1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

「母から受けた性的虐待、父親のアルコール依存症もすべて作り話」己の欲望を満たすため12人の若い女性を殺害…「狂気の殺人カップル」の最後

文春オンライン / 2024年8月10日 17時0分

「母から受けた性的虐待、父親のアルコール依存症もすべて作り話」己の欲望を満たすため12人の若い女性を殺害…「狂気の殺人カップル」の最後

フランス最悪の殺人鬼であるミシェル・フルニレの妻こと、モニク・オリヴィエ ©getty

〈 【被害者には9歳の女の子も】“処女とする”ため12人の若い女性を殺害…狂気の犯人男に妻はなぜ協力した? 〉から続く

 被害者数12人、中には9歳の女の子も…。己の残忍な欲望を満たすため、12人の若い女性を強姦・殺害したフランスの連続殺人犯、ミシェル・フルニレと、彼に協力した妻のモニク・オリヴィエ。2003年に犯行が明らかになり、逮捕された2人はその後どうなったのか? 新刊 『世界の殺人カップル』 (鉄人社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編を読む )

◆◆◆

シリアルキラーの最後

 2003年6月25日、ベルギーの都市シネイでマリー・アサンション(同13歳)が登校中の路上で、車に乗る白髪でメガネをかけた男から声をかけられた。自分も学校に行く用事があるのだが、道がわからないので案内してほしいという。不審に思った彼女は学校の方向を指差し、その場を離れようとした。

 しかし、男はマリーの対応に機嫌を悪くし、「人を疑うんじゃない! 失礼だぞ!」と激昂。その厳格な物言いに圧倒された彼女はつい車に乗ってしまう。彼女の予感は当たり、男はいきなり目の色を変えマリーの体を掴もうとしてきた。必死の抵抗も虚しく、あっという間にロープで縛られ後部座席に放り投げられる。車が急発進し、彼女は恐怖で怯えるよりなかった。

 ところが、拉致現場から10キロ離れた交差点で赤信号により車が停車。その瞬間、マリーは持てる力を出し切って後部座席のドアを蹴り上げ、わずかに開いたドアから転がるように路上に落ちた。決死の脱出に成功した彼女は後続車に助けられ無事に保護される。さらに現場にいた人間が逃走した車のナンバーを覚えており、すぐさま警察に通報。身元を特定された男=ミシェルと妻モニクが逮捕されることになる。

 取り調べでミシェルは頑なに犯行を否定した。が、警察の厳しい追及に、1年後の2004年7月にモニクが全面自供。これを受け、ミシェルも8件の殺害を告白、それに従い3人の遺体が発見された。2006年1月、ミシェルとモニクの身柄はフランスに移される。ここで行われた尋問で、ミシェルが自己中心的で、良心の呵責を感じていないこと、被害者や遺族に対して何の関心も持っていないことなどが判明。

 また、この過程で彼は捜査官に対し「処女の女性と結婚したことがないのが、自分の生活の中で最も絶望的な部分だ」と改めて処女に対する自身の強迫観念を主張する。が、その考えを理解できる者は誰もいなかった。

 裁判は、2008年3月27日から5月28日まで開かれた。ミシェルは黙秘権を行使したが、証人として出廷した彼の兄アンドレが衝撃的な事実を明らかにする。ミシェルが子供のころに母から受けたという性的虐待や父親のアルコール依存症、学校での盗みは全て弟の作り話だというのだ。つまり、ミシェルには後に残虐な殺人を行う背景となったと考えられていた幼少期のトラウマなど一切なかったのである。兄によれば、ミシェルの虚言癖は、それこそ幼年期から始まったという。

その後の2人は…

 判決ではミシェルに仮釈放の可能性がない終身刑、モニクには懲役28年が下り、同時に犠牲者の家族に対する精神的補償として、2人に150万ユーロ(約2億7千800万円)の慰謝料を支払うよう命令が出された。

 両者ともに控訴せず刑が確定。その後、夫婦は2010年に離婚。ミシェルはアルザス地方のエンシスハイム刑務所に投獄され、2021年5月10日、呼吸器疾患のため、パリのサルペトリエール病院に緊急搬送され死亡(享年79)。モニクは2023年11月、2008年の裁判では立件されなかったジョアンナ・パリッシュ、エステル・ムーザンに対する殺害幇助の罪で起訴され有罪、新たに懲役20年の刑が下り、現在も刑務所に収監されている。

(鉄人ノンフィクション編集部/Webオリジナル(外部転載))

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください