約2000円以下のワイヤレスイヤホンって使えるの? ダイソー・3COINS・ゲオの3製品を徹底比較してみた《音質ではゲオが圧勝だが弱点も…》
文春オンライン / 2024年8月9日 17時0分
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今回はおおむね2000円までの予算で手に入るワイヤレスイヤホン3製品をチェックします。なお動作検証は主にiPhoneを用いて行っています
かつては1万円の大台を割るだけで激安として話題になっていたワイヤレスイヤホンも、最近は5千円はおろか、安いものだと1000円や2000円あれば入手できる時代になりました。スマホでBluetoothが主流になったことで大量のニーズが発生し、量産効果によって価格が低下したことによるものですが、ここまで安くなるのはかつては考えられなかったことです。
かつては安価なワイヤレスイヤホンはどこかに落とし穴があるというのが常識でしたが、最近の製品は完成度も上がり、必ずしもそうとは言えなくなりつつあります。今回は、おおむね2000円までの予算で入手できる3製品をピックアップし、各製品の特徴を紹介したあと、実際の使い勝手がどうなのかを、複数のポイントからチェックしていきます。
実売1100円の格安モデル、ダイソー「TWS004」
最初に紹介するダイソーの「 TWS004 」は、IPX4の防水規格に対応した完全ワイヤレスイヤホンです。価格は1100円(税込み、以下同)と、今回紹介する3製品の中ではもっとも安価です。カラフルなラインナップを持つ他の2製品と異なり、バリエーションはホワイト1色のみです。
本製品の特徴は、脱落防止に役立つイヤーフックが付いていること。スポーツなど体を動かしながら使う用途にはぴったりです。格安ワイヤレスイヤホンでこうした仕様は珍しく、そうした意味でも貴重な存在です。
充電1回あたりの連続再生時間は5.5時間、さらに充電ケースの併用で最大16.5時間(容量230mAh)もの再生が可能です。一方で収納ケースは大柄で、後述する3COINSの製品と比べるとかさばります。重量はケース込みで33gと、平均的な値です。
また実売1100円と安い反面、充電ケーブルは付属せず、またサイズ違いの交換用ピースも同梱されていません。コスト的にはそれほど負担になりませんが、充電ケーブルも含めて状況によってあれこれ買い足さなくてはいけないのは、初心者にはややハードルが高いかもしれません。後述の2製品と比べると質感がチープなのも気になるところです。
中身が見えるケースが付属、3COINS「ミニクリアワイヤレスイヤホン」
3COINSの「 ミニクリアワイヤレスイヤホン 」は、上蓋がシースルーで中身が見える充電ケースが付属した、カナル型の完全ワイヤレスイヤホンです。今回紹介するブルーのほか、カーキ、イエロー、ピンクといったパステル調のカラーバリエーションを用意しています。実売価格は1650円です。
連続再生時間は4時間、充電ケースは約1.5回分の充電が可能(容量150mAh)で、そこから計算する限りでは最大再生時間は6時間とやや短めです。一方でピースが小さく、またケースもコンパクトで持ち歩きやすいのは魅力です。バッテリーの持続時間を短くしたぶん本体を軽くし、持ち歩きやすくした製品といったところでしょうか。IPX4の防水規格にも対応しています。
前述のダイソーの製品と異なり、充電ケーブル、交換用ピースも(1サイズだけですが)しっかり付属します。さらにストラップが付属するのは、ガラケー時代からストラップが欠かせないという人にとってはプラスでしょう。またイヤーピースは左右が同一形状で、充電ケースに入れる時に左右を取り違えずに済むメリットもあります。
低遅延モードも搭載し長時間再生が可能、ゲオ「GRFD-TWSQT27」
ゲオの「 GRFD-TWSQT27 」は、カナル型の完全ワイヤレスイヤホンです。今回紹介しているライトグレーのほかに、ブラックやホワイト、さらにはライトブルーやラベンダーといったカラフルな色もラインナップしています。実売価格は2178円と、今回扱う3製品の中ではもっとも高価です。
最大連続再生時間は約8時間で、充電ケースは最大3回の満充電が可能(容量380mAh)とされていることから、合計約24時間もの長時間利用が可能ということになります。外出している時間が比較的長いなど、自宅で頻繁に充電できない環境では便利な製品です。IPX4の防水規格に対応するほか、ゲームや動画再生に適した低遅延モードも搭載します。
ピースはかなり大柄でつまみにくく、ケースから取り出す時にうっかり落としそうになりがちなのは、前述の2製品と比べた場合のデメリットです。ケース込みの重量は40gと、前述の3COINSの約2倍、またピース自体も約4gとやや重く、ゴツいイヤホンが苦手な人は気になるかもしれません。
その一方で、交換用ピースは2サイズが付属するほか、USBケーブルも同梱されます。さらに20ページにも及ぶ紙の説明書が付属するなど、ワイヤレスイヤホンの利用経験があまりない人にとっては付属品の充実ぶりは心強いでしょう。またイコライザーによる音質の調整や機能設定を行えるアプリが使えるのもメリットです。
切れにくさ、音質ではゲオが圧勝
ここからは、上で紹介した3製品を、さまざまな切り口でチェックしていきます。なお分かりやすいよう、各製品は型番ではなく、「ダイソー」「3COINS」「ゲオ」といった販売元の名称で記載しています。
