「死ね、とかハードな意見も飛んできて…」誹謗中傷にさらされ続けるゆうこす(30)が、それでもSNSをやめないワケ「コメントは全部読んでます」
文春オンライン / 2024年8月3日 11時10分
©釜谷洋史/文藝春秋
〈 「生理は年1、2回。心がバキッと折れる音が聞こえました」鬱になったゆうこす(30)がSNSを通して一番伝えたかったこと《鬱は甘えじゃない》 〉から続く
「元々芸能人だった人が、YouTubeやるなんて恥ずかしい」という雰囲気の中、SNSを駆使して一躍人気を博したゆうこすこと菅本裕子(30)。一方で、その注目度の高さから誹謗中傷にもさらされるようになり…。ゆうこすが考えるSNSとの向き合い方とは?(全3回の3回目/ #1 、 #2 を読む)
◆◆◆
SNSを分析するとすごく楽しいです
――SNSが今ほど盛んではない時代に、率先して使いはじめたきっかけは何ですか?
ゆうこす 2015年に開催された『ミスiD2016』(講談社主催の新時代の女の子オーディション)に出ることを決めてからですね。元々Twitter(現・X)はやっていましたが、そこから戦略的に使うように変えました。
――どのように変えましたか?
ゆうこす それまで「おはよう!」とかあまり考えずにツイートしていたんですけど。ミスIDに出るにあたってこんな内容だと審査員に届くかなとか、これならファンの熱量を高くするんじゃない? って考えながら発信するようになったんです。あと、その頃からデータとかインサイトも見られるようになって、「いいね」の数も、なんでこの投稿は女子の比率が高くて、男子の比率が低いんだろうとか。自分の中で分析ができるようになるとすごく楽しくなっていきましたね。
――今でこそ著名人がSNSで発信するのは珍しくないのですが、当時周りの反応はいかがでしたか?
ゆうこす 元々芸能人だった人がYouTubeやるなんて恥ずかしい。オワコンみたいな感じは確かにありました。でも、だからこそ勝ち目だなって。積極的に自己ブランディングもしていこうって思ったんです。
――ミスIDでは「ぶりっ子キャラ」も話題になり、どのように感じましたか?
ゆうこす まず、自分がぶりっ子なんて思ってなかったんですよね。でも人から言われるってことはきっとそうなんだろうし、当時ミスIDのオーディションは男性の審査員と女性の審査員、別々に行われていましたが、男性の審査員の前では盛り上げられる。でも女性の審査員の前だと萎縮してしまうのはなんでだろう…って思いながら、確かに私ぶりっ子かもって。
私がイメージするぶりっ子は、男性に媚びるとかへりくだって弱く見せる。女性にはワッ…とちょっと萎縮するようなイメージでしたが、どうせならぶりっ子という強い武器を使って発信していこうと決めました。
「少数の熱狂してくれる人たちを生んだ方がSNSの世界では強い」
――ぶりっ子キャラを届けるターゲット層などありましたか?
ゆうこす 男性に私のぶりっ子キャラを発信しても数年で消費されて終わるな。それなら女性にぶりっ子を届ける。クラスの中に2、3人はいる本当はぶりっ子したいんだけど周りの目を気にしてぶりっ子できない。でも男の子にモテたい。ピンクの可愛いリボンとか付けたい。でもクラスのサバサバ女子の目を気にしてできない。そんな少数派の代弁者になって発信したら、その人たちは熱狂してくれるかもしれない。
「ぶりっ子ってカッコよくない?」といった空気を作ったら、彼女たちがイベントにどんどん来やすくなるんじゃないかと思ったんです。あえてパイを小さくして、少数の熱狂してくれる人たちを生んだ方がSNSの世界では強いかもしれない、と仮説を立てたんですね。
だから、たとえば周りから「ぶりっ子ウザい」って言われたとしても、その人たちに届けたいわけではなくて、ちゃんと届けたい層に届くことが大事だなって思いながら取り組んでいました。
――SNSで発信する際、大事なポイントもあったそうですね。
ゆうこす SNSを使って最初に思ったのは、何かのファンを獲得するためには共感を生まないといけない。私のことを好きな人が、私のマネがしたいと思えるような表情や仕草、行動パターンも全て考えました。当時は自分を弱く、あざとく見せることが“モテ”ルールだと思っていて、たとえばアヒル口。元々口角が上がっていましたが、写真を撮るときはより意識して唇がプクッと上がるようなメイクと表情、洋服も全部計算済みでした。
ただ…私もこの前30歳になって、結婚もして、会社も経営して。ファンも同世代が多いから一緒に成長してきていると思うんです。みんな社会人のいい年齢になってきて、弱さや、あざとさといったゆうこすから、自立や挑戦など見せ方も変化はしてきていますね。
ゆうこすが反省したかつての自分の言動
――そう思えるようなきっかけはあったのでしょうか?
ゆうこす 大きなきっかけというほどではないんですが、以前、生理用品のお仕事の依頼がきたときにめっちゃ断ってたんです。生理用品なんて恥ずかしいし、そんなの発信するなんてありえない! って。でも友人のインフルエンサーたち何人かでやるお仕事で、一回ミーティング来てみてって言われて行ってみたら、男性がナプキンの説明をしている姿をみて、私、びっくりしちゃってその場で号泣しちゃったんです。私は北九州で閉鎖された街で育って、女性は一歩下がるのが当たり前だったから、男性のその姿を見てただただカルチャーショックで。
他にも色々積み重なって、自分を弱く見せることが全てではないし、仮にも同世代のフォロワーがたくさんいる状態で、「モテたかったら自分を弱く見せましょう!」って言いきってしまった。そういう選択肢もあるよね、ならまだわかるんですけど、言い切っちゃったことはすごく反省しました。
――中には攻撃的な意見がきたり、少し辛い思いをされたこともありましたよね。
ゆうこす 自分の思いと全然違うように捉えられたり、切り取られたり、「死ね」とかハードな言葉も飛んできて。ただそうしたコメントも全部読んでました。全てデータを取りたかったので、Twitterは「死ね」っていう言葉だけ消すとかできないんですよ。YouTubeはできるんですけど。
あとは、ここ数年で訴えられるようになってきたり、SNSをきっかけに悲しい事件があったりして、少しずつ社会も変わりつつあるのかな。最近はあまり傷つくコメントもないですね。
8月に写真集発売「ダイエットは頑張りました」
――8月に写真集『チャーミング』が発売されますが、経緯について教えてください。
ゆうこす 今まで写真集を出したことがなかったのと、30歳の記念に好きなカメラマンさん、桑島智輝さんに直談判して、沖縄で撮って頂きました。
――写真集を出すにあたって体作りなどされたのでしょうか。
ゆうこす ダイエットは頑張りました。というか、去年の11月くらいが人生で一番太っていて、健康的に痩せよう。じゃあ写真集も出そう、という流れもあって運動もしていったんですけど。ただ、極端に細くなるのは途中で無理! って。スタイリッシュな、たとえば菜々緒さんみたいな感じには自分はなれない! と思い、私はこのくらいぽっちゃりしていても良くない? ということで今くらいに落ち着きました。半年で7キロくらい落としましたが、月に1、2キロ程度無理なく落とした感じですね。
――健康的な写真に仕上がってとても素敵ですね!
ゆうこす ありがとうございます! 写真は健康的で肉付きも良くて、肌もプリンとしていていいね、みたいな(笑)。そんな感じになってると思います。皆さんに見てもらえると嬉しいです。
撮影 釜谷洋史/文藝春秋
(松永 怜)
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