「オオタニが知らないなんてあり得るだろうか?」大谷翔平(29)の窃盗トラブルが全米の注目を集めた“ニッポン人が知らない理由”――2024年上半期 読まれた記事
文春オンライン / 2024年8月13日 6時0分
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2024年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。スポーツ部門の第5位は、こちら!(初公開日 2024/03/25)。
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3月20日、ドジャースの大谷翔平選手(29)の元通訳・水原一平氏(39)が違法賭博に関与した疑いで解雇された問題は、アメリカではどのように報じられ、なぜこれほど注目を集めることになったのか。そして日本時間26日に予定される大谷選手の記者会見では何が語られるのか…。ロサンゼルス在住のジャーナリストが全米を揺るがす騒動の実態を追った。(全2回の後編/ 前編を読む )
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「話が変わったことは衝撃的な展開だ。隠蔽は犯罪よりも悪質だ」
テレビ番組「CBSモーニングス」では、元連邦検察官のジョシュア・ナフタリス氏が「オオタニは連邦犯罪であるマネーロンダリングに巻き込まれる可能性がある。オオタニは最初は借金について知っていると報じられたが、その後、話が変わったことは衝撃的な展開だ。多くの場合、隠蔽は犯罪よりも悪質だ」と述べている。
つまり、水原氏の作った450万ドルの借金を払うために、大谷選手が電信送金を承認したことが明らかになれば、マネーロンダリングの範疇に入る可能性があるというのだ。
また、ナフタリス氏はこうも続けている。
「450万ドルという金額は、通訳にとっては高額だ。しかし、この金額は、プロのアスリートにとっては失っても許容できる金額だ。だから、彼は通訳を表の顔として使っていたのではないか? という疑問が生じる」
FOXスポーツの司会者、クレイグ・カートン氏は、オオタニ陣営が話を変えたことを問題視している。ちなみに、同氏は、賭博の借金を返済するために、チケット詐欺をして逮捕され、懲役3年半と賠償金460万ドルの判決を言い渡された過去がある。
「オオタニ陣営は当初の話を変えるという大変な計算ミスを犯した。賭博の問題を抱えた友人をオオタニが助けるということは、とても信じられる話だ。しかし、彼らは話を変え、お金が盗まれたと主張することで、パンドラの箱を開けてしまった。
今は、通訳の言うことを信じる必要が出てきている。今や、オオタニの友人が犯罪捜査の焦点になっている。今回の容疑は、詐欺、窃盗、横領だ。多くの人が調査を始めれば、もっと多くのことが明らかになるだろう。煙が立つばかりで火は出ないかもしれないものの、彼らが通訳を利用して、話を180度変えたことは少なくとも懸念を生む」
オオタニが知らないなんてあり得るだろうか?
USA Today紙の野球コラムニストのボブ・ナイチンゲール氏は、同紙のコラムで、大谷選手が多額の電信送金を認識していなかったことにただ驚きを隠せない様子だ。
「違法な胴元に50万ドルの複数回の支払いが電信送金されていたことをオオタニが知らないなんてあり得るだろうか? オオタニは、野球からマーケティングの知識に至るまで、これまで会った中で最も聡明な人物の一人なのだ。エンゼルスの元チームメイトたちも、渡米以来、仲がいい水原のギャンブル癖にオオタニが気づいていなかったのは不可解だと話している」
一方、ニューヨーク・ポスト紙の野球コラムニスト、ジョン・ヘイマン氏は同紙で、大谷選手は世間知らずで、経済面では能がないから通訳に騙されたとする皮肉を述べている。
オオタニと野球界にとって一番都合がいい“シナリオ”
「オオタニ陣営は、長年の元通訳兼友人はオオタニを騙してきた素晴らしい俳優であり、オオタニは騙されやすく、世間知らずで、また、親友についてはひどい趣味を持っているという話を作っている。不明点は数多くあるが、今のところ、彼は野球史上の天才だが、経済面ではウスノロであるという話が、オオタニや野球界にとっては一番都合がいい」
大谷選手を見つめてきた、ロサンゼルス・タイムズ紙のスポーツコラムニスト、ディラン・ヘルナンデス氏は大谷選手に「大人になって、状況に対処しろ」とコラムの中で叱咤激励している。
「このような話は何年も生き続け、次の展開や次の新事実が出てくると蒸し返される可能性がある。オオタニはこの状況に対処しなければならない。このようなことが2度と起きないようにする必要がある。 彼は付き合う人々についてもっと注意深くならねばならない。
自身が人々にどう映るのかもコントロールする必要がある。スキャンダルはパフォーマンスに影響を与える可能性があるからだ。 フィールドで子供であり続けるためには(同氏は、大谷選手はフィールドでは試合を遊びのように楽しむ子供のようだと見ている)、フィールドから離れたら大人にならなければならない」
気になるのは、今後の展開だ。日本の国税庁に当たるIRSが水原氏とボウヤー氏の捜査を開始し、MLBも調査開始を発表した。そんな中、大谷選手は法的トラブルに巻き込まれる可能性はあるのだろうか? ネバダ州とアイダホ州で、17年にわたり刑事事件の弁護人を務め、賭博事件での弁護経験があるダスティン・マルチェロ氏は、スポーティング・ニュースでこう解説している。
直面している法的トラブルを整理すると…
「法的トラブルにオオタニが直面するかは、彼が水原氏の賭博行為を知っていたかに依る。今わかっているのは、オオタニの名前で50万ドルの電信送金が少なくとも2回あったということだ。 わからないのは、オオタニ陣営が主張するように送金が不正に行われたのか、それともオオタニが賭博の借金と承知の上で送金を行ったのかということ。
承知の上で送金した場合、カリフォルニア州ではスポーツ賭博が許可されてはいないものの、連邦政府は“違法賭博の使用”という罪では通常告発しない。代わりに彼らは、電信詐欺、銀行詐欺、税金詐欺などIRS絡みの違法行為を告発する。つまり、50万ドルを銀行口座に送金した場合、IRSにそれを報告しないわけにはいかないということだ。
もしオオタニがそのような詐欺で有罪判決を受けた場合、彼は懲役刑と罰金を科される可能性がある。またもし、オオタニが、賭博の借金を払うための送金だと知らなかった場合は、彼には罪が科されない。そのため、オオタニ陣営は、突然話を変えたのだろう」
つまり、大谷選手が50万ドルを送金していて、IRSにそれを報告していなかったとしたら、問題になるわけである。
しかし、水原氏が不正に送金していた場合、水原氏はどのようにして大谷選手の銀行口座にアクセスし、送金したのか? そんな疑問も、スキャンダルを掻き立てている。日本時間26日に予定されている記者会見で、大谷選手は疑念を払しょくすることはできるだろうか。
(飯塚 真紀子)
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