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名門校の女子高生(17)が部活の合宿で入浴中に盗撮被害…加害生徒に下ったのは“2日だけの謹慎処分”だった「盗撮はバレー部ほぼ全員が知っている」

文春オンライン / 2024年8月24日 11時0分

名門校の女子高生(17)が部活の合宿で入浴中に盗撮被害…加害生徒に下ったのは“2日だけの謹慎処分”だった「盗撮はバレー部ほぼ全員が知っている」

写真はイメージです ©AFLO

 ニュースで学校での「集団盗撮」の事件が報じられる度、怒りや苛立ち、モヤモヤした思いがこみ上げてくる。当事者にとってはもちろんのこと、親にとっても「盗撮被害」は、何年経っても決して風化することのない人生最悪の記憶だ。

 娘の理沙(仮名)が盗撮被害を受けたのは、2017年の8月だった。

 理沙は当時高校2年生の17歳で、男子バレーボール部のマネージャーをしていた。夏の大会で3年生が引退して最上級生になり、初めての合宿に張り切っていた。

 合宿では朝7時に起きて昼を挟んで8時間ほど練習し、22時には寝るというバレーボール漬けの生活。しかし夕食を終えて女子マネージャーたちが入浴しているところを、当時1年生だったA男にスマホで側面から撮影されたという。

 合宿所は木造の古い建物で、風呂は男性用と女性用が壁で区切られているだけで上部がつながっており、長身男性が背伸びすれば壁の上からスマホを差し出すことができる構造だった。しかし、娘たちはそうした構造に全然気づいていなかったという。

「盗撮はバレー部ほぼ全員が知っている。証言をしてくれる部員もいる」

 入浴時間がバラバラなため盗撮が行われた時に現場にいた男子部員の人数は定かではないが、少なくとも複数名が写真を見て、盗撮があったこと自体は2名を除く男子部員全員が知っていたという。さらに、5人ほどのLINEグループでも写真が共有されていた……。

 盗撮被害が発覚したのは2年半後の2020年2月で、浪人中だった理沙は第1志望の国立大の前期試験直前。バレー部で1学年後輩のマネージャー・B子からのメールがきっかけだった。

 B子は合宿に参加していなかったが、同じバレー部の交際相手の男子から盗撮の話を聞いていたという。その時は黙っていたが、部活を引退して高校の卒業も間近になり、罪の意識に耐えられなかったという。

「盗撮画像は入手できていないが、盗撮があったことはバレー部ほぼ全員が知っている。証言をしてくれる部員もいる」

 そう伝えられ、理沙も親の自分も混乱してしまった。盗撮した男子部員はもちろん、知っていたのに黙っていた他の部員にも怒りが沸いた。2年半も黙っていたB子にさえ腹が立ったのが正直な感覚だった。理沙は一緒に盗撮被害にあった3人のマネージャーと話し、「犯人に謝罪させたい、何なら訴えてやりたい」と言った。

 とはいえ、事件からは2年半という時間が経っている。

 理沙の話を聞きながら事実関係をメモし、まずはネットで「盗撮 被害」と検索してみると、出てくる記事は「盗撮を第三者に気づかれた」「盗撮で被害届を出された場合に取り下げてもらうには?」など、加害者目線の法律相談ばかり。

 それでも被害者が最初にすることは「被害届」の提出だと思い、まずは被害当時に理沙が所属していた高校に電話すると、副校長が電話口に出た。

 副校長は理沙が卒業後に赴任したため、娘の存在は知らない。くわえてまだ在籍している後輩A男の名前も把握しておらず、「そういった生徒はいないようですが?」と言う。埒が明かないため警察に相談する意思を伝えると、副校長は「それを止める権利はこちらにはありませんので」と淡々とした対応だった。

「盗撮された画像が欲しいですね。私がじゃないですよ?(笑)」

 そこで理沙と一緒に近くの警察署を訪ね、盗撮被害の相談だと伝えると生活安全課少年係に案内された。立ち会ったのは係長を含めた4名の警察官。理沙と私はそれぞれスマホを提出し、承諾書類にサインと拇印を押し、全身と正面・横の顔写真も撮影された。そこから一通り事件について話をしたが、「被害届は出せない」と言われてしまったのだ。

 理由としては、盗撮画像が入手できていないことと、事件から2年半が経過していることなどを指摘された。盗撮について知らせてくれた後輩マネージャーとのLINEのやりとりのスクリーンショットを提出し、合宿時の集合画像なども提示したが、警察が動く材料にはならないという。

「とにかく実際に盗撮された画像が欲しいですね。欲しいって言っても、私がじゃないですよ?(笑)」と警察官らしからぬ全く笑えない冗談をはさんで、こう告げた。

「盗撮という事件の性質上、ヘタに動いて写真を消されたら困りますし、学校側の出方をまず見ましょう。この手の事件は、部員たちが結託して事前に口裏を合わせてしまう恐れもあります。なんらかの形で盗撮画像などの証拠が出てきて、その画像がはっきり誰であるか判明できる程度に写っているものであれば、逮捕も可能になってくる」

 その後も、事件が行われた入浴時間などの把握に重要と言われ、私たち親子は当時の合宿の参加者名簿やスケジュールを集めて警察にFAXで送った。

「盗撮が実際にあったという事実確認がとれました」

 高校から連絡が入ったのは、盗撮被害の相談をした1週間後のことだった。

「一応、本人から話を聞きまして。盗撮が実際にあったという事実確認がとれました。画像はアップも転送もしていないそうですし、盗撮した本人はその画像を既に消していて所持していないということです」

 謝罪もなくそれだけを告げ、こちらの反応を窺う様子だった。実際に盗撮をしたA男は高校3年生で、間もなく卒業となる。その高校は偏差値が70を超える首都圏の公立進学校なので、まさに大学受験の時期だった。

 私の念頭には、同じく2017年に同じ県内で校内での盗撮が発覚し、加害生徒が退学処分になっていることがあった。そうした事情も踏まえて、理沙も加害生徒を退学にさせたいと言っていたが、その求めに対して副校長はこう答えた。

「単位認定が既に降りてしまっているので、学校ができるのは盗撮した加害者1人に対する無期限謹慎処分が限界です」

「無期限謹慎処分」とは言っても、卒業式まで2週間しかなく、3年生の登校日は卒業式の予行演習と卒業式当日の実質2日間しかない。また、実際に盗撮をしたA男以外の部員たちについてはお咎めナシだと言う。

 納得できず教育委員会に問い合わせたが、やはり卒業認定の取り消しは不可能というのみだった。

 A男たちの卒業式が迫ってくるが、理沙も他の被害者も謝罪は一切されていない。しかも、A男たちが卒業した後はコンタクトを取ることがさらに難しくなるため、高校の副校長にA男の親への連絡を依頼した。

 するとその夜、A男の母親から電話があり、驚くべきことを伝えられたのだ。

〈 「訴えるなら訴えろ」「他言しないという誓約書にサインしろ」息子が盗撮に関わったと認めたくない親が、被害女性(17)の親に向けた“驚くべき逆ギレ” 〉へ続く

(スズキ ハナコ)

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