに落ち着きを与えられることです。

 ただ、昨年からの代表参加なので相当プレッシャーはあったと思いますね。これまで作り上げてきたチームの中に、急に加わったわけですから。でも、すんなり溶け込めたのは年の功かも(笑)。

最強の13人目は山岸しかいない

――強い姿勢を崩さない古賀選手ですが、チーム内で相談できるような選手はいるんですか。

竹下 山岸あかね選手ですね。多分、チーム内で言えないことも、彼女には吐露していると思います。古賀選手だけでなく、多くの選手が山岸選手を心の拠り所にしています。

 彼女はパリ五輪では13番目のリザーブ選手として登録されました。12人の代表メンバーに選ばれなかったことは、本来なら悔しいはずなんですけど、彼女はチームを懸命に支えようとする。その姿には、私でさえ涙が出ます。若い選手などは海外遠征に山岸選手が帯同しないと「山岸さん、いないんですか……」って、ちょっと不安定になることもあるんですよね。だから今回、リザーブであってもパリに行けて本当に良かった。

 真鍋監督は五輪選手選考の会見で、山岸選手についてこう語っていました。

「13番目の選手が日本チームにとって最も効果的になる方法をスタッフと話し合い、最強の13人目は山岸しかいないという結論になった。彼女の見えない力は、目標を達成するためには必要な最後のワンピースと考えています」

 山岸選手はチームになくてはならないバランサーなんですよ。

〈 「かあちゃん、今は昭和じゃないんだよ」と言われ…レジェンド・竹下佳江が日本女子バレーに感じた“世代間ギャップ”《今夜“負けられない”ブラジル戦へ》 〉へ続く

(吉井 妙子)

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