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「濡れ場の悔しさは濡れ場で晴らすしかない」瀧内公美(34)が自らの身体で証明したかった“新たな道”《大胆な女優で終わりたくない》

文春オンライン / 2024年7月27日 11時0分

「濡れ場の悔しさは濡れ場で晴らすしかない」瀧内公美(34)が自らの身体で証明したかった“新たな道”《大胆な女優で終わりたくない》

〈 「被災者の役で7キロくらい痩せてしまいました」瀧内公美(34)の進む道を決めた“代表作との出会い”《思い出すだけで涙が出る壮絶な撮影》 〉から続く

  瀧内公美(34) の評価を決定的なものにした『火口のふたり』では性愛描写も話題を呼び、多くのメディアで“注目”を集めることになった。その時、彼女が人知れず抱いていた思いとショックを受けた出来事、そしてこれからの目標を尋ねた。(全3回の3回目/ 第1回 、 第2回 を読む)

 

 

◆◆◆

濡れ場の悔しさは濡れ場で晴らすしかない

――2019年の映画『火口のふたり』は、キネマ旬報主演女優賞やヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞するなど、瀧内さんの評価を高める作品になりました。ご自身にとっては、どんな作品でしたか?

瀧内 柄本佑さんとの二人芝居でしたけど、そういう作品って日本の映画ではあまりありませんよね。お話をいただいたときに、パッと思い浮かべたのは『愛のコリーダ』です。面白そう、挑戦してみたいなと、直観的に思いました。

――数年ぶりに再会した男女が互いの体を求めあう『火口のふたり』は、その性愛描写も話題を呼びました。瀧内さんは他の作品でも裸のシーンや濡れ場を演じてきましたが、初めのころは怖さや抵抗感を感じましたか?

瀧内 私はもともと抵抗を感じないタイプだったんです。ヨーロッパ映画を観るのが好きだったので、むしろフランスの女優は潔くていいなって。でも、こうして取材していただいて申し訳ないですけど、みなさんがお書きになる記事で傷つくんですよね。「大胆」とか「体当たり」とか……体当たりって相撲取りじゃないのに(笑)。

 定型文にはめ込まれて、驚くような書き方をされると、そんなつもりではなかったのになと思います。自分自身はともかく、親が傷つく姿を見るのがなによりショックですよね。親には帰郷したときしか会えないので、普段どんな言われようをしているのかわかりません。たぶん酷いことを言われたときもあっただろうし、そんな思いをさせているのかと思うと、そのことにショックを受けます。親を守りきれなかった、申し訳ないなって。

 ただ自分としては、『彼女の人生は間違いじゃない』(2017年)でうまくできなかったという思いが強かったんです。本当にいい作品ですけど、うまくやりきれなかったせいで、濡れ場のことばかり取り上げられてしまった。だから濡れ場の悔しさは濡れ場で晴らすしかないと思ったんですね。ちょうどそのタイミングで『火口のふたり』のお話があったので、思いきりやってやろうって。あそこまでやり尽くせば、無念を晴らせるにちがいないと思いました。

不安なくそういうシーンに臨めるのはいいことだけど…

――濡れ場の撮影でマイナスの感情を抱くことはありませんでしたか?

瀧内 私はプロの方たちに囲まれてやらせていただいたので、そういう意識は生まれなかったです。きちんとケアしてくださる現場でした。『アンダードッグ』(2020年)のときも撮影は淡々と終わりました。

――ここ数年、身体的な接触のあるシーンの撮影環境は大幅に改善されています。演じてきた立場から、なにか要望することはありますか?

瀧内 私は改善される前の現場しか参加したことがないんです。だから現在の状況を把握していないので、一概には言えませんけど、とてもいい傾向ですよね。女性が不安なく、そういうシーンに臨めるのであれば、やはりよかったなと。

 その一方で、男性がどう感じているのかが気になります。男性だって不安でしょうから、女性に対して真摯に対応してくださるのと同じように、男性にも適切に対応していただきたいですよね。いままでの反動もあって、女性の意見が強い時代じゃないですか。そのなかで男性の問題がなおざりにされている気もするので、その状況に対しては少し違和感を覚えるところもあります。

インディーズの新しい監督を求めて出会った『由宇子の天秤』

――2021年の主演作『由宇子の天秤』は、自分の足でミニシアターなどを回って、一緒に仕事をしたいと思う監督を探した作品ですよね。

瀧内 たぶん『火口のふたり』がすでに決まっていた時期で、次は濡れ場から脱却したいと思っていたんです。私たち俳優がお仕事をいただくときは、あるジャンルに長けていると思われて、そのオファーをいただくことが多い。だとしたら、将来オファーをいただくために幅を広げなければと思ったんですね。

