1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

《スクリーンは図工室》丘の上の“廃校映画館”が人口の少ないエリアでも人気を集める“納得の理由”

文春オンライン / 2024年8月13日 6時0分

《スクリーンは図工室》丘の上の“廃校映画館”が人口の少ないエリアでも人気を集める“納得の理由”

京都在住の建築家が発案した、物流パレットにクッション材を重ねた座席は寝そべってもOK。 ©芦部聡

 自然豊かな環境を求めて、柴田修兵さんと三宅優子さん夫妻が大阪から鳥取県湯梨浜町へと移り住んだのは20年のことだ。

「友人が運営しているゲストハウス“たみ”を訪ねたときに、豊かな自然の近くにありながら、ユニークな書店や美味しいカフェがあって、文化的な営みが大切にされているところに惹かれました」と、三宅さん。

 移住を決意したものの、仕事は決めていなかったという。柴田さんが述懐する。

「人が集まれる場所をつくりたいという漠然とした思いはありました」

 三宅さんはある提案をした。

「この街にたどり着く前にいくつかの町を巡りましたが、地方にはアートハウス系の映画を上映する映画館が少ないことに気づきました。大阪ではふたりで映画館に出かけて、鑑賞後に感想を話すのが楽しみだったので、何か新しいことを始めるなら、映画館がいいんじゃない? と」

専業で映画館を運営することができるワケ

 幸いにも柴田さんには、シネ・ヌーヴォや第七藝術劇場といった大阪でミニシアターを運営する知人がいた。

「彼らから、小規模な上映空間であれば、高額な機材を揃えなくても十分な上映環境を整えることができると教えてもらい、それならできるかもと見通しがつきました」

 幸運はつづく。廃校になった小学校の3階をワンフロア借りられることになり、とんとん拍子で開業に漕ぎ着けた。

「人口の少ない地域で、映画館だけで食べていくのは難しいだろうと思っていましたが、予想以上にたくさんのお客様が通ってくださり、専業でやっていけています」

 1カ月に1作品を上映し、さらに営業日は月の半分程度。老婆心ながら経営面が気になるが、柴田さんは泰然自若だ。

「上映日以外は、次の上映作を吟味したり、関連する映画を観たり書籍を読んだりしています。上映作品を増やすより、一作品を丁寧に紹介していくほうがお客様が映画を好きになってくれ、映画館に通ってくれると感じています」

 自然と映画に囲まれた安居楽業の日々。羨ましい。

《映画の後で》1階のカフェ「リブラリエ」はサンドイッチが絶品だとか。本好きなら徒歩圏内にあるブックカフェ「汽水空港」にもぜひ寄り道を。 

INFORMATIONアイコン

jig theater
鳥取県湯梨浜町東伯郡湯梨浜町松崎619 旧桜小学校3階
Mail:mail@jigtheater.com
HP: jigtheater.com
座席数:約25席
オープン:2021年7月

〈 初めての劇場運営、離れていた常連たち…窮地のキネ旬シアターを救った“映画を愛するスタッフたち” 〉へ続く

(芦部 聡/週刊文春CINEMA 2024夏号)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください