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「彼は好き嫌いが激しいんです」「ゲームばっかり。安楽選手とも…」野口啓代(35)が語る夫・楢﨑智亜(28)の意外な私生活と“パリ五輪までの日々”

文春オンライン / 2024年8月7日 11時0分

「彼は好き嫌いが激しいんです」「ゲームばっかり。安楽選手とも…」野口啓代(35)が語る夫・楢﨑智亜(28)の意外な私生活と“パリ五輪までの日々”

現在はプロフリークライマーとして活動する野口啓代さん ©松本輝一/文藝春秋

〈 東京五輪で銅→引退&結婚→1歳娘の育児生活…“クライミング界の女王”野口啓代(35)が今でも“壁”を登る理由「今の子供たちは木登りもできないから…」 〉から続く

 約20年にわたって第一線で活躍し、“スポーツクライミング界の女王”とも呼ばれる野口啓代さん(35)。銅メダルを獲得した2021年東京五輪で現役を引退し、同年12月には同じトップクライマーの楢﨑智亜選手(28)との結婚を発表した。

 楢﨑選手とのパリ五輪までの日々、メダルが期待される日本勢の“強み”、「誰が勝つのか読めない」という“ルール変更”は結果をどう左右するのか? 野口さんに聞いた。(全2回の2回目/ はじめから読む )

◆ ◆ ◆

パリ五輪の競技は「ボルダー&リード」「スピード」の2種目

――パリ五輪では、東京大会と競技ルールが変わったんですよね。

野口啓代さん(以下、野口) 東京五輪ではボルダー、スピード、リードの3種目の総合で争われていたのですが、パリは「ボルダー&リード」「スピード」の2種目になります。フォーマットが全然違いますし、練習方法も変わってきます。

 ボルダーは制限時間内に課題を攻略するルートをどれだけ思いつくかを争い、発想力と決断力が求められます。リードは高さ15mを超える壁を6分の制限時間以内に、どこまで高く登れるかを競い、ルートは高くなるほど厳しくなるので、高い身体能力と判断力が求められます。またスピードは2人の選手が同時にスタートし、いかに速く登るかを勝ち抜き方式で争います。

 パリ五輪でのスピード種目は、残念ながら日本人選手の出場が叶わず、ボルダー&リードに、男子は夫の楢﨑智亜(28)、成長著しい高校生の安楽宙斗選手(17)、女子は大学生の森秋彩(あい)選手(20)、東京五輪で銀メダルを獲得した野中生萌選手(27)が出場します。

ルール変更で、誰が勝つのか読めない試合に

――このルールの変更は、楢﨑選手にとってプラスになりますか。

野口 いや、マイナスですね。智亜はもともと、スピードとボルダーが得意で、リードは苦手。そもそも、スピードは瞬発系、リードは持久系というぐらい求められる筋肉の質も違うし、壁の攻略法も異なる。智亜は、スピードとボルダリングで高い点数を取り、リードの点数を補うというスタイルで世界を制してきたけど、パリではそんな戦い方が出来なくなった。

 3種目をこなせる選手は世界でも少なく、これまでは智亜にアドバンテージがあった。でも、ボルダーとリードが得意な選手は珍しくない。それに2種目の合計だと僅差になるので、本当に誰が勝つか読めないですね。

 ただ、東京五輪前に比べ、心は安定していると思います。東京五輪の時は、その前の世界選手権で2位に圧倒的な差をつけ金メダルを獲ったので、東京五輪でも金メダルは確実とされていた。本人も金メダルを獲りたいというのではなく、獲らなきゃいけないと考えてしまったようで、そのプレッシャーに苦しんだと言っていましたね。それで実力が発揮できずに4位に終わりました。

 東京五輪後はかなり落ち込んでいました。今でも自分のキャリアで一番後悔しているとも言っていますが、ただ、パリに向けては「挑戦者なので試合が楽しみ」と。私も智亜の練習に立ち会うことが多いですが、とにかく苦手なリードを克服することに重点を置き、壁を攻めています。

