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「どうせ国民は裏金問題を忘れる」照ノ富士の優勝パレードに突如出没した“萩生田光一2728万円”はなぜ「もう大丈夫」と思ったのか

文春オンライン / 2024年8月6日 6時0分

「どうせ国民は裏金問題を忘れる」照ノ富士の優勝パレードに突如出没した“萩生田光一2728万円”はなぜ「もう大丈夫」と思ったのか

昨年12月、裏金問題の渦中にいた萩生田氏 ©時事通信

 先日驚いたのは、Xに投稿された次のポストだ。

〈は???なんで萩生田2728万円が優勝パレードの車に乗ってんの???????(後援会長なのは知ってる)〉

 大相撲名古屋場所で優勝した横綱・照ノ富士の優勝パレード。その車に自民党の萩生田光一前政調会長が乗っていた。エッセイストで好角家でもある能町みね子氏が「なんで」と投稿していた。

 確かになんで? である。裏金2728万円で批判の渦中にある萩生田氏が「なんで今、パレードに参加したのか」「なんで大丈夫だと思ったのか?」。その厚かましい......いや、英断の謎を知りたくなる。

 細かく指摘していたのは日刊ゲンダイ。照ノ富士の後援会長という理由なら、今年1月の初場所でも照ノ富士は優勝した。しかし、萩生田氏が当時のパレードに参加した形跡はなかった。

 なので、「初場所の優勝パレードは通常国会の開会直後で、裏金追及が本格化するタイミングでした。きっと表に出られなかったのでしょう」という永田町関係者のコメントを紹介していた(8月1日付)。

 となると、裏金問題はそろそろ下火になってきたので、今回は表に出ても大丈夫、と萩生田氏は判断したのだろうか。

国民は忘れると思っているフシがあった

 実際、裏金議員たちは時が経てば国民は忘れると思っているフシがあった。

 たとえば「政治資金問題で倫理審査を議決された自民の44人、出席意向はゼロ」(読売新聞オンライン5月20日)という事実。

 これでは解明が進まない。不祥事が発覚してもろくに説明しないままでやり過ごすのはどうせ国民は忘れると考えていたからだろう。

 なので私は「萩生田光一2728」とか「二階俊博3526」とか裏金の不記載額(万円)を名前の隣につけるべきでは? と提唱してきた。忘れさせないためのアイデアである。

裏金の説明よりも選挙対策、萩生田氏の「都知事ステルス支援」

 では「裏(金)」の人が「表」に出る時系列をおさらいしよう。

 萩生田氏は6月3日夜の時点では「しばらく表に出にくいが、今まで通りのつながりを大事にしたい」と仲間との会食で語っていたという(朝日新聞6月19日)。

 そのあとの東京都知事選で萩生田氏は自民党東京都連会長として小池百合子氏の支持を表明。しかし応援演説には姿を見せず「ステルス支援」と呼ばれた。

 都知事選は小池氏が勝利したが、東京都議補選での惨敗の責任をとって萩生田氏は都連会長を辞任。これは7月16日のことだ。

 それと並行して大相撲名古屋場所は7月14日に初日を迎えた。千秋楽(28日)の優勝パレードで萩生田氏は世間にアピールするように姿を見せた。

 つまり7月中旬以降から「もう表に出ても大丈夫」という判断をしたようなのだ。禊(みそぎ)を済ませたつもりなのだろうか。先述したゲンダイの記事にはこんな見方もあった。

「7日投開票の都議補欠選挙・八王子選挙区では、子飼い候補が惨敗しました。露出を増やさないと次期衆院選で自らの当選が危ういと感じているのでしょう。最近は地元の祭りや会合に頻繁に顔を出していますよ」(萩生田氏の地元・八王子市政関係者)

 落選危機を避けるためならまず裏金の説明からだと思うが、それはせずに「選挙対策」が始まっている模様なのだ。これは萩生田氏に限った話ではない。自民党全体がまさにそう。

自民党内では次の総裁は「女性か若い人」と...

 最近の新聞を読むと9月におこなわれる総裁選の記事ばかりだ。

「号砲 総裁選 小泉氏 選挙の顔 力量不安も」(朝日新聞)

「総裁選 小林鷹之前経済安保相 コバホーク雄飛なるか」(産経新聞)

「自民・茂木氏 揺れる野心」(毎日新聞)

 裏金問題から党の「刷新」イメージができる候補を求める動きがあると書かれている。中には露骨なこんなコラムもあった。

『「次」は女性か若い人』(四国新聞7月14日)

 “政治ジャーナリスト”田崎史郎氏が、麻生太郎氏が周辺に漏らしているという言葉を紹介している。

麻生氏が念頭に置く「女性」と「若い人」の正体

「次は女性か、若い人じゃないか。若い人は50歳以下だ」

 麻生氏の念頭にあるのは上川陽子、小泉進次郎、小林鷹之とみられていると田崎氏は書く。

 個人の資質より「女性」や「若い人」が先にきているのはいかにも選挙利用に見えるし、そういう麻生氏の言葉を嬉々として伝える田崎氏もどうなのかと思う。

※ちなみに田崎氏のコラムを載せている四国新聞は自民党・平井卓也議員の一族が経営している新聞。これだから四国新聞は逆に見逃せない。

「本の表紙だけを替えても中身が変わらないと駄目だ」

 今回の自民党裏金事件は昭和の末に起きたリクルート事件とよく比較される。党全体にわたる組織的で大規模なスキャンダルという点が共通するからだ。

 あのとき挽回しようとした自民党はカネに清潔なイメージがあって頑固さが人気だった元外相の伊東正義氏を総裁(首相)に選ぼうとした。

 しかし伊東氏は、「本の表紙だけを替えても中身が変わらないと駄目だ」ときっぱりと固辞した。

 世間はその言葉に拍手を送ったが、今回自民党はまた本の表紙だけを替えようとしている。さらには伊東正義のように当たり前のことを言う人物が党内に見当たらないのも致命的だ。

 隙あらば大相撲の優勝パレードに「便乗」して露出を増やすことを考えている人物が党の重鎮なのである。

 もし“本の表紙”だけを替えたとしても、カバーをめくった本当の表紙は萩生田氏のはずだ。現在の自民党の顔であり、次の選挙の顔である。萩生田光一を先頭にしてゾロゾロいる裏金議員たちこそが本の表紙である。「萩生田2728万円」を忘れてはならない。

(プチ鹿島)

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