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【五輪汚職公判】検察側が森喜朗氏の供述調書を一部撤回していた《「バブル兄弟 高橋治之と高橋治則」で明かされた“新事実”》

文春オンライン / 2024年7月25日 7時0分

【五輪汚職公判】検察側が森喜朗氏の供述調書を一部撤回していた《「バブル兄弟 高橋治之と高橋治則」で明かされた“新事実”》

東京地裁に入る高橋治之氏 ©時事通信社

 東京五輪・パラリンピックの大会スポンサー契約を巡り、5つの企業から約2億円の賄賂を受け取ったとして受託収賄罪で起訴されている組織委員会元理事・高橋治之被告(80)。

 5月16日の第8回公判で、組織委員会元会長・森喜朗氏(87)の供述調書の一部が証拠請求から外されたことが、「 週刊文春 」誌上で「 バブル兄弟 高橋治之と高橋治則 五輪を喰った兄と長銀を潰した弟 」を連載しているノンフィクションライター・西﨑伸彦氏の取材でわかった。森氏の供述調書は、五輪汚職事件の他の公判では有罪判決の根拠にもなっていただけに、治之氏の裁判にも少なからず影響を与えそうだ。

◆◆◆

15人が起訴され、11人が執行猶予付きの有罪判決

 一連の五輪汚職事件では、治之氏ら計15人が起訴され、このうち紳士服大手「AOKIホールディングス」元会長の青木拡憲氏や、広告大手「ADKホールディングス」元社長の植野伸一氏ら11人は執行猶予付きの有罪判決が確定している。

 西﨑氏は、昨年12月14日に始まった治之氏の公判をすべて傍聴してきた。公判で検察側は森氏の供述調書などから、治之氏はスポンサー集めを担うマーケティング担当理事だったとして、収賄罪の構成要件である「職務権限」があったと主張。企業側から受け取った金銭はその見返りであると指摘してきた。これに対し、治之氏は自身が受け取った金銭について、あくまで「ビジネスの対価であり、賄賂ではない」として無罪を主張。「森氏から担当理事に指名された事実は一切ない」とし、森氏の証人尋問を要求してきた。

弁護側の不同意部分について撤回すると表明

 そうした中、行われたのが、5月16日の第8回公判だ。西﨑氏によれば、この日は、これまでの公判で明らかになった出版大手「KADOKAWA」が新設された出版枠のスポンサーに決定した経緯などが、改めて冒頭陳述で取り上げられたという。弁護側は、治之氏の影響力の源泉は、組織委員会理事としてのものではなく、スポーツマーケティングの第一人者で電通の有力OBとしてのものだと指摘。引き続き無罪主張を重ねた。一方、検察側はどう対応したのか。裁判官から意向を確かめられると、森氏の供述調書のうち、弁護側の不同意部分について撤回すると表明したのだ。

治之氏は「化けの皮が剥がれたはずですよ」

 西﨑氏の取材に対し、治之氏は次のように述べている。

「森さんの証人尋問を行なわない代わりにこちらが指摘した部分を撤回したということ。(略)森さんが証人で出てくれば、明確に否定されて、化けの皮が剥がれたはずですよ」

 森氏は代理人弁護士を通じて、以下のように回答した。

「現在係属中の裁判に関わることについては回答を差し控えます」

 治之氏と、一歳下の弟で同じく東京地検特捜部に逮捕され、2005年に亡くなった治則氏をテーマにした西﨑氏の連載「バブル兄弟 高橋治之と高橋治則 五輪を喰った兄と長銀を潰した弟」(全29回)は、「 週刊文春 」7月25日(木)発売号で最終回を迎える。最終回では、森氏の供述調書の撤回に関する詳細のほか、五輪汚職事件や治則氏に対する治之氏の想い、長崎県平戸市にある治之氏と治則氏のルーツなどについて綴っている。

 狂乱の時代を駆け抜けた「バブル兄弟」とは一体、何者だったのか――。緻密な取材と迫力の筆致で描く西﨑氏の連載は、第1回から最終回まで「 週刊文春 電子版 」でお読みいただけます。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年8月1日号)

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