野菜嫌いの楢﨑選手。「料理のやりがいはないけど…」

――トップアスリートの食事の管理も大変そうですね。

野口 彼は好き嫌いが激しいんですよ。野菜がすべてダメ。独身の頃は、鶏肉を中心としたタンパク質ばかり摂っていたみたい。でも25歳を過ぎた辺りから、トレーニングで追い込むと40度くらいの熱を出すようになった。それも年に何回も。

 やっぱりビタミンやミネラル不足じゃないかと考え、色んな野菜をコールドプレスで調理し、ジュースにして飲ませるようになってからは体調を崩さなくなりましたね。

 私は料理が好きなので、手の込んだものを作りたい。でも智亜は、食事は体を作るためのものと考えているので、味や見た目より、この食事でどんな栄養が取れるかなんですよね。料理のやりがいはないけど、まずはその日の練習の負荷に合せてメニューを考えています。

クライミングのこととなるとトコトン議論

――トップアスリート同士ですが、意見の食い違いなどありますか。

野口 日常生活や子育てに関してはないです。ただ、私たちはクライミングが大好きで、お互いの成功体験や独自の価値観を持っています。意見が合う時もあれば、譲れない時も。だからクライミングのこととなるとトコトン議論してしまうのが私たちの日常なんですよ(笑)。

 意見が合わないことがあるにしろ、クライミングについて話し合える人がすぐ横にいるというのは幸せですね。

 あと、智亜は無類のゲーム好き。そこは私の相容れないところですね。リビングでゲームに没頭されても困るので、新居には智亜専用のゲーム部屋を作りました。最近は弟の明智や、安楽選手らともゲームを楽しんでいるみたいです。夜に電話しながら一緒にやってることも。以前は「ゲームばっかり」と怒ることもありましたが、今は何も言いません(笑)。

小柄な森選手でもメダルの可能性は大

――妹のように可愛がっていた、同じ茨城県出身の森選手もパリ五輪に出場します。

野口 彼女は中学の頃から代表に入っていて、試合にも一緒に出ていたのでよく知る仲ですが、私が引退した後も変わらない付き合いをさせてもらっています。家も近いし、私の実家にあるクライミング施設に練習しに来てくれるので、とても身近な存在ですね。

 彼女は智亜と反対でリードが得意。リードだけだったら、世界トップのヤンヤ・ガンブレット(スロベニア)にも勝つ可能性はあるのですが、リードと比べるとボルダリングがそこまで得意とは言えない。ボルダリングは身体能力で遠くまで距離を出さなきゃならないので、ある程度の身長やパワーが必要です。

 でも、森選手は154cmと小柄で、どうしてもハンディはある。そこを彼女の技術でどうカバーできるか。今はリードとボルダリング2種目とも強いヤンヤが圧倒的な力を誇っていますが、去年の世界選手権では、森選手がリードで圧勝し銅メダルを獲得している。パリでもメダルの可能性は大です。 

ボルダリングでいかに高得点を取れるか

――楢﨑選手は、パリ五輪ではどんな戦い方をしますか。

野口 心身共にかなり上向いているので、期待していただいてもいいと思います。勝つためには最初の種目のボルダリングでいかに高い得点が取れるか。出場選手はみな同じようなことを考えていると思うけど、智亜は最大の100点に近い点数を獲る実力がある。ボルダリングで2位をいかに引き離すかがカギですね。

 リードはどんな課題が出されるか当日まで分からない。壁の上部になると1手4点ずつ離されてしまいます。やっぱり何手食らいついていけるかが勝負でしょうね。

 例えばボルダーの一完登だと25点ぐらい離せるのですが、リードの上部で5手足りないと20点ほど巻き返されちゃう。6手だと24点。だからボルダリングで大きく離してアドバンテージを持っておくと、リードの時に余裕を持って臨めるはずです。

 私も現地に応援に行きますけど、智亜だけでなく4人の日本人選手には、メダルの場所にまで登攀して欲しいです。

(吉井 妙子)

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