 私の場合、廣木隆一監督や荒井晴彦監督といった映画界の大御所の方とご一緒する機会が多かったので、インディーズの新しい監督ともお仕事をしたいと考えていました。どんな監督がいるだろうと思って、ぴあフィルムフェスティバル、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、東京フィルメックス……いろいろなところに行きましたね。そこで春本雄二郎監督の作品を観て、直観がはたらいてお声がけしたんです。機会があれば、ぜひご一緒させてくださいって。

――その時期は『彼女の人生は間違いじゃない』のDVDを名刺代わりにして、いろいろな人に挨拶していたそうですね。

瀧内 ちょうどフリーだった時期で、徐々に解放的になってきたころです。DVDを持ち歩きながら、ロビー活動をしていました(笑)。

“大胆な女優”で終わりたくない

――社会派ドラマの『由宇子の天秤』は、当初考えていたとおり、瀧内さんの幅を広げる作品になりました。

瀧内 『火口のふたり』までだったら、自分のキャリアは“大胆な女優”で終わっていたと思います。実際、濡れ場を多く演じると「どうせ脱げるだろう?」って、その類の作品のオファーが集中しやすいことはあります。いまの#MeToo運動にも繋がることですけど、泣いて辞めていく子もたくさんいました。

 でも私は、そこを経たとしても、その先へ行けることを証明したかった。結局のところ、この世界は椅子取りゲームでもありますよね。生き残るということは、極端な言い方かもしれませんけど、屍の上を裸足で歩いていくようなものです。人の痛みに敏感でなければいけないし、同時にタフな精神力も持ち合わせなければいけない。私はそんな世界を選んでしまったので、選んだからにはこういうキャリアを歩めるんだと、自分の体をもって示したかったんです。

――大河ドラマ『光る君へ』(2024年)など、最近はテレビドラマにも活動の幅を広げていますが、キャリアの進め方についてどれだけ自覚的に考えていますか?

瀧内 俳優はいただいて成立するお仕事なので、基本的に戦略が先に立ってはいけない気がするんです。こんな作品に出てみたい、こんな役柄を演じてみたい、ということを大切にしつつ、いちばん大事なのはやはりお芝居なんだろうなって。

 たしかにいまは配信作品や海外との合作が増えて、世界に幅を広げていける時代なのかもしれません。私も先日、日仏合作の映画『Ravens(原題)』に出演させていただいて、そういうキャリアを考えていきたい気持ちもあります。ただ私は単純な人間なので、お仕事があればそれでいい(笑)。そのために今後もお芝居を探求しつづけていきたいです。

――優れた俳優でいるために、もっとも必要なことはなんだと思いますか?

瀧内 現場に立ちつづけることです。野球選手と一緒で、打席に立たないと打つことすらできません。経験を積み、トライアンドエラーを重ねて、試行錯誤しながら自分に合うものを探していく。当たったときはたまたまです。そのたまたまが続いていって、確実なものになる。だから私も現場には立ちつづけていきたいと思います。

撮影 丸谷嘉長
スタイリング 後藤仁子
​ヘアメイク 佐藤寛

INFORMATION

瀧内公美が今秋挑む舞台は、無頼派作家・織田作之助の人気作「夫婦善哉」の主人公柳吉とお蝶をモチーフにした「夫婦パラダイス~街の灯はそこに~」。 夢かうつつか幻か…北村想の予測不能+大胆不敵な作劇が冴えるオリジナル戯曲で尾上松也と夫婦を演じます。チケットや詳細は、こちらからご覧ください。 https://www.siscompany.com/produce/lineup/meoto/

記事で使用した写真を約150枚以上掲載した電子書籍『 デジタル原色美女図鑑 瀧内公美noble 』が好評発売中です。妖艶な表情、パンツ姿のボーイッシュな出で立ち、川べりで飛び跳ねながら見せる弾ける笑顔…大河ドラマとは一味違った魅力をぜひお楽しみください。※発売中の週刊文春8月1日号(紙雑誌版)において価格を「税込み1100円」と表記しておりましたが、正しくは1200円です。お詫びして訂正いたします。

(門間 雄介/週刊文春CINEMA オンライン オリジナル)

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