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“末期がん”を宣告された見栄晴(57)が味わった“最後のビール”と入院生活の意外なリアル「痛みはなかったけどツラかったのは…」

文春オンライン / 2024年8月31日 11時0分

“末期がん”を宣告された見栄晴(57)が味わった“最後のビール”と入院生活の意外なリアル「痛みはなかったけどツラかったのは…」

見栄晴さん ©文藝春秋 撮影・石川啓次

〈 「娘にだけは『早期発見』って嘘をつきました」下咽頭がんステージ4を宣告された見栄晴(57)が“死ぬよりも怖かったこと”とは 〉から続く

 癌の宣告を受けてからつけ始めたという日記帳を見ながら、闘病生活を振り返る見栄晴さん(57)。

 見栄晴さんがかかった下咽頭がんは進行が速く、ステージ4という進行度も含めてすぐに治療に入る必要があった。

 仕事の整理、入院、そして新たな腫瘍が発見され……。あまりに過酷な闘病生活はどんなものだったのか。

◆◆◆

誰もが驚いた「生放送での癌告白」

――癌の発覚から、すぐに治療に入ったのでしょうか。

見栄晴 1月18日に治療の方針が決まった段階で、いつ入院して治療を始めるかって話になったんです。

 そのとき最初に頭に浮かんだのは、25年以上MCをやらせてもらってる『競馬予想TV!』のこと。僕、それまで1回しか休んだことがなかったんですよ。

 今思うと不思議なくらい前向きだったんですけど、不安だったのは癌が治ることよりも、「治った後に番組に戻らせてもらえるのか」っていうことでした。病院の先生に番組のことも説明して「最短でいつ戻れますか?」って聞きました。そのときは、順調に行って5月の頭ぐらいと言われたかな。

――生放送での癌告白は多くの人が驚きました。

見栄晴 番組のプロデューサーに直接電話して病気のことを伝え、入院前最後の出演で、番組の最後に3分間もらって、自分の言葉で癌のこと、入院すること、戻ってきたいという気持ちを伝えさせてもらいました。

 生放送で公共の電波を使って自分の病気を報告するのって変だし、その時点では治療も何も始まってないから、戻ってこれるように頑張るとしか言えなかったんですけど。でもプロデューサーも「見栄晴さんが治ったタイミングでいつでも戻ってきてください」と言ってくれて、治ったら番組に戻れるっていうのが一番のモチベーションだったかな。

「正直、競馬場ではビールも飲んでました。嫁も文句を言わなかったですね」

――お友達に心配されたりはしましたか?

見栄晴 実はあの放送の翌日に、もともとプライベートで競馬場に遊びに行く予定があったんです。入院までまだ数日あったので予定通り競馬場へ行ったら、会った人みんなに「大丈夫?」って声をかけられました。武豊騎手が僕のほうへ近づいてきてくれて、喉を指しながら心配してくれたり。 「これはちょっと競馬場なんて行ってる場合じゃねえか」と思いつつ、でも怪我とかではないので普通に動けるんですよね。

――そのとき、体調のツラさなどは?

見栄晴 何にもないの。喉が痛かったからタバコは吸わなかったけど、正直、競馬場ではビールも飲んでました(笑)。入院前までだから、嫁もそれには文句を言わなかったですね。

――一見変わらない生活をしつつも、徐々に治療や入院は迫ってきますよね。

見栄晴 入院する前にPET検査と歯医者さんに行く必要があって、それは大変でした。

――歯医者さん?

見栄晴 喉とか口の周りに放射線を当てると、しばらく歯の治療ができなくなっちゃうんですよ。 治療することで細菌が入ったり、治りづらくなったりするから。だから、虫歯の疑いがある歯は先に抜かないといけない。僕の場合は年齢もあったし、歯が弱いっていうので4本抜くことになって。

――それは知りませんでした。4本も抜くのはなかなか大変ですよね。

  これが結構大変だった。スケジュール的に時間がないから、1日3本歯を抜いたんだけど、その夜に血が止まらなくなって、自分で車を運転して緊急で病院に行きました。結局終わったのが朝5時とかだったかな。それで歯の治療が終わった次は、癌が他の場所に転移していないかを見るPET検査にも行きました。

「大腸に別の癌の可能性があります」

――入院までの2週間はあっという間に。

見栄晴 そうですね。気づけば入院する2月2日になったんですけど、入院初日に衝撃的なことを言われて。PET検査の結果「食道にも肺にも癌は飛んでないけど、大腸が怪しい」と。

  喉から大腸の転移はほぼないから、別の癌の可能性がありますと言われて、「えっ」となりました。耳鼻科と放射線科、歯科ときて、今度は全然関係ない消化器科に行って新たな検査をしなくちゃいけなかったんです。

 ただ大腸は癌だとしてもまだ小さいから進行が遅いし、まずは喉を治してくださいと消化器科の先生に言われました。

――同時に治療はできないんですね。

見栄晴 放射線科の先生から「抗がん剤と放射線で喉が腫れ出す時期だから、バリウムを2リットル飲むことが不可能」という理由でNOが出ちゃったんです。

 でも僕が「同時にやってください」と頼んだら、先生が病理検査の結果を見て「こんな順番で手術したことはないけど、もしやるならまだ水分が飲める明後日に」と話が急転して。それで喉の前に大腸の内視鏡手術をすることに。

――大腸癌のことは初めて聞きました。インスタグラムやメディアでは公開していないですよね?

