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「女帝に事実上の辞任勧告!」“東京女子医大の闇”第三者委員会の調査報告“驚きの内容”「女子医大の理事会は解散すべき」「予想は良い意味で裏切られました」

文春オンライン / 2024年8月1日 18時0分

「女帝に事実上の辞任勧告!」“東京女子医大の闇”第三者委員会の調査報告“驚きの内容”「女子医大の理事会は解散すべき」「予想は良い意味で裏切られました」

東京女子医科大学(7月31日撮影)

〈 《東京女子医を家宅捜索》「私に関するフェイクニュースが…」“女帝”とナゾの側近2人が絡んだ疑惑のカネ「警視庁が考える“本丸”は…」 〉から続く

 多額の不透明なカネや、高度医療に欠かせない集中治療室を崩壊させるなど、乱脈経営が際立っている、東京女子医科大学(東京・新宿区)について調査していた第三者委員会が、厳しい評価の報告書をまとめたことが関係者の証言などから判明した。

「女子医大の理事会は解散すべき、という第三者委員会の指摘に衝撃を受けました。これは岩本絹子理事長に対する実質的な辞任勧告だと思います」(女子医大関係者)

 東京女子医大を支配してきた女帝の進退は、今後どのようになるのか。危機に直面している医療現場の状況も含めて、最新事情をお伝えする。

予想外だった第三者委員会の調査結果

 7月31日夕方、東京女子医大の総合外来センター5階にある大会議室は、物々しい空気に包まれていた。急遽、理事と評議員を臨時招集して、第三者委員会の調査結果について概要を説明することになったのだ。録音や撮影を防止する目的なのか、理事や評議員たちは携帯電話を預けるように要求されたという。そして、第三者委員会による調査結果の概要が説明された。招集された女子医大の関係者は、予想外だったと語る。

「個人のプライバシーに関わる部分があるため、いま報告書の全文はお見せできないということでした。そもそも現在の理事10人全員は、岩本先生が選んだ方々です。その理事会が選んだ弁護士たちですから、きっと岩本先生に有利な調査結果を出すだろうと思って、期待していませんでしたが、予想は良い意味で裏切られました。理事会に対してノーを突きつける報告だったのです。去年まで検察幹部だった弁護士が委員長なので、フェアに判断されたのだと思いました」

 この第三者委員会は、今年3月に警視庁捜査二課が、特別背任容疑で東京女子医大や岩本絹子理事長の自宅を一斉に家宅捜索したことを受けて設置されたものだ。関係者によると、文部科学省からの強い指導があったという。

 委員長には、去年まで最高検察庁次長検事だった山上秀明弁護士が選任された。東京地検特捜部長時代には、徳洲会による公職選挙法違反事件を指揮した人物である。

 このほか、青山学院大学・元学長の三木義一弁護士など、不正調査の専門家である合計4人の弁護士によって委員会は構成された。

勤務実態のない側近に“年額約3600万円”の給与

 第一の調査対象は、警視庁が家宅捜索を行った「特別背任容疑」。

 岩本理事長の側近Xは、2018年に同窓会組織「至誠会」の事務職員として、東京女子医大から“出向”扱いで年額約2000万円の給与を得ていた。同時にXは勤務実態がないにも関わらず、至誠会からも年額約1600万円の給与を二重に得ていたのである。( #12 , #19 )

 当時の岩本氏は、東京女子医大の理事長と至誠会の会長を兼務していたことから、側近の特別背任容疑に関与している可能性が高い。だが、家宅捜索の後に学内で行われた職員向けの説明会で、岩本氏はこう述べていた。

「警察の捜査には、びっくりしている。(元職員Xは)報酬に見合う以上の仕事をこの大学でしていたと、認識をしているし、この件に関して問題はなかったと考えている」

 実際は、3月の家宅捜索で、警視庁が関係する証拠書類をすべて押収している。現在も捜査中なので、第三者委員会の弁護士たちには、肝心の証拠書類を確認することができない。そのため、特別背任容疑に関しては、関係者のヒヤリングが中心になったようだ。

