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「世紀の婚約会見」の27分間、20歳の貴乃花と19歳の宮沢りえは何を考えていたか ”引退”の質問でりえさんが真顔に戻った時、貴乃花は…

文春オンライン / 2024年7月25日 11時0分

「世紀の婚約会見」の27分間、20歳の貴乃花と19歳の宮沢りえは何を考えていたか ”引退”の質問でりえさんが真顔に戻った時、貴乃花は…

©︎時事通信社

 1992年11月27日、「世紀の婚約」と報じられた婚約会見が都内ホテルで開かれた。婚約を発表したのは、当時角界のプリンスと呼ばれていた貴乃花(当時は貴花田)関と国民的美少女として人気絶頂だった女優、宮沢りえさんだ。

 だが婚約発表からわずか2カ月で2人は破局。翌年の1月27日に婚約を解消した。理由は、りえさんを芸能界から引退させて女将業に専念させようという相撲界の存在や、ステージママとして知られた“りえママ”こと宮沢光子さんが彼女の引退を許さなかった、花田家とりえママとの確執などの憶測が流れた。

 その真相は今も明かされていない。だがあらためて婚約会見を振り返ってみると、2人の間に生じる“ほころびの芽”が見えてきた。

貴乃花「やっとこの日がきた」りえ「やっと実感がわいた」

 婚約会見の日、貴乃花とりえさんは揃ってサーモンピンクの着物に身を包み、わずかに頬を紅潮させながら手をつないで会場に現れ、結婚式は約半年後の5月28日と発表した。芸能人やアスリートの結婚式がゴールデンタイムで生中継されることが一般的だった時代で、大物同士の結婚は今以上に巨大な関心の的だった。

 会見の少し前に「婚約式」を行っていたという2人。貴乃花は「やっとこの日がきた」と緊張した笑顔を見せ、りえさんは「やっと実感がわいた」と照れるように笑った。

“指輪を見せて下さい”という記者の声に、りえさんが「これです」と左手を上げたものの、すぐに下げ、「あんまりそんな見せるものじゃないです」と恥ずかしそうに俯いた。

 指輪を選んだ貴乃花が「あんまりセンスがないので」というと、りえさんは首を軽く横に振り、「どんな億万長者にも買えないような指輪です」と喜ぶ。幸せの真っただ中にいる2人はたびたび顔を見合わせては、お互いの気持ちを確認するように頷き合っていた。

 花嫁衣裳について聞かれた時も、2人は仲睦まじい様子を見せた。りえさんが「それもこれからです」と答える。“貴関の希望も入れてか”という問いには「そうですね」とはにかむように貴乃花と視線を合わせる。貴乃花も「ねっ」と優しく相槌を打った。

 ほころびの芽が見えたのは「新居の方はどうなりますか」という質問が投げかけられた時だ。

2人が視線を合わせず、宮沢りえがストレスを露わにした質問

 貴乃花がりえさんの方を見て、何かを言いかけた。しかしりえさんは貴乃花の方を見ることなく、「それもこれから。みんなで相談して決めてますけど」と答えた。

 そして視線を落とし、背筋を伸ばしたまま、フッと音を立てて短く息を吐く。この仕草からは、新居の話が彼女にとってストレスだったことがわかる。

 しかも自分たちの将来について問われたのに貴乃花を見ず、彼が何か言おうとしたことにも気づかない。言い終わった後も、彼の方を見なかった。その間、貴乃花は口元に力を入れて正面を見たままだった。

“あっという間に日がくるから、早く決めないといけませんね”という記者の言葉にりえさんは頷いて微笑むが、貴乃花は前を向いたまま、表情を変えなかった。

“どんな家庭を築いて行こうと思っているか”という質問では、りえさんは貴乃花の方を見上げたが、今度は貴乃花が彼女を見ない。将来に関する質問になると、2人の視線はほとんど合わず、その姿は、相手の真意を確認するのを無意識に避けているようにも見えた。

