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「女のクズ、人間のクズ」とSNSで誹謗中傷も…AV出演が会社にバレてクビ、バレエ教室の講師もクビになった“壮絶な顛末”

文春オンライン / 2024年8月11日 10時50分

「女のクズ、人間のクズ」とSNSで誹謗中傷も…AV出演が会社にバレてクビ、バレエ教室の講師もクビになった“壮絶な顛末”

藤かんなさん

〈 阪大大学院卒→上場企業に就職→32歳でセクシー女優に…デビューまでの“葛藤”「借金あるの?」「事務所にだまされてない?」 〉から続く

 大阪大学大学院の理学研究科を修了し、上場企業に勤め、32歳でセクシー女優に転身した藤かんな氏(34)。AV出演が会社にバレてクビ、バレエ教室の講師もクビ、それらの事実をSNSに投稿したことで“炎上”も経験した。どのような誹謗中傷を受けたのだろうか。(全3回の2回目/ #3に続く )

◆ ◆ ◆

人事部から呼び出された

――2022年7月にAVデビューをした後、当時勤めていた会社にバレてしまったんですよね。

藤かんな(以下、藤) デビュー直後の7月、会社にバレました。人事部から、芸名の「藤かんなさん、ですか」と聞かれて、「はい、そうです」と答えました。それまでずっと、「いつかバレるだろう、バレたらどうなるんだろう」と悩み続けていましたが、いざバレた時の動揺は想像以上でした。不安に思って悩み続けていた感情が一気に押し寄せ、人事部の女性の前で泣いてしまいました。「服務規律について」と呼び出され、本来はクビなんでしょうけど、私が「副業」を素直に認めたことで、自主退職扱いになりました。

――もともとバレたらどうするつもりだったのですか。

 副業禁止だから、バレたら当然やめるしかないなとは思っていましたが、できればバレずに両立できたらいいな、という甘い考えも持っていました。

――どうやってバレたんでしょう。

 気づいた人がいて会社に“相談”したそうです。その気づいた人はなんで最初に私に直接聞かへんのか、不信感がわきました。

――会社勤めと並行して、バレエ講師の仕事をされていたんですよね。具体的にどういう指導を?

 だいたい週に1クラスを担当するアルバイト講師です。生徒さんは5人ぐらいで、私が受け持ったクラスには大学生から60代の方まで在籍していて、指導していました。あとは、同じ教室を借りて1対1でやるパーソナルレッスンも行っていました。

――昨年の6月、そのバレエ教室にも知られた。その時の心境を教えて下さい。

 その前から違和感がありました。同じ空間にいるのに、まるで私がいないように振る舞われるよそよそしい空気が漂っていて、バレエ教室を運営する先生が私を指導しなくなり、挨拶する時も顔が引きつるようになった。それが2カ月くらい続いて、「なんかおかしいなあ」と思っていたある日、先生から「明日のパーソナルレッスンに誰を呼ぶの?」と、唐突に聞かれたんです。そして、「色々知ってしまってショックです。明日のレッスン前に話したい」と。その言葉に「ああ、みんなそれで私を避けていたのか。辞めることになるんだろうな」と悟りました。会社の時もそうでしたが、バレたと思った瞬間、心臓をドンッと鈍器で殴られたかのような衝撃を感じました。

「私、誰にも迷惑かけてないのに」

――先生とはどんなことを話し合ったのですか。

 話し合いというか、一方的に向こうの言い分を聞いているだけでした。先生は「あなたがAV女優をしていることはまだ誰にも言ってない」と言っていたのに、その話し合いの場には、その他になぜか先生と仲のいい生徒さんもいました。「そんなことをしてたら、今までバレエを彩ちゃん(仮名)に教えてきた先生も悲しいと思うよ」とか「特に年配の人が知ったら、嫌やと思うからこの教室で指導するのはやめて」「バレエをそんなことに使ってほしくない」などと言われました。終始蔑むような目で、まるで汚いモノを見るかのような表情でした。

――反論はしなかったのですか。

 手が震えて、言いたいことの1割も言えませんでした。謝りたくないのに「黙っていて、すみませんでした」と、頭を下げていました。心の中では「私、誰にも迷惑かけてないのに、なんでこんなこと言われるんやろ。発表会の時は必死で手伝ったり、ボランティアみたいなこともいっぱいしてきたのに、私がAV女優やと知った途端、こうやって手のひらを返すんか」と、ふつふつと怒りが込み上げてきているのに、悔しさからなのか、頭がくらくらして貧血の時のように目が回ってしまい、言われるがままの状態でした。

――会社やバレエ講師を辞めることになった経緯をXで発信されましたよね。何かきっかけがあったんですか?

