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「10億稼いでヒルズに住むには、おじいさんたちへの迎合が必須」自分より“儲ける若者”に嫉妬する「日本のおじいさん経営者」のマズさ

文春オンライン / 2024年8月16日 11時0分

「10億稼いでヒルズに住むには、おじいさんたちへの迎合が必須」自分より“儲ける若者”に嫉妬する「日本のおじいさん経営者」のマズさ

 なぜ日本の若手経営者のスケールは小さくなりがちなのか? 写真はイメージ ©getty

〈 「イーロンは間違っている」「リストラが続くやり方では絶対にうまくいかない」元Twitterジャパン社長が語った「アメリカ型経営の限界」 〉から続く

「おじいさん経営者たちは、自分より儲ける人に対する嫉妬から、積極的に出資しようとはしない。これが、若者の自由な成長を妨げています」。日本の若手経営者はなぜスケールが小さくなりがちなのか? 問題の背景を、元Twitterジャパン社長の笹本裕氏の新刊 『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』 (文藝春秋)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編を読む )

◆◆◆

フェラーリに乗って満足していてはいけない

 日本は人口が約1億2000万人。世界経済は第4位です。

 そうなると、ちょっとビジネスがうまくいけば、ある程度のお金は入ります。そこがある意味、日本のいいところであり、悪いところでもあると思うのです。

 最近、まわりの経営者と「いまは、ちょっと儲かるとフェラーリ買って、ヒルズみたいなところに住んじゃうよね。それじゃ、これからはダメだよね」という話をしています。

 目指すべきは、そんなレベルではありません。

 中国の富裕層は、1億人くらいいます。ほとんど日本国民全員が富裕層になっているのが中国だと考えると、こんな程度のことで満足していては世界に打ち克っていけないのです。

 インドネシアに行くと、20代30代の若者たちの目がキラキラしています。スタートアップで働く人だけではありません。たとえば銀行の中のペイメントの仕組みを作った若者が、スピンオフして「これからインドネシアで日本のSuicaみたいなものを作って上場するんだ!」と意気込んでいたりする。彼らを見ていると、すごく眩しく感じます。

 翻って、日本ではあまりそういう光景は見られません。

 インフラ系は、レガシーな重工業企業が牛耳っている。そういう大きな会社が社内ベンチャーを作ったとしても、あくまでも社内ベンチャー。それをスピンオフさせて、上場させて、その子たちに何かすごい成功体験をさせてあげよう、とは絶対になりません。

「儲けやがって」という嫉妬

 日本の経営者は、自分たちの給料が抑えられているので「儲けやがって」というような嫉妬があったりします。

 私が昔、ベンチャーを起業して銀行系のVC(ベンチャーキャピタル)を訪れたときのことです。

 事業計画を持っていったのですが、そこには私の給料も載っていました。未払いのまま、ずっと無収入でやっていましたが、いちおう計上はしていたのです。その額、年収1000万円。それを見て、VCの部長さんが「俺の給料より高えな」と言ったのです。私は内心「そんなことで出資するかどうかが決まったりしないよな……」と心配になりましたが、そんなこともあって、日本は大丈夫かなと思ったのです。

 ちなみに日本のベンチャーキャピタル市場は、いまだに1兆円台でしかありません。桁がひとつ足りない。この現状は、いろんなものが連鎖した結果です。

 日本では、経営者の給与水準が固定されてしまっている。おじいさん経営者たちは、自分より儲ける人に対する嫉妬から、積極的に出資しようとはしない。これが、若者の自由な成長を妨げています。

 そして、若者たちは「何とか10億くらい稼いでヒルズに住みたい」と思うと、このおじいさんたちに迎合しないといけない。こうした停滞のループを生んでいる構造をブレイクしない限り、うまくいかないと思うのです。

〈 「なんで日本人はこんなに安く働かされているんですかね?」外資系ヘッドハンターが返した驚きの回答「日本人は年収が100万上がるだけで…」 〉へ続く

(笹本 裕/ノンフィクション出版)

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