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「バラエティは絶対出たくない。くだらないから」小泉今日子が語る仕事選びの“重要な基準”とは?――2024年上半期 読まれた記事

文春オンライン / 2024年8月12日 6時0分

「バラエティは絶対出たくない。くだらないから」小泉今日子が語る仕事選びの“重要な基準”とは?――2024年上半期 読まれた記事

2人とも49歳で独立を経験している ©文藝春秋

2024年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。芸能界部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024/01/17)。

*  *  *

49歳で会社を立ち上げ、精力的な活動を続ける小泉今日子さん(57)。独立という決断の背景には何があったのか。同じく49歳でNHKを辞めるという重要な決断をした有働由美子さん(54)が、小泉さんの本音に迫ります。

◆◆◆

 有働 先日、大阪のZepp Nambaで行われたライブを見に行かせていただいたんですよ。

 小泉 え! そうだったんですか。ありがとうございます。

 有働 クラブ系のミュージシャンの方々とコラボした、90年代の楽曲が中心のツアーでした。

 小泉 最近、若者に90年代のファッションや音楽が再注目されているのですが、あの頃といまの世の中のムードが似ていると思ったんです。当時私は20〜30代でしたが、湾岸戦争が起こり、バブルも終わって、みんなが「これからどうなるんだ」と不安を抱えていました。でも、「あれも乗り越えたし、今回も大丈夫!」と言えたらいいなと思って、このテーマに決めたんです。

 有働 そうだったのか! コンサートの時は客席からでしたが、いま目の前に小泉さんがいらっしゃると、中学時代からずっとテレビで見てきたからか、つい舞い上がってしまいます。最初に真面目な質問をしようと考えて準備していたのに、ポーッとしてしまって。

 小泉 お察しします(笑)。

バラエティはくだらない

 有働 私みたいに、まず「ずっと見てました!」という話から会話が始まる人、多いでしょうね。

 小泉 そうですね。例えば私がコンビニの話をすると「えっ、コンビニ行くんですか!?」って言われたりするんです。コンビニくらい行くよと思うけど、相手の気持ちを想像して、「たしかに松田聖子さんをコンビニで見かけたらビックリするな、なるほど」と理解する。そうやって1回誰かに転換しないと、自分にとっては日常のことだからピンと来ないんです。

 有働 我々からすると、松田さんも小泉さんも同じように雲の上の存在で、日常生活が想像つかないです。アイドル時代はステージ上で輝いていらっしゃいましたが、最近はテレビのバラエティ番組で全然お見かけしませんね。

 小泉 絶対出たくないですね。

 有働 なぜですか?

 小泉 くだらないから。

 有働 ワーオ! どういうところがくだらないですか?

 小泉 どういうところも何も、素敵だと思いますか?

 有働 ……実は私もあまり見ないので、コメントが難しいですね。でも、小泉さんが昔、出ていた頃のバラエティと何が違いますか?

 小泉 たぶん、昔と同じだからマズいんじゃないですかね。世の中がガラッと変わっていっているのに、昔のムードのまま押し通そうとしている。テレビ局は変わらないとマズいよね、と思っています。

 有働 はっきりおっしゃるんですね。

 小泉 はっきり言います。

 有働 みんなテレビ局にケンカを売らないように、ついつい表現を和らげてしまいがちですが。

 小泉 そうか……私はもうテレビに出ないと生活に困るという感じでもないし、何にももたれかかっていないので。そのために独立したところも、私の心の中にはあるんです。

「利他的」という選択

 有働 49歳で制作会社「明後日(あさって)」を立ち上げて、52歳で大きな事務所から独立されたんですよね。

 小泉 組織の中にいる間は、組織のルールや付き合いがあるので、そこを侵すようなことってあまりしてはいけないと思うんです。でも私にはもっと言いたいことや、やりたいことがあった。中にいたらルール違反になるので、だったら出るしかないなという感覚がずっとあって。それで、親より長い関係のあった会社とじっくり話し合って、いまでは自由になりました。

 有働 私は49歳でNHKを辞めたんです。大きな組織の中にいると確かに色々とありますが、いざ辞めるとなると、後ろ盾がなくなった感覚が怖くて。そういった不安はなかったですか?

 小泉 まったくなかったですね。別にこの仕事を辞めてもよかったし、自分の人生をちゃんと生きようと思った。逆に、想像したより大変じゃなかったという感じかな。

 有働 今の小泉さんは「明後日」の社長であり、プロデューサー、女優、歌手もやっているわけですが、それも大変とは感じないですか?

