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虎ノ門の名店「峠そば」が茅場町に移転して復活! “1年半ぶりのナス天”はやっぱり大きすぎ&美味すぎた《創業54年》

文春オンライン / 2024年8月13日 11時10分

虎ノ門の名店「峠そば」が茅場町に移転して復活! “1年半ぶりのナス天”はやっぱり大きすぎ&美味すぎた《創業54年》

茅場町「峠そば」が7月17日に再開した

 一代で閉店する立ち食いそば屋が多い中、立ち退きや再開発で移転を余儀なくされても、神保町から虎ノ門そして茅場町へ場所を変え、しかも二代目が継承して今も上質な天ぷらとうまいつゆ、きりっと締まった生そばを提供している流浪の名店がある。「峠そば」である。

「峠そば」は1969年に神保町で創業した

「峠そば」は昭和44(1969)年、神保町のすずらん通りの今はなき牛丼「たつ屋」の右隣、今のセブン・イレブンの左隣で創業した。一代目は現店主柏木秀之さんの父、柏木照雄さんと妻の満江さんが2人で切り盛りしていた。

 店は細長く狭かったせいか「スタンドそば」の愛称で親しまれた。先代の作る天ぷらが美味くて大人気となった。今の「峠そば」同様、たくさんの天ぷら種を選べるシステムで、店内には胡麻油の香りが漂っていたそうである。

 その後商売は順調だったのだがバブル景気の煽りを受けて立ち退きすることになり、平成5(1993)年に港区虎ノ門1丁目に移転した。その際に「峠そば」に改名したという。

 平成20(2008)年に入り現店主の秀之さんが引き継ぎ、さらに味に磨きをかけていった。

 虎ノ門の「峠そば」は近隣の新聞社の記者や作家の方にも愛されていた。故・坪内祐三さんは神保町の時代からのファンだった。平松洋子さんのお気に入りの店の1つにもなっていた。

虎ノ門「峠そば」は2023年1月19日に閉店

 しかし、虎ノ門の「峠そば」は2023年1月19日に惜しまれながら閉店した。「虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業」による再開発に伴い、一帯の小規模ビルは人気飲食店と共にすべて更地となった。

「峠そば」はどうなるのか、閉店時には大勢のファンが押しかけ店主に別れを惜しんだが、具体的なプランは描かれておらず、このまま閉店してしまうのかと嘆く声も多かった。

 先代と店主の親子喧嘩も見られなくなるのかと思うとなんだか寂しい。秀之店主には閉店間際に、落ち着いたら酒でも飲もうと話していたが、それも実現できず仕舞いになっていた。

1年半後、閉店した「峠そば」店主から一通のメールが

「具体的にまだ何も話は進んでいないが、早く良い場所に移転したい」と秀之店主は前向きに話していた。その時、彼は必ず再開するのだろうと思った記憶がある。

茅場町で「峠そば」が復活、しかも駅近

 それから1年5ヵ月後、秀之店主からメールが来た。令和6(2024)年7月17日、「峠そば」は茅場町で再開するとのこと。

 それと前後してSNS上には、立地に目星を付けた情報や、茅場町界隈に新しい立ち食いそば屋の内装工事が始まったという情報などが流れてきた。

 そして、開店当日の午前11時前、手土産を持って茅場町店を訪問してみた。東京メトロ茅場町駅を2番出口から新大橋通りに出る。

 するとすぐに「峠そば」の白い文字が目に入った。良い立地だ。店に入ると虎ノ門の時と同様胡麻油の香りに包まれる。これが「峠そば」である。懐かしい。

 虎ノ門よりやや小さめの箱だが、店内に10人くらいなら立てるだろう。

秀之店主、ユリアさん、先代の照雄さんも元気そう

 秀之店主は以前と変わらず元気そうで笑顔で歓迎してくれた。令和元(2019)年に結婚されたユリアさん、先代の照雄さんも元気に顔を出してくれている。先代の奥様の満江さんもお元気でなにより。

蓄氷シンクなど、厨房は最新機器でいっぱいだ

 初日はかき揚げとナス天、えび天などに限られていた。さっそく「冷しかき揚げそばにナス天」を注文した。

 厨房は真新しく輝いていた。

 食洗器、冷蔵庫に冷凍庫、天ぷら用鍋、麺茹機、麺を洗うシンク、麺を冷やす蓄氷シンクがずらっと並ぶ。

 グランドメニューもみてみよう。麺はそばかうどん。「かけ」「ぶっかけ」「もり」の3種類から選ぶ。トッピングの天ぷらは虎ノ門と変わらない。ナス、かき揚げ、ちくわ、いか、鯵、海老など。

「鯵天そば・うどん」に「海鮮天盛り」...こだわりのグランドメニューの中身

 人気メニューは、「鯵天そば・うどん」、「もりの特盛り」、いか天・鯵天・海老天の3点がのった「海鮮天盛りそば・うどん」、山菜・千切り大根・ゆで卵・揚げ玉がのった「峠そば・うどん」、かき揚げ・ゆで卵・千切り大根がのった「千切り天そば・うどん」、わかめ・アカモク・揚げ玉がのった「海の恵み蕎麦・うどん」、「カレーセット」、「カレー南蛮そば・うどん」、そして、「カレーライス」、もちろん「ちびカレー」も虎ノ門のままである。

「いなり寿司」だけでなく「汁掛けご飯」というお茶漬けスタイルのメニューも登場している。

「峠そば」では3つのこだわりを掲げている。「農家さんから直接仕入れ」「安心安全なものを」「お客様の健康を考えて」という3つの言葉に、「峠そば」の真摯さが表れている。

1年半ぶりの「冷しかき揚げそばにナス天」に感動

 さて、1年半ぶりの「冷しかき揚げそばにナス天」が登場した。黄金色にカリッと揚げられたかき揚げとナス天。そうそうこの色、この香りだ。この日のナスは石川県能登地方の農家さんから大きくなりすぎたナスを仕入れていた。

 食べ応え十分でとろけるようなうまさである。ほんのり胡麻油が香る上品な味である。以前からかき揚げ天は一番人気だ。

 大豆油と胡麻油をブレンドした油を使用して、小麦粉も無添加のもの。さらにできるだけ注文後に揚げるようにしているという。

 そばは生麺。コシがあってなかなかよい。出汁のしっかり利いたちょうど良い返しのつゆが沁みわたる。本鰹節をふんだんに使った出汁と返しを自家製で提供している。「峠そば」は化学調味料などを使わないコクのあるつゆが特徴だ。

茅場町にも「峠そば」の胡麻油の香りが漂うだろう

 コシのよいそばを手繰れば至福の時が訪れる。薬味にねぎや千切りした大根を入れてくれるのも虎ノ門時代と変わらない。

 虎ノ門で「峠そば」が営業しているかはすぐわかった。お店に近づくと胡麻油の香りが漂ってくるからだ。茅場町でもきっとそうなるだろうし、ランチのローテーションの立派な一員にすぐになることだろう。先代から継承してきた味を守り花開かせていってもらいたい。また行こうと思う。

INFORMATIONアイコン

峠そば

住所:東京都中央区日本橋茅場町2-8-6
営業時間:
月火木金:7時から8時位~11時から16時位(売り切れまで)

土 : 7時から8時位~11時から14時位(売り切れまで)
定休日:水日祝

今年のお盆休みは8月13日~15日

(坂崎 仁紀)

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