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「ルフィ」事件で有名になった「トクリュウ」とは? 警察は悲願の“仮装身分捜査”の実現に前のめり「米国ではマフィアなどへの大胆な潜入捜査も…」

文春オンライン / 2024年8月2日 19時0分

「ルフィ」事件で有名になった「トクリュウ」とは? 警察は悲願の“仮装身分捜査”の実現に前のめり「米国ではマフィアなどへの大胆な潜入捜査も…」

ルフィグループの幹部・渡邉優樹被告(フィリピンの現地メディア「GMA news」より)

 今後の警察当局の方向性を示す『警察白書』が7月26日、公表され、「匿名・流動型犯罪グループ」なる耳慣れない言葉が特集を飾った。内部では「トクリュウ」と略されるこのキーワードをテコに、警察当局は新たな捜査方法の導入を模索している。

「『トクリュウ』は暴力団でも一般人でもない『半グレ』などのつながりを指す。確固たる上下関係があるわけでもなく、SNSなどを媒介に事件ごとにくっついては離れる。これまで捉えにくかった現代型の緩やかな犯罪ネットワークを言語化したものです」(全国紙社会部記者)

「ルフィ」事件後にできた「狛江事件を二度と起こさせるな」という合言葉

 トクリュウが主に関わるのは、特殊詐欺や著名人になりすましたSNS型投資詐欺、ロマンス詐欺などの犯罪だ。『白書』によれば、詐欺などの資金獲得犯罪で検挙されたトクリュウは今年4〜5月だけで508人に上ったという。

「警察がトクリュウの実態解明を本格化させたのは2023年1月にあった東京都狛江市の強盗殺人事件がきっかけです。後に『ルフィ』グループとして知られるようになりますが、警察はこの事件が起きるまで、その実態をきちんと掴めていなかった。『狛江事件を二度と起こさせるな』は警察当局の合い言葉になっています」(同前)

 トクリュウは暴力団と違って組員として登録されるわけでもないため、事件で立ち現れる一人一人の犯罪者の人間関係を辿っていくことでしか浮かび上がらない厄介な連中だ。

警察の現場が求める「身分を明かさない潜入捜査」

 捜査関係者は、「下っ端はその都度SNSで調達される上、その上役にしても実行犯に指示を出す指示役、金品のありそうな場所を探す情報屋、携帯電話などを用意する道具屋、収益をロンダリングするマネロン屋などに分かれており、従来型の捜査手法だけでその実態に迫るのは容易ではない」と危惧する。

 そんな中、警察当局が布石を打ってきた。『白書』で現場が導入を求める捜査手法として「仮装身分捜査」について言及したのだ。

 この捜査は警察の身分を明かさない潜入捜査のこと。違法カジノで、客を装った内偵を行うなど、その亜流は使われているが、偽造の身分証明書を持つことを許すなどの法的裏付けはない。

「仮装身分捜査は18年に始まった司法取引とともに導入が検討されたが、結局見送られた、警察当局が悲願とする捜査手法だ。米国ではマフィアなどへの大胆な潜入捜査も行われており、日本でも導入を求める現役は一定数いる」(同前)

 ただ、本格的な導入には法改正が必要で、リベラル系からの反発は必至。「今の政権の体たらくでは法改正にこぎ着けられるかは甚だ怪しい」(同前)との評がもっぱら。警察の「悲願達成」はいつになるのか?

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年8月8日号)

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