 小泉 わからないことは沢山ありましたけど、ゆっくりやっていけばいいだけですから。自分の生活も含め、今すごく守らなきゃいけないものも持っていなかったから、なんとも思わなかった。コロナ禍になり、予定していた舞台公演が白紙になった時には、キャストやスタッフへの補償のために初借金もしました。それも面白がる余裕がありました。

 有働 「どうしよう」と不安がるのではなく……。

 小泉 そう。自分が気持ちよく次に進めるように、どうせ赤字なら爪痕を残していこうと思ったんです。

 有働 爪痕?

 小泉 下北沢の本多劇場を3週間押さえていたので、白紙になった公演の代わりに、表現の場をなくしていた友人たちに声をかけて、日替わりで演目を並べることにしたんです。社員3人しかいないのによく回したなと思うけど、出演者にもお客さんにもめげてほしくなかったんですよ。

 有働 持続化給付金を受給する選択肢もあったと思いますが、あえて苦労する道を選んだのですね。

 小泉 2020年、NHKでコロナ禍の世界について、各国の著名な学者に聞く特番がありました。そこで経済学者・思想家のジャック・アタリさんが、「コロナ後は利他的な社会になるべきだ」という話をしていたんです。それを見て「そうだ、利他的だよ!」と指を鳴らして、自分より、みんなが幸せになれるような選択をしようと決めたんです。

 有働 ジャック・アタリ! 借金を抱えても、ご自身の多大なる貯金から出せばいいと思われたとか?

 小泉 いや、会社とそれとは別です。多大なる貯金もないですしね。

 有働 テレビも音楽も一番元気だった時代の財産は……。

 小泉 お給料でもらっていたので、人が驚くほどは無いんですよ。

 有働 アイドルって給料制なんですか?

 小泉 事務所との契約によりますが、私はお金のことで文句を言って好きな仕事ができなくなるのはイヤだった。それでも十分にいただいていましたし。だから、大して家とかは買えてない。作詞とか本の印税が入ることがあるけど、それも家族や周囲のことに使うんですよね。

 有働 わかります。歳を重ねるごとにかかるようになりますよね。

 小泉 だから会社は会社の会計で、借金はゆっくり返しています。

仕事は午前中に集中してやる

 有働 普段はどんなスケジュールでお仕事されているのですか?

 小泉 ツアー中は週末ごとに地方へ行って歌うし、普段は取材や撮影が入っている日もあれば、会社で終日デスクワークという日もあります。メールのやりとりも結構な時間が必要で、早朝によくやりますね。

 有働 早朝というと?

 小泉 5時、6時には目が覚めるんです。おばあちゃんだから。

 有働 いやいやいや(笑)。

 小泉 午前中が一番誰にも邪魔されずにものを考えられるので集中的に仕事をこなします。代わりに夜の7時、8時以降はよほどじゃない限りパソコンを開かないと決めました。そうしないと、好きな韓国ドラマも見られない(笑)。

 有働 お仕事はどういう基準で選んでいるんでしょうか。

 小泉 今日のような対談や取材は無数に依頼が来るので「ああ、有働さんにしばらく会っていないな。会いたいかも」と感覚で決める。徐々にシンプルな基準で判断するようになってきています。

 有働 そうすると、今の方が昔より自由に動きやすいですか。

 小泉 自分の人生を、きっちり自分の車で走っているという感じですね。前も楽しかったですが、自分の人生だけど運転手が別にいて、ちょっとラクをしていたという。

 有働 2021年から2年半はポッドキャストで『ホントのコイズミさん』という、本にまつわる番組をされましたよね。読売新聞で10年も読書委員を務めた小泉さんらしさがありつつ、マスを相手にしてきたキョンキョンとは違った発信の仕方だと感じました。

 小泉 実は自分の中では昔から、マスかそうじゃないかという区別はしていないんですよ。サブカルチャーともずっと繋がってきたし、そっちの方が得意なんです。一方で、マスに訴求するために呼ばれたら、それはそれで力を発揮することはできるかもしれないなとも思います。

本記事の全文 「60歳定年だと思って、その先は白紙にしています」 は、「文藝春秋」2024年2月号、および「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

(小泉 今日子,有働 由美子/文藝春秋 2024年2月号)

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