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チームラボが麻布台ヒルズの地下に築いた「我を見失いそう」な一大エンターテインメント&アート施設とは

文春オンライン / 2024年7月23日 7時0分

チームラボが麻布台ヒルズの地下に築いた「我を見失いそう」な一大エンターテインメント&アート施設とは

チームラボ《花と人、コントロールできないけれども共に生きる – A Whole Year per Hour》©チームラボ

 ことし2月の開館以来、ずっと大盛況続き。東京の新名所のひとつとして早くも定着したと言っていい。

 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1にある、「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」だ。約7000㎡の広大な空間に、アート集団・チームラボの手になる数十に及ぶ作品群が、ところ狭しと入り乱れる趣向となっている。

 エンターテインメントとして大いに楽しめる一級品であるのは、その人気ぶりからも窺えるが、それだけじゃない。「ミュージアム」と名乗っているとおり、最先端のアートに触れられることも請け合いである。

 会場内でどんなものが観られるのか、探索してみよう。

会場も作品も「ボーダレス」

 この施設は「ミュージアム」を標榜するものの、通常のそれとは異なり風変わりな点が多々ある。

 まずは観て回る順番が、とりたてて決まっていない。入口はひとつだが、会場内に入るといくつもの通路と部屋が分岐し点在し、どちらへ進んでもかまわぬつくりになっている。

 各部屋で観られる作品も、固定されているわけではない。ふつうアート作品といえば、決まった場所で観客を待っていてくれるものだが、ここの作品群は同じところでじっとしてなどいない。人の動きやふるまいに反応しながら、あらゆる作品が刻々と姿や居場所を変えていく。

 たとえば、壁と言わず床と言わず一面に花々が咲き誇っては散っていく《花と人、コントロールできないけれども共に生きる ― A Whole Year per Hour》や、絵巻物から抜け出てきたような人物や動物が行列をなして進む《Walk, Walk, Walk》といったミュージアムの基調を成す代表的な作品も、いつどこで遭遇できるのかはわからないのである。

 さらには作品同士がときに混ざり合ったりするので、いっそう複雑性を増す。壁面に咲き誇る花々と戯れていると、どこからか蝶の大群がやってきたり、カラスが侵入してきて、場の雰囲気が一変することもしばしば。作品同士の境界線がなく、文字どおり「ボーダレス」なのである。

 かように作品が動き回り姿を変えながら、会場全体に広がっているので、訪れた観客は我が身ごと作品内に飛び込んでいくかたちとなる。作品の一部になるというか、自分が作品と一体化してしまう感覚に陥るのだ。没入感が味わえるどころの話ではない。作品と自分の境界線まで、見失いそうだ。

自分の立ち位置まで揺らいでしまう

「エプソン チームラボボーダレス」内には、「超」がつくほど大規模な作品も多数設けられている。

「ライトスカルプチャー - Flow」シリーズはそのひとつ。放たれた光によって、巨大な光の彫刻とでも呼ぶべき存在が虚空に浮かび上がっている。その像は徐々に広がりながら、観る側のほうへずんずん押し寄せてきて、こちらの身体が丸ごと彫刻の内部に呑み込まれそうな錯覚に陥る。

 どこまで広がっているのか認識できない暗闇空間のなかを、無数の光る球体が走り続けているのは《マイクロコスモス - ぷるんぷるんの光》。球体の一つひとつが、みずからうごめく生命体のように見える。

《Infinite Crystal World》は、点々と並べられた光だけで、三次元の立体物をかたちづくろうとした作品だ。作品内に身を置いているとふと、自分が立っているはずの床面が消えてなくなった感覚が襲ってくる。いきなり天地左右のない宇宙空間へ放り込まれたかのよう。元の世界に帰れるんだろうかという不安と、帰れなくなって浮遊し続けるのもいいという気分が交互にやってきて、感情が大きく乱れてしまう。

 会場で、この空間を築き上げたチームラボ代表・猪子寿之氏の話を聞けた。

「歩き回ってこの世界を体感して、自分も含めた全体がひとつの作品なんだなと感じてもらえたら」

 と、楽しみ方を教えてくれた。続けて、

「我々はふだん、『私』というものが独立して存在するということを当たり前のように信じていて、みずから境界をつくっているんじゃないですか? でも本当は境界なんてなくて、すべては連続していて、自分と世界は一体になれると考えてもいい。そうすると、自分自身も含めたこの世のすべてに対する肯定感や幸福感が生まれてくるんじゃないかと思うんですよ」

 なるほど、ほかでは味わえないポジティブな感覚を得られる場づくり。それこそチームラボが「エプソン チームラボボーダレス」で実現したかったことなのだ。

INFORMATIONアイコン

森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1
https://borderless.teamlab.art/jp/

(山内 宏泰)

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