通信の切れにくさ
ダイソー 評価★☆☆☆☆
3COINS 評価★★★★☆
ゲオ 評価★★★★★
意外と差がつくのが、通信の切れにくさです。安価なワイヤレスイヤホンは、人混みでは電波がブチブチと切れ、まともに聴けたものではなくなります。自宅などではなく、繁華街やターミナル駅で使う場合はチェックしておきたいポイントです。
今回の3製品の中では、ダイソーでこの症状が頻発します。人の多い東京駅構内で試したところ、1曲の再生が完了するまでに計10回ほど再生が途切れるなど、快適な再生とは程遠い状態でした。一方、3COINSとゲオはこうした問題はありませんでした。
音質
ダイソー 評価★★☆☆☆
3COINS 評価★★★☆☆
ゲオ 評価★★★★★
音質については、3製品の違いがはっきり出ています。ダイソーは全体的にくぐもった音で、クリアとは言い難いのですが、低音に強いため、騒々しい場所でも聴きやすいのが利点です。一方で3COINSはシャカシャカという高音が特徴で、ポップスなどを聴くのに適していますが、低音が聴こえにくく、騒々しい環境では音がかき消されてしまいます。高音寄りであるため長時間聴くと耳が疲れやすいのも気になります。
優秀なのがゲオで、高音から低音までバランスが取れており、どの帯域の音もしっかりと聞こえるほか、音質の調整を行えるスマホアプリも用意されるなど、今回紹介する3製品の中ではワンランク上です。また動画やゲームで画面とのタイムラグを減らす低遅延モードも搭載していたりと、他の2製品に比べると機能面でも付加価値があります。
本体サイズとフィット感
ダイソー 評価★★★★★
3COINS 評価★★★★☆
ゲオ 評価★★☆☆☆
イヤホン本体のサイズは、3COINSが圧倒的にコンパクト、かつ軽量で耳に負担になりません。これは主に女性をターゲットにした製品ということもありそうです。ケースもコンパクトで、バッグやポーチの中に入れて持ち歩いても邪魔になりません。ケース込の重量も実測22gしかありません。
ゲオは大柄で重く、さらに指でつまみにくい形状ゆえ、耳への装着やケースからの出し入れがしづらいのが欠点です。ケース込の重量も実測40gと、3COINSの2倍近くあります。一方でダイソーの製品は、ケース込の重量は実測33gと平均的ながら、フックがついていることから、アクティブな用途でも脱落しづらいのが最大の特徴です。
操作性
ダイソー 評価★★★☆☆
3COINS 評価★★★☆☆
ゲオ 評価★★★★☆
どの製品も、側面をタップして操作を行う構造になっていますが、割当はそれぞれ大きく異なります。ダイソーは再生/一時停止が左右どちらかを1回タップ、曲の早送りが右側を2回タップ、早戻しが左側を2回タップと、比較的シンプルで覚えやすいのですが、音量調整は行えず、スマホ側で操作しなくてはいけません。タップエリアの面積が狭く、誤操作もそれなりの頻度で発生します。
ゲオもよく似た割当で、再生/一時停止が左右どちらかを長押し、曲の早送りが右側を2回タップ、早戻しが左側を2回タップと、ダイソーとほぼ同じですが、やはり音量調整には対応せず、スマホ側での操作が必要となります。ただしタップエリアが広く、誤操作をしづらいのは利点です。音量調整ができないことだけ許容すれば、3製品の中でもっともおすすめできます。
3COINSは、今回の3製品の中で唯一音量調整に対応しますが、再生/一時停止が左右どちらかを長押し、次の曲が左側を3回タップ、前の曲が右側を3回タップ。音量大は左側を2回タップ、小が右側を2回タップといった具合に、左右で役割が異なるだけでなく、トリプルタップまで必要になるなど、やや複雑な操作体系でなかなか慣れません。機能を欲張った結果、逆に使いづらくなってしまった印象です。タップエリアの面積が小さくタップに反応しづらいのもネックです。
付属品
ダイソー 評価★☆☆☆☆
3COINS 評価★★★★★
ゲオ 評価★★★★★
一般的なイヤホンには、耳穴のサイズに合わせて交換するためのイヤーピースが付属していますが、廉価なイヤホンはコストダウンのためかこれらを省略している例がよくみられます。今回の3製品の中ではダイソーがそれで、イヤーピースはもちろん充電用ケーブルも付属しません。
一方の3COINSはイヤーピースは1種類、ゲオは2種類がそれぞれ付属するほか、充電用ケーブルも同梱されています。価格はやや高くなっても、付属品はしっかりと用意しているのが、この2製品の特徴ということになります。このほか3COINSはストラップも同梱されています。
カラーバリエーション・価格
ダイソー 評価★★★☆☆
3COINS 評価★★★★★
ゲオ 評価★★★★★
3COINSとゲオは、それぞれ複数のカラーバリエーションが用意されており、選ぶ楽しみがあります。ダイソーは白1色ということで、この点においてはやや不利です。価格はダイソーが1,100円、3COINSが1,650円、ゲオが2,178円と差があり、ダイソーが有利ですが、音質や付属品などで明らかな差があるのは、ここまで見てきた通りです。
ざっくりまとめると、メインのイヤホンとしても遜色なく使えるのがゲオ、メインが使えない時のサブ機にふさわしいのがダイソー、その中間が3COINSといったところでしょうか。製品選びの参考になると幸いです。
(山口 真弘)
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