見栄晴 そこはね、言うとややこしいし、また心配される方もいるかなと思って。

 でもやってみて思ったのは、PET検査って俺みたいにすでに癌が見つかってる人が転移とか進行具合を見ることもできるし、オズワルドの畠中くんみたいに、早期発見にも役立つってこと。

 ちなみに健康診断で自由診療として受けると10万円くらいかかるけど、僕みたいに既に治療に入ってて病院が予約した場合、保険が適用されて3万円くらいだから、もっと多くの人が受けられるようになるといいよね。

――大腸の内視鏡手術と並行して、2月5日からついに抗がん剤治療と放射線治療が始まったんですよね。

見栄晴 実際、いろんな検査や治療が一気に進むから本当にわからないことだらけだったんですよ。検査もCTとかPETとかあるし、放射線治療は計35回、抗がん剤は計3回……とか、一気に説明を受けてても、ずっとどういう意味なんだろう? ってわからなかった。

 抗がん剤は耳鼻咽喉科で、放射線治療は放射線科と、診療科が違うのもややこしくて理解できなかったんですよ。

 でも、先生が「私たちはチームなので、一緒に頑張りましょう」って言ってくれて、入院すら1回もしたことがない僕にとって、それがすごく頼もしかった。それぞれの治療のペースがうまく計算されてて、7週目に全部綺麗に終わるようになっているのにも感動しました。

「放射線も抗がん剤も痛みはどっちもなんともない。放射線に関しては…」

――治療自体に痛みは伴うんでしょうか?

見栄晴 ううん、放射線も抗がん剤も痛みはどっちもなんともない。放射線に関しては、何をされてるのかもわからないくらい。

――時間はどれぐらいかかるんでしょう。

見栄晴 放射線は、実際当ててるのは2、3分。僕自身はただその場所に行って、上半身裸になって体を固定するお面を着けて、入るだけ。見ることもできないから、実際どういう動きしてるかも全然わからないんですよね。苦しいことがあったら押してくださいってナースコールを渡されるけど、全然苦しくないし何されてるかがわからないうちに終わる。ラスト15回は放射線を当てる幅を狭めるから、時間も短縮されますし。

 抗がん剤治療は注射かと思ってたんだけど、実際は点滴だった。抗がん剤を投入するの自体は多分1時間ちょっとで終わるんだけど、抗がん剤を投与するまでに身体に下地を作らないといけないから、生理食塩水とか利尿剤、吐き気止めの点滴もしなくちゃいけなくて、1日中点滴してるような感じでした。

――放射線治療中は外すんですか?

見栄晴 そのときもしたまま。点滴は退院する直前まで外れなかった。 邪魔だからストレスは感じたけど、治すためにはなんでもやらないとっていう気持ちのほうが大きかったな。

――入院中、体調の変動はどうでしたか?

見栄晴 僕はラッキーなことに、身体はすごい元気でした。抗がん剤は副作用で髪の毛が抜けるって聞いたことがあったけど、僕が入れたのはあんまり抜けないタイプだったみたいで、多少抜けたかな、くらい。放射線で髭は生えなくなったかな。

 ただ、放射線の影響で口の中が切れたり口内炎ができたりするから、みんな食欲がなくなって体重が落ちちゃうんだって。だから「体重を5キロ以上減らさないように頑張ってください」って言われてました。口から食べられないと点滴で栄養取る必要があるから、治療とは別に強制入院になるんですよ。

「夜中のトイレで寝不足になるのはツラかった」

――見栄晴さんはどうでした?

見栄晴 入院前に奥歯を抜いてたから噛むのも難しいんだけど、「体重を落とすな」と言われてたからとにかく一生懸命食べました。主食をそうめんとかパンに変えてもらったり工夫しながらね。それと、治療を始めると体重が減りがちだけど、抗がん剤治療をすると点滴で身体が浮腫むんで、僕の場合は体重が7キロも増えましたね。

――体重が、減るどころか増えたと。

見栄晴 入院中キツかったのは、その浮腫みを取るためにトイレの回数が増えたことかな。毎日尿を3~4リットル出すのが目標で、時間と量も記入しないといけない。でも僕が初日に7リットル尿が出たのを見て、先生と看護師さんに「こんな人初めて、新記録です」「どうやりました?」って変に褒められました。1回目の入院では、全体的にそこまで副作用は出なかったですね。

――ツラかったことはそれほどなかったですか?

見栄晴 あぁでも、夜中のトイレで寝不足になるのはツラかった。それでもちょくちょく昼寝はできてたし身体がだるいとかはなくて。結局3回入院することになるんだけど、1回目がそんな感じで安心した部分はありました。予定通り退院もできましたし。

 元気だからこそ、入院中に看護師さんがものすごく優しくしてくれるのが申し訳なくて。病院食を運んでくれたり掃除してくれたり、いろんなことをしてくれるけど、「別に俺、元気なんだけどな……」って。

〈 「癌になったときの『頑張れ』って…」下咽頭がんステージ4で入院した見栄晴(57)の考えが変わった“意外なワケ” 〉へ続く

(佐々木 笑)

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