 Xへの投稿は事務所の社長からの提案でした。会社にバレた時にめっちゃ動揺して、社長に相談したんです。そうしたら「よし、それを全部Xに書こう」と言われました。SNSをやったことがない私は最初、「へ? Xに書く? 自分のこと書くなんて嫌やな」と思ったんですけど、結果、書くことで怒りを鎮静することができましたし、今思えば、あれが転機となりました。

SNSでの誹謗中傷

――バレエ講師を辞めさせられた投稿は閲覧数が4000万を超えたそうですね。SNSでの反響はどうでしたか。

 色々な意見が沸き上がって、“炎上状態”になりました。バレエをしている子供の母親という人からは〈呪い殺すぞ〉というDMが来ましたし、〈灰になって死ね〉とか〈女のクズ、人間のクズ〉という攻撃的な内容も多かった。〈バレエを性的なものにするなんて、神経狂ってる。子供たちが一番の被害者〉という意見もありました。

――そうしたSNSでの誹謗中傷は辛かったですか。

 そうですね。でも、最初は割と冷静に見ていました。この時、社長が毎日のように電話をくれて、「そんなこと言う人はアホや」と怒ってくれていたのも大きかった。実は私にとって一番きつかったのは、どんな攻撃的な言葉よりもバレエの技量についてのコメントでした。これまでの経歴として、バレリーナと謳っている以上、自分のバレエ動画をアップロードして見られるようにしていたのですが、その動画について、見ず知らずの人たちから〈こいつほんまに講師なの?〉とか〈バレエはど素人すぎて見てられない〉って。自分が一番分かってます、図星です。それでも、「あんたら私のバレエに対する思いを何も知らんやろ!」って、気持ちがぐしゃぐしゃになってしまいました。

――その時の気持ちは著書の中で〈脳みそを使わず言葉を放つな〉〈半導体の無駄使いだわ〉などと、リケジョらしい言葉で綴られています。

 あの文章は、その気持ちがぐしゃぐしゃになった時にもう抑えきれなくなって、うわーって、ノートに殴り書きしたものです。一人では耐え切れず、それを社長に送ったら、社長が「傑作やな。これはいつか世に出そう」と言ったんです。その言葉ですごく気持ちが軽くなりました。しかも本当に本になった! すごいですよね。こうやって自分の気持ちを吐き出す場所があって、それを誰かに見てもらえるというのはすごく幸せなことだと思います。

――SNSで攻撃をされた時、自分を責めないためにはどうすればいいと思いますか。

 「傑作やな」と言ってくれる人がいたので、私は運がよかったんやと思います。なので、そういう思考に持っていってくれる人に相談できれば一番いい。多くの見えない人から攻撃されて追いつめられている時、当事者は冷静にはなれません。「大丈夫?」と言われても不安になるだけ。無責任に心配する言葉よりも、「今の状況最高やん」と、発想を転換するような一言が当事者を救うことがあると思います。

私は両親に嘘をつき続けている

――ご両親はAV女優に転身したことをご存じなんですか?

 いや、おそらくまだ知らないですね。自叙伝を出版しましたし、これまで雑誌やウェブでインタビューも受けてきましたが、何も言われたことがありません。2人とも、SNSもまったくやらないんです。両親が知るべきか知らないままでいるべきか、私はずっとずっと考えています。母は涙もろくて、今でも私と別れる時に必ず泣くんです。少し前までは、その姿を見て「もしかしたら知ってて黙っているんじゃないか」と罪悪感に襲われることもありました。でも、この前のゴールデンウィークに帰省した時に思ったのは、やっぱり知らないんだなって。

――なぜそう思ったんですか?

 私は昨年の9月に大阪から東京に引っ越してきたのですが、両親には会社を辞めたことも伝えておらず、「東京へ転勤になった」と嘘をつきました。母は「満員電車、大変でしょう」とか「土日はゆっくりできてるの?」と素直に聞いてきます。その聞き方に他意がなかったので、まだ知らないんやな、と思いました。私は両親に嘘をつき続けている。これからどんどん言えないことが増えていくんやろうな、と思います。

撮影=原田達夫/文藝春秋

〈 「両親にはまだ言えていない」上場企業に就職→32歳でセクシー女優になった藤かんなが語る“家族関係”と“将来への葛藤” 〉へ続く

(小宮山 あき)

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