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その瞬間は突然に…佐藤輝明モデルのバットを使ったらサトテルみたいなホームランを打てた話

文春オンライン / 2024年7月20日 11時0分

その瞬間は突然に…佐藤輝明モデルのバットを使ったらサトテルみたいなホームランを打てた話

佐藤輝明 ©文藝春秋

※こちらは公募企画「文春野球フレッシュオールスター2024」に届いた原稿のなかから出場権を獲得したコラムです。おもしろいと思ったら文末のHITボタンを押してください。

【出場者プロフィール】ひろぼん 阪神タイガース

阪神タイガースの地元関西出身生え抜き主砲を待ち焦がれていた都内在住50代の会社員。関西在住時は地上波で観戦も関東ではそれもままならず、情報収集はもっぱらABC朝日放送の虎バンチャンネル。

◆ ◆ ◆

 阪神タイガース佐藤輝明選手が大好きだ。

 どっしりとした構え。豪快なスイング。浜風をものともしない圧倒的な飛距離。ちょっと多すぎる三振も嫌いじゃない。三振を喫した悔しさが積み重なれば積み重なるほどホームランが出た時の喜びもいっそう上積みされるからだ。

 そんな大好きな佐藤輝明になりきってみたい。佐藤輝明が使っているバットを使ってみたい。佐藤輝明特有のバットを高く掲げる大上段の構えから佐藤輝明のような豪快なホームランを打ってみたい。

 そこで今回、佐藤輝明使用モデルのバットを購入して、実際にサトテルみたいなホームランが打てるのかを検証することにした。

佐藤輝明モデルのバットを持参してバッティングセンターへ

 バットは千代田区神田小川町にあるMIZUNO TOKYOで購入。長さと重さは佐藤輝明と同じ85cm900g。材質はメープル。価格は1本1万円。

 さっそく佐藤輝明モデルのバットに触れてみる。握った感触が実に気持ちいい。グリップ部分の形状が絶妙で、こんな握りやすいバットを使っていたのかと感激。

 そんな握りやすい佐藤輝明モデルのバット。グリップエンドがちょっと独特。金属バットのグリップエンドはT字型のものしか存在しないが、木製バットの場合、T字型以外にも末広がり状になっているタイカッブ型という形状も存在する。佐藤輝明モデルでは「自分はグリップに小指をかけないと振れないタイプ」という本人の要望で両方の要素を兼ね備えた中間型を採用している。

 翌日の昼すぎ、佐藤輝明モデルのバットを持参してバッティングセンターへ足を運んだ。場所は新宿歌舞伎町にある新宿バッティングセンター。

 入口すぐにある両替機に1000円札を入れ100円硬貨と交換。左打者が打てる打席に入る。

 料金は1回25球で300円。今季4年目内野手としてはNPB史上最高額となる1億5000万円で契約を更改した佐藤輝明の年俸なら50万回1250万球打てる。

その瞬間、サトテルになった

 料金箱に300円を投入。球速を設定する。左打者専用打席の場合、球速は110キロ、120キロ、130キロの3種類から選べる。ウォーミングアップなんかしていると逆に体力を消耗しそうだったので、いきなり球速130キロに設定する。

 佐藤輝明になりきりグリップエンドに小指をかけバットを高く掲げる。

 緊張の第1球。フルスイング!! あれ!? 球には当たったのだが、変な感じ。

 2球目。軟球なのに、どん詰まりで手がしびれる。3球目。比較的ちゃんと当たったのに、思ったように飛んでいかない。などなど、最初の25球は空振りこそほとんどしなかったものの、納得できる当たりは1球か2球だけ。

 おかしい。振った感触は悪くない。85cm900gとなかなかの重量級バットだが、バランスが良いので振り切れないほどではない。ただ、自分が打ちにいくタイミングとバットの出るタイミングがずれている。もしかしたら、自分に合わないバットではないか。疑心暗鬼がふくらむ。

 とはいっても、簡単には引き下がれない。佐藤輝明になりきるためにしていた大きく上段に構えるのをやめ、少しでも球に当たる率を上げるためシンプルな構えにする。さらにバットの持つ位置を上げたり下げたりと微調整するも、なかなか芯でとらえきれない。バットについた跡を見るとボール3個分以上の幅があった。

 試行錯誤を重ねながら振り続けること数十球。その瞬間は突然訪れた。

 バット先端からボール1個分手前にある狭い芯をとらえた打球は見たことのないような速度と角度で飛んでいった。目の覚めるような一撃が新宿の空を突き抜ける。梅雨入り前の蒸し暑い、どんよりとした雲が一瞬にして吹き飛んだように見えた。その打球の行方を確認するとバッティングセンターなのにバットを放り投げ、確信歩きを始めていた。

 妄想上の飛距離は130m超。甲子園球場右中間高くに掲げられているMIZUNOの看板目がけて解き放たれた打球は浜風をものともせずカクテル光線できらめくライトスタンド中段に消えていった。

 その瞬間、サトテルになった。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム フレッシュオールスター2024」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/72205 でHITボタンを押してください。

(ひろぼんたち)

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