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「ずっと男性器にまみれた生活を送っている」処女のまま大学1年で風俗嬢に…21歳の貧困女子大生が、風俗店を辞められないワケ――2024年上半期 読まれた記事

文春オンライン / 2024年8月20日 7時0分

「ずっと男性器にまみれた生活を送っている」処女のまま大学1年で風俗嬢に…21歳の貧困女子大生が、風俗店を辞められないワケ――2024年上半期 読まれた記事

写真はイメージです ©AFLO

2024年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。社会部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024/03/30)。

*  *  *

 コロナ禍でアルバイトができなくなり、経済的な打撃を受けた大学生のなかには、生活のために体を売る選択をした女子大生も少なくないという。彼女たちは、なぜ風俗嬢となったのだろう。そして、どんな厳しい状況に置かれているのだろうか? 

 ここでは、ノンフィクションライターの中村淳彦氏が、女子大生の貧困と性産業の関係に迫った書籍 『ルポ 女子大生風俗嬢』 (宝島SUGOI文庫)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の2回目/ 1回目から続く )

◆◆◆

太っているので単価が高いところは無理

 高校3年のとき、将来は高齢者介護か保育か迷った。資格が欲しいと思ったので、結局、社会福祉士養成の大学に進学する。

「資格も欲しいと思ったけど、東京に行きたいと思ったので、無理して進学しました。貸与型奨学金を年100万円ぐらい借りることにして、奨学金は全部学費に充てています。あとはバイトで稼いで生活しようって。家賃と生活費で最低13万円くらい必要。上京してすぐに飲食店を掛け持ちでバイトしたけど、やっぱり全然お金が足りなくて、夏前に風俗始めました。最初は激安デリヘルみたいなところに行って、それからピンサロです。ピンサロは大塚以外にも、巣鴨とか五反田とか、いろいろ行きました。安い店ばかりなのは私、太っているので単価が高いところは無理かなって」

デリヘル面接で初めての性体験

 初めての性体験はデリヘルに面接に行った時。ラブホテルに連れていかれ、店長から講習を受けた。風俗店の講習はスタッフを男性客と想定してサービスをする。

「処女だって言ったら、最初から発射までやりました。普段は発射までやらないらしいけど、まったく経験がないんだからやろうと。最初は男性の裸とか男性器とか、やっぱり気持ち悪かった。触るどころか見るのも抵抗があって、しばらく嫌々やってました」

 大学に行きながら月13万円を稼ぐのは、風俗しかなかった。

 恋愛経験なし、男性経験なし、処女。恭子さんは自己評価が低い。ガールズバーやキャバクラは美人が働くというイメージがあり、風俗も高級店は若くてかわいい女の子ばかり。自分は安価な店しか採用されないだろうと、激安系の店を選択。最底辺と呼ばれるピンサロで働くのも、自分のレベルに合っていると思ったからだ。

 大学1年の夏から風俗嬢になって、冬休みにはピンサロ嬢になった。それからずっと男性器にまみれた大学生活を送っている。

大学を卒業しても風俗を続けるワケ

 先日、介護施設に実習に行った。高齢者施設で働こうと思ったので、社会福祉士以外にも初任者研修を受けている。

「初任者研修の実習があったんですよ。グループホームに行ったけど、ちょっとできないなって思いました。やっぱシモのお世話とかあるじゃないですか。そもそも基本的なことだけど、それがダメで。ピンサロで男性器は大丈夫だけど、シモは苦手。臭いのがすごく嫌でした。社会福祉士は相談職なので介護とは少し違うけど、介護施設を見て、心からやりたくないなって。だから、福祉の仕事はどうでもよくなりました」

 実際に進学して方向性が違うと思っても、第二種奨学金を借りているので、毎年100万円が積み上がっていく。来年、卒業のときには借金は480万円になる。そして、すぐに返済が始まる。

「大学卒業はできるけど、社会福祉士の試験は受からないと思う。大学と生活するためのピンサロで精一杯だし、何十教科も勉強するのは無理です。それに、福祉の仕事をしても賃金が安いから奨学金は返せないだろうし、480万円も借金背負ってしまうので、卒業しても風俗続けます」

資格ビジネスに誘導されて奨学金を借り…何重も搾取されて

 日本育英会の貸与奨学金が独立行政法人化して金融ビジネスになったのは、小さな政府を目指す新自由主義の一環である。残念ながら、恭子さんが目指した社会福祉士や介護福祉士が誕生したのも、超高齢社会を迎えるにあたって介護事業を民営化させるための施策であり、国家資格をつくれば人が集まり、資格養成ビジネスが活気づく。

 九州の田舎で地味な女の子だった恭子さんは、高額な資格ビジネスに誘導され、そのために必要な資金を国が用意した金融ビジネスから借り、とても480万円の元がとれるとは思えない低賃金職に就こうとしていた。何重もの搾取の真っ只中にいるので、順調に行くはずがない。

 そして、その穴を埋めるために選択したのが過酷な労働に見合わないピンクサロンで、たいして稼げていない。卒業後もピンサロを続けてその金融ビジネスへの返済をするという。

 東京に出てきて3年が経った。結局、ピンサロ仕事に追われて恋愛することはなかった。毎日、知らない人の男性器に囲まれながら、まだ処女のままだ。

(中村 淳彦/Webオリジナル(外部転載))

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