「13歳、真夏の大冒険」→「金メダルに恋した14歳」なぜ女子スケボーは若い選手が活躍するのか
文春オンライン / 2024年7月29日 18時0分
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金メダルの吉沢恋(真ん中)と銀メダルの赤間凜音(右) ©JMPA
〈 「中学生になったらスケボーを辞める」「校則でSNSをやっていなかった」初めての大会で挫折、泣きじゃくり…コーチが明かす、金メダリスト吉沢恋(14)の大きな転機 〉から続く
7月28日、パリ五輪では大会3日目にスケートボード女子ストリートが行われ、日本代表の吉沢恋(よしざわここ・14)が金メダル、赤間凛音(あかまりず・15)が銀メダルを獲得した。
吉沢恋がスケートボードを始めた場所は、2大会連続の五輪出場を決め、世界選手権を制した経験を持つ白井空良、女子のシーンを先頭に立って引っ張り続けてきた藤澤虹々可(ふじさわななか)、堀米雄斗と同じボードスポンサーで幼少期から天才と呼ばれてきた岸海など、国内どころか世界を見渡してもトップクラスと言える猛者が集う場所だった。
それに加え負けず嫌いで、自分が決めたことは絶対揺るがない性格。いわば大成するきっかけとなる兄や姉のような存在がいた環境下だったということ。だからこそコーチの寺井裕次郎さんは逆にチャンスだと思っていたそう。
初めて出場したコンテストでの挫折
ただ当時の本人の生活環境では、そんな状況を知る由もない。それどころか中学生になったらスケートボードを辞めようとすら思っていたのだ。
その考えが180度転換する大きな転機となったのが、2019年11月のコンテスト初出場だった。
スキルも身についてきて、そろそろ出場の準備ができたと思っていた裕次郎さんが「恋ちゃんのトリックが全部決まったら絶対3位以内に入れるよ」と出場を勧めた。見事に全て成功させたのにもかかわらず、結果は4位。
絶対的な信頼を置いていたよき理解者の言うとおりにできたのだが、表彰台に上がれなかったのが相当悔しかったのだろう。当時は悔しさと怒りが入り混じって泣きじゃくったそうだが、結果的にそれがスケートボードを続ける原動力となったのだ。
その後はコロナ禍となったことでコンテストが開催されない日々が続いたのだが、その間に習得したトリックが彼女の運命を変えることになった。それが「ビッグスピン・フロントサイド・ボードスライド」。東京五輪で西矢椛の金メダル獲得を決定的にしたトリックだ。
その姿をテレビ越しに見て憧れを抱くのではなく、「あ、私もこれできるじゃん」とスイッチが入り本気でメダルを狙いに行くことを決意したのというストーリーは、もはや1日で日本中に知れ渡ったことだろう。
その後、筆者は何度も彼女の「ビッグスピン・フロントサイドボードスライド」を写真に収めてきたが、失敗した姿を見た記憶がない。しかもそれを超える「ビッグスピンフリップ・フロントサイド・ボードスライド」をパリ五輪の本番で成功させているのだから凄まじい。それは西矢が過去に見せた最高難度のトリックであり、完成度をさらにアップグレードさせている。
女子のスキルレベルの急激な向上を象徴する吉沢の金メダル獲得だった。
なぜ女子スケートボードは若い選手が活躍するのか
さて、「13歳、真夏の大冒険」に続き「金メダルに恋した14歳」と他の競技に比べ10代前半の若い選手の活躍が目立つ女子スケートボード界。
なぜここまで次々と若い選手が出てくるのか不思議に思う方もいるのではないだろうか。
筆者が思う最大の要因は「環境の整備」。日本の公共スケートパークの数は3年前の東京オリンピック時と比べおよそ倍に増えている。
練習場所が整備されれば当然スクールは増えるし、数が増えれば質も上がってくる。さらにコンテストの参加者も増えるといった好循環が若年層の活躍を生んでいると考える。
そのため整備された今の環境で始めている10代前半の選手と、20代の選手では根本が全く違うと言えるだろう。
今のような質の高いスケートパークや指導スタイルが確立される前の世代が、いくら努力や練習を重ねたところで限界があるだろう。
しっかりとした施設と指導者の元で幼少期に基礎を完璧にマスターしたかが重要なのだ。
ただ、今は増加を続けるスケートパークも伸び率は落ち着きを見せ始めている。
一通り全国に施設と育成システムが浸透したのなら、今後は年齢の壁を打ち破っていく選手の出現も期待したい。
そこへの挑戦を表明している吉沢恋のこれからにも大いに注目が集まる。
(吉田 佳央)
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