 貴乃花は「まだこれからですから。何ともいえない」と前置きしたうえで、「2人の気持ちを大事にして、自分たちの意志を通すような家庭を作っていきたいです」とゆっくり発言したが、りえさんはその言葉に反応することなく、無表情のままだった。

テーブルの下で手を「つないでます」

 将来についての考え方がすれ違い始めているように見えたのは、恋愛中の質問に対する2人の表情が明るかったことも影響していただろう。

“お互いの魅力は”と問われた貴乃花は、真剣な表情で「んーなんだろうな。頑張って生きているところですね」。

 それを恥ずかしそうに聞いていたりえさんは顔を上げると「すごく責任感が強くて」と語調を強めて眉を上げ、目を開いて顔を輝かせた。

“テーブルの下で手をつないでいるのか”と聞かれ、りえさんは声を立てて笑い「つないでます」と嬉しそうに答えた。貴乃花はおしぼりに手を伸ばし、照れ臭そうに汗をぬぐった。りえさんが貴乃花に愛情を持っていることが端々から伝わってくる。

 相撲の場所が終わってからは毎日会っていたという2人に“どんな話をしていたのか”という質問が飛ぶ。「雑談ですね。笑ったり、時には真剣な話をしたり」という貴乃花の答えに、りえさんが何度も頷く。

「不安を不安と思うときりがない」

 しかし“具体的な話は”と聞かれたりえさんは、真剣な表情になって「やっぱりこれからのことが一番。あの、最終的にはそういう話になったりしますね」とコメントした。それを貴乃花は口元に力を入れ、口角がやや下がった表情で聞いていた。将来に対する不安はこの時から強かったのだろう。

“相撲取りの生活について話しているか”と聞かれた時は、貴乃花が「一緒に(生活)しないと、口で言っても生活感が違うと困りますから」と回答。“その生活に不安はないか”と聞かれたりえさんは、何かを探すように視線を左右に動かし「不安を不安と思うときりがない。きっと大丈夫だと思います」と明るくにこやかに答えた。不安はあるが、その正体が何かは見えていないのだろう。

 藤島部屋を初めて訪れた時の感想についてりえさんは「すごくアットホーム」「すっごく素敵な家族」と何度も頷きながら嬉しそうに語った。

 しかし“花田家から引き継いでいきたいものは”と聞かれた貴乃花は、自分の方を見上げたりえさんを見ることなく、「師匠と女将さんの家庭を引き継いでいきたい」と答える。りえさんはずっと貴乃花の方を見ていたが、貴乃花自身は前を向いたままだった。

未解決だった「りえさんが仕事を続けるかどうか」

 会見も終わりに近づき、誰もが知りたかった“芸能界の仕事をどうするか”について質問が飛ぶ。明るかったりえさんの顔がさっと真顔に戻り、貴乃花がおしぼりで鼻をぬぐい、水を飲んだ。貴乃花の仕草から彼の緊張が読み取れる。「りえさんが仕事を続けるかどうか」が2人にとって未解決の問題であったことは確かなようだ。

 2人は視線を合わせず、りえさんは「相談しながら、2人がベストな状況でいられるよう。引退するとかしないとか、2つの道を選ぶことができていない。挙式までに決めたいと思う」と答えて唇を巻き込むように隠した。引退に関しては、不安や心配が大きかったのだろう。

 だが、それを聞いている貴乃花の表情はむすっとしていた。

 続けてレポーターが“今の2人があるのは若乃花(当時は若花田)関のおかげか”と聞くと、りえさんはパッと表情を明るくしたが、貴乃花の口元はますますきつくなり、唇を突き出していた。引退を明言しないりえさんの言葉に内心で不満を感じていたように見えた。

 電撃婚約した2人はこの2カ月後、破局を迎えることになる。

〈 貴乃花との「婚約破棄会見」で、19歳の宮沢りえはなぜ微笑んだのか「絶対に解決できる問題だった」「悲劇のヒロインになるのは絶対に嫌」 〉へ続く

(岡村 美奈)

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