「配布された書類は回収されたので記憶の範囲ですが、側近Xの給与が二重に支払われた事実は確認されたと。業務内容から考えて給与額は過剰に多かったという判断でした」(前出の女子医大関係者)

 ちなみに、側近Xは特別な資格を持たない一般事務職員である。現時点で判明しているだけで、2015年から8年間で、至誠会は合計1億1366万円の給与を支払っていた。また、岩本氏も2013年から6年間にわたり「顧問料」の名目で、合計約2000万円を得ていたことも分かっている。

 去年、岩本氏は至誠会の会長を解任され、体制が変わった至誠会から、側近Xの分と合わせて報酬の返還請求の裁判を起こされている。

第三者委員会が問題視する「第二の調査対象」

 第二の調査対象が、「内部統制、ガバナンス上の問題」である。

 東京女子医大は、この3年間ほどで一気に医療崩壊が進行して、深刻な危機に陥っている。医療ミスが頻発して、集中治療室では死亡事故も発生した( #16 )。こうした混乱の起点となったのが、小児集中治療室のPICUを、経営陣の不可解な判断で解体したことである。

 2014年に鎮静薬プロポフォールを大量に投与して、当時2歳の男児を死亡させた事件(現在、業務上過失致死罪で担当医が公判中)を受けて、尊い命に対する責任と再発防止の観点から、PICUは設置された。カナダの大学病院に勤務していた医師など、海外から3人の専門医を呼び寄せて、PICUは2021年7月にスタートしたが、採算性や専門医の給与を理由に丸学長らが難色を示して、設立から約半年でPICUは解体されてしまったのである。

「第三者委員会は、PICUを解体すべきではなかった、とはっきり指摘していました。PICUは私たちにとって、義務であり責任ですから、採算性や医師の給与を理由に解体するなんて、あり得ません。

 女子医大のガバナンスについては、岩本先生に権限が集中していることに問題があり、丸義朗学長や他の理事たちも、本来の役割を果たさなかったと認定していました。

 そして、女子医大の理事会は解散すべきという提言には衝撃を受けました。名指しこそしていませんでしたが、理事会の解散ということは、実質的に岩本先生に対する辞任勧告ですから」(同前)

危機的状況が続く女子医大の医療現場

 7月2日、大学を所管する文科省に、東京女子医大の教授ら6人の姿があった。警視庁の家宅捜索を受けて以降も経営体制が是正されることなく、医療現場に深刻な危機が続いていることから、岩本理事長に辞任を要求する署名活動を実施。2000名を超える署名を携えて、文科省に指導を求める、異例の“直訴”を行ったのだ。

 日本を代表する消化器外科医の本田五郎教授は、こう訴えた。

「東京女子医大は臓器移植で国内トップクラスの施設でしたが、現在はICU(集中治療室)が機能していないので、移植手術がストップしています。移植が必要な患者のために、この状況は早く改善しなければなりません」

 2022年、集中治療科の教授らに対して、経営陣が理不尽な処分を行うなどしたことから、専門医9人が一斉退職、ICUが空中分解する事態になった。その後も、以前のような規模で専門医を補充できず、新たに集中治療科の教授となった医師も近く退職することになった。大学病院でありながら、高度医療に必要不可欠なICUが機能していないという、極めて深刻な状況が続いているのだ。

 現役の女子医大教授が述べる。

「今回、第三者委員会が厳しい調査結果を出してくれたことに、最後の希望を賭けています。岩本理事長や取り巻きの理事たちを一新しないかぎり、東京女子医大の復活はありません」

 第三者委員会から事実上の辞任勧告を受けて、岩本理事長の去就に注目が集まっているが、自ら辞職する可能性は低いとみられる。女帝の座から降りてしまえば、権力で押さえ込んでいた関係者が次々と不利な証言をすることは想像に難くない。

 警視庁捜査二課は、側近Xの給与二重払いによる特別背任容疑と合わせて、東京女子医大の大型施設に関連した不透明なカネの動きも追っているという。

(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)

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