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「日本選手の両親とも仲が良く、一緒にご飯を…」スケボー・金メダルのアリサ・トルー(14)を陰で支えた日本人母の姿

文春オンライン / 2024年8月7日 17時0分

「日本選手の両親とも仲が良く、一緒にご飯を…」スケボー・金メダルのアリサ・トルー(14)を陰で支えた日本人母の姿

左から銀メダルの開心那、金メダルのアリサ・トルー(オーストラリア代表)、銅メダルのスカイ・ブラウン(イギリス代表) ©JMPA

〈 ビキニの上からシャツを羽織り…パリ五輪スケボー・銀メダルの開心那(15)のセンスがずば抜けていたワケ〈身長20cmアップ〉 〉から続く

 パリ五輪スケートボード・女子パークでは、日本代表による52年振りの表彰台独占への期待があった。どの選手がメダルを獲得してもおかしくない状況だった。

 だが結果は、開心那(15)の銀メダルのみ。

6位まで日本人、もしくは日本にルーツを持つ選手が独占

 結果だけを見れば、当初の期待より下回ってしまったと捉える方もいるかもしれない。

 しかし日本代表ではなく、「日本にルーツを持つ」に代えると、2大会連続で表彰台を独占という事実が浮かび上がってくる。

 さらに事前の世界ランクを見てみると、1位が開心那、2位がアリサ・トルー(14歳・オーストラリア)、3位四十住さくら、4位スカイ・ブラウン(16歳・イギリス)、5位草木ひなのとトップ5を独占しているが、6位は惜しくも出場を逃した長谷川瑞穂なので、なんと上位6人を独占という他に類を見ない種目となっている。

 今回で2大会連続の銅メダリストとなったスカイ・ブラウンは、宮崎県出身で日本人の母親を持つ。

 現在はアメリカ・カリフォルニアを拠点に活動しており、弟のオーシャンとスケートボードやサーフィン三昧の毎日を送っている。

 だが日本にも頻繁に足を運んでおり、四十住さくらや草木ひなのはもちろんのこと、男子パーク日本代表の永原悠路の両親とも仲が良い。筆者も千葉県の東浪見にて彼女たちが練習しているところに居合わせ、撮影させてもらった経験があるほどだ。練習後スカイと両親は、四十住さくらや永原悠路と家族ぐるみでご飯にも行っていた。

 また彼女はあと一歩及ばず出場権を逃したものの、サーフィンとの「二刀流」であることも知られた話だ。

 そんな彼女や開心那を抑えて金メダルを獲得したのが、オーストラリア代表のアリサ・トルー選手。

 彼女もスカイと同じく日本人の母を持つ選手。ここ1年で急激に成長し、5月の五輪予選シリーズから実に3連勝を飾り、金メダリストとなった。

母・愛子さんが支えたスケボー生活

 そんな彼女がスケートボードに出会ったのは7~8歳の頃。小さい頃から活発で自転車でどこまでも漕いでいってしまうような子だったそう。平衡感覚も良かったので、いくつかいろんなスポーツをさせていた中、スケートボードは友達と一緒に行かなくてもパークに行けば友達がいるから、とのめり込むようになっていった。

 コンペティションに参加した当時も男子ばかりだったそうだが、彼女は上位に入ってきていたので、きっとすごく気に入っているスポーツなんだろうな、と母の愛子さんは応援し、支えてきたという。

 また家の近くにレベルアップアクションスポーツアカデミーというスケートボード、サーフィン、BMXフリースタイルを専門に教える学校があったのも大きい。ここはアリサが初めて本格的なコンテストに出場し始めた時に出会ったコーチが始めた学校で、半日がそれぞれのスポーツ、半日が勉強にという形をとっている。

 そしてアリサ・トルーの名前が広く知られるようになったのは、昨年6月にユタ州で開催された「トニー・ホーク・バート・アラート」で女性選手として初めて720(空中で水平方向に2回転する大技)を成功させた時である。さらに翌月の「X Games」でも同技を成功させたことで一躍メダル候補に名乗りをあげた。

 今年に入るとその勢いはさらに加速。5月には女性として初めてバート(スノーボードで言うハーフパイプのような構造物を滑る種目)で900(※)の着地にも成功。「スピンといえばアリサ・トルー」という認識が確固たるものになった。

※空中で2回転半する超大技。スケートボードの神様と呼ばれるトニー・ホークが1999年のX Gamesで史上初めて成功させて伝説となった。

周りから「体力お化け」と言われるアリサ

 そんな彼女を間近で見ている人は、揃ってこのように語る。「体力お化け」だと。
 
 スケートパークに練習に行っても、最後に暗くなって「もう終わりだよ」と言われるまでずっと、できないトリックを転んでも転んでも練習してるという。

 たとえ皆が「帰るよ」と言ってる時でも本当に黙々とやっているそう。練習熱心なのはもちろんのこと、面白い踊りをしたり、音楽を聴きながらとにかく楽しくやってるという。
 
 これを聞いて筆者は直感的にこう感じた。

「堀米雄斗と吉沢恋と全く同じだ!」

 金メダリストになるような人物の普段の練習は、ストイックなエピソードがてんこ盛りなのだ。

 スケートボードは一度でも乗ったことがある人ならわかると思うが、ものすごく繊細な乗り物である。ほんのわずかなバランスのズレがトリックの成否を分けるし、それが五輪に出るような選手であればなおさら。

 そういったスケートボードの特性が彼らの気質とマッチしているのだろう。

 アリサの尊敬するスケーターは芝田モトというバート(スケボー競技の1つ)のトッププロであり、2人は80年代のレジェンドスケーター、クリスチャン・ホソイのHOSOI SKATEBOARDSに所属するチームメイト。

 本国アメリカのブランドに時代を超えて日本にゆかりのある人物が集まっているのも面白い。

 そんな2人の共演は、9月に開催される「X Games CHIBA」で見ることができるかもしれない。国境を超えたスケートボードの繋がりを知ることで、さらに魅力を感じることができるだろう。

(吉田 佳央)

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