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消えた街灯の下で“体育座りする男”が、突如ランニングする女を追いかけて飛びつき…ある夫婦が夜道で目撃した恐すぎる光景

文春オンライン / 2024年8月8日 6時0分

消えた街灯の下で“体育座りする男”が、突如ランニングする女を追いかけて飛びつき…ある夫婦が夜道で目撃した恐すぎる光景

ランニングする女性

〈 「何に吠えてるんや」…ある夫婦が夜道で見た恐怖の“体育座りの男”。犬が吠えかかるも飼い主にはその姿が見えておらず… 〉から続く

 京都蓮久寺の三木大雲住職のもとには、奇妙な体験をした人、助けを求める人からの相談が、日々持ち込まれてきます。拾った白い綺麗な石を目玉だという友達、骨董市で買った不思議な絨毯、小さいおじさんを捕獲して家で飼っていると言う人――。

 新刊文庫『 怪談和尚の京都怪奇譚 積徳の旅篇 』にも、日常に潜む怪異現象や不気味な出来事が数多く掲載されています。その中から、ある夫婦が夜のランニング中に遭遇した奇妙な「体育座りの男」を紹介します。(全2回の第2回/ 前編を読む )

ランニングする女性の首元に両腕を回し、引きずられる形で…

 しかし、奥様にはそう思う理由があったのです。

 まず、夜にあの場所で体育座りをしている目的が分からない。それに、犬の散歩をされていた男性には、まるで見えていないかのようだった。しかし犬は男性に反応していた。これらの理由から、あの男性がこの世の人ではないかも知れないとおっしゃるわけです。

 そこでご夫婦は、再度確認をしに行かれる事にしました。少し恐怖心もあったので、車で行かれたそうです。

 自宅を出て数分後、あの男性の座っておられた消えた街灯付近まで来られ、少し手前に駐車されました。そして、そこからゆっくりと、消えた街灯の所まで車を進めることにしました。

 その時、一人の女性がランニングをしながら、車を追い越されました。その女性は消えた街灯の所まで行くと、一瞬何かに気が付いて驚かれた様子を見せました。しかし、そのまま何も言わずに通り過ぎられたそうです。

 驚かれた様子から、やはり体育座りの男性はまだあの場所におられるのだとお二人が思った瞬間、消えた街灯の辺りから、突然男性が現れたそうです。あの体育座りの男性です。

 男性は、先ほどの女性の後に付いて走り出しました。そして女性に飛びついたのです。驚いたご夫婦は、直ぐに助けに行こうとされました。しかし、女性はそのまま何事もなかった様子でランニングを続けておられるらしいのです。男性は女性の首元に両腕を回し、引きずられる形で抱きついていたそうです。

 ご夫婦は不思議に思いながらも車を女性の横に着けられました。すると女性も不思議そうにご夫婦を見てこられました。

男性が寂しそうに言った一言

 ご主人が運転席の窓を開けて「大丈夫ですか」と声を掛けられました。女性はまだ不思議そうにされていたので、奥様が車から降りられました。

 奥様が女性の後ろに回って男性を引き剝がそうとしたその時、男性は女性に抱きついたまま奥様の方を振り返って、寂しそうにこう仰ったそうです。

「帰る場所がないんですよね」

 そう言うと男性は、白い霧が風で飛ばされるようにふっと消えたそうなのです。

 吉田さんご夫婦は驚かれている女性に「ごめんなさい。人違いでした」そう言うと、女性はやはり不思議そうにご夫婦を見た後、何事もなかったかのように走って行かれたそうです。

 このお話が、いつの出来事だったのか、日付をお聞きして納得がいきました。

 その出来事があったのは、八月十五日の夜、即ち送り火の前日、お盆の時期に当たります。

 お盆とは、餓鬼界に落ちた霊の供養をすることです。一般的には、八月十三日から十六日まで、亡くなられたご先祖様がこの世に帰って来られると言われております。

 ご先祖様の中にも餓鬼の世界に落ちている人がいるかも知れませんので、その供養をする訳です。

消えた街灯の傍らは空き地、そのさらに奥にあったのは…

 お経の中に、餓鬼は背が低いと書かれています。ですのでお仏壇のあるご家庭では、施餓鬼棚(せがきだな)といって、仏壇より低い位置に棚を作るのです。最近は仏壇のないご家庭も多くありますので、その場合はお寺で供養をします。

 しかし、家に仏壇がなく、お寺での供養をしておられない方も多いと思います。その場合、戻って来られた霊は、行き場を失ってしまいます。

 もしかすると今回の男性は、そんな行き場を失った霊なのかも知れないと思いました。

 そして場所を詳しくお聞きすると、消えた街灯の立っている傍らは空き地になっており、さらにその奥は墓地になっているといいます。さらにその墓地の直ぐ近くに、お寺がありました。

 恐らく、そのお墓に埋葬されている方で、自宅にも迎えて貰えず、お寺に自分の塔婆もなかった男性が、あの場所に座っておられたのではないでしょうか。

 そのために、誰かに付いて行こうとされたのかもしれません。そして吉田さんに引き剝がされそうになった時に「帰る場所がないんですよね」とおっしゃったのではないでしょうか。

 人間は死後もその魂は生き続けます。ですので、せめてお盆の間だけでも亡き人を迎える準備をお願いしたく思います。

(三木 大雲/文春文庫)

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