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「俺は、強いやつしか残したくないんだ」ハードワーク過ぎて鼻血が出たことも…元Twitter社長が語った「イーロン・マスクと働くことの大変さ」

文春オンライン / 2024年8月12日 11時0分

「俺は、強いやつしか残したくないんだ」ハードワーク過ぎて鼻血が出たことも…元Twitter社長が語った「イーロン・マスクと働くことの大変さ」

世界的経営者イーロン・マスクと働くことの大変さとは? ©getty

〈 「1分以上同じことを話すと眠たくなる」「送る文章は3~5行まで」元Twitter社長が明かす「イーロン・マスクのやってはいけない」 〉から続く

「『イーロンに思想を合わせないと』『思考プロセスも合わせないと』と思って、精いっぱいやっていた。一方で、体はついていっていなかった。大量の鼻血を出すこともありました」。世界的経営者イーロン・マスクと働くというのは、どういうことなのか? 元Twitterジャパン社長の笹本裕氏の新刊『 イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日 』(文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

◆◆◆

社員全員がイーロンレベルになる可能性

 イーロンは、本当は「1人で全部回したい」と考えているように思えます。

 彼は人に気を使ったり、「あの人はこういうタイプだから、こう話さなきゃいけない」「こうやって向き合わないといけない」などと考えたりするようなことはありません。そんなことを考えていたら、多くの時間を浪費してしまいます。

 そのようなイーロンに対して戸惑うのは、ツイープス(Twitterでは社員をツイープスTweepsと言いました)たちです。通常、トップはまわりにオペレーションができる人たちを置きます。その人たちを信頼して任せて、さらにそのまわりの社員を動かしていく。そういう組織構造があります。軍隊でも200人を超えると統率が取りにくくなると考えられているため、多くとも200人規模を単位としてそこにリーダーを1人配置するという考え方があるそうです。

 しかし、イーロンは、1人の強いリーダーシップのもとで統率したいという考え方です。すると、小さな単位のリーダーがいないことによる犠牲を、ツイープスみんなが被ることになるわけです。

 このやり方は乱暴なようですが、見方によっては「社員全員の思想や行動をイーロンレベルに持っていくことができる」という可能性もあるかもしれません。彼がそれを狙ってやっているのかはわかりませんが、イーロンが保有する他の企業でも同様の方針を取っているようです。

 イーロンが1人でやろうとすることで、結果として、社員全員の判断力や決断力、実行力がものすごく上がるということも起きうるのではないか。何十年後かには、「イーロンのやり方は正しかったんだ」となるかもしれません。

やってみたら、できてしまった

 イーロンにものすごく高いハードルを課され、ドラスティックに環境が変わったことで「できないと思っていたけれど、やってみたらできてしまった」という体験は増えていきました。

 最初の5週間はカオスで、私は気が狂いそうな状況でした。

 労働拘束時間も異常に長く、瞬時に決断を求められたり、実行を求められたりします。

 カオスについていくために、頭はおそらく麻痺していたのだと思います。「イーロンに思想を合わせないと」「思考プロセスも合わせないと」と思って、精いっぱいやっていた。一方で、体はついていっていなかった。大量の鼻血を出すこともありました。

 それでもやはり、麻痺すると、人間というのは無理だと思っていたこともできてしまうものです。リストラで社員7800人が3000人になり、一度に1000人がいなくなったり、数百人がいなくなったりということが続きました。

 2回目か3回目のリストラ時には、オンラインで一人ひとりの意思が確かめられました。「今後のTwitterにコミットする覚悟があるのかないのか?」。ある場合にはイエス、ない場合は返答しない。返答しない場合は自主退職とみなされる方式でした。今までのキャリアで経験したことのない方法で、瞬時に判断を求められますが、無理難題をぶつけられると、それに応えようと必死になります。

「能力があるかないか」というよりも「応える意思があるかないか」のほうが大きいのです。それさえあれば、意外とできてしまう。できるための解決策を探そうと、必死になればできてしまうものだと思うことが多かったです。

 イーロンがつねに言っているのは「とにかく俺は、強いやつしか残したくないんだ」ということです。それはつまり「棚を壊しても、それをまた作っていこうとする人」を彼は望んでいるということです。

〈 「Appleに広告出稿を止められた」大ピンチ…イーロン・マスクが取った「驚きの解決法」とは 〉へ続く

(笹本 裕/ノンフィクション出版)

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