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ワキ毛を伸ばして「獣のように豹変した」激しい絡みも…森田望智(27)が“最強のカメレオン女優”になるまで《『虎に翼』『シティーハンター』に出演》――2024年上半期 読まれた記事

文春オンライン / 2024年8月24日 6時0分

ワキ毛を伸ばして「獣のように豹変した」激しい絡みも…森田望智(27)が“最強のカメレオン女優”になるまで《『虎に翼』『シティーハンター』に出演》――2024年上半期 読まれた記事

森田望智 ©AFLO

2024年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。女性芸能人部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024/04/29)。

*  *  *

「どうしても欲しいものがあるならば、したたかに生きなさいってこと」

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』で注目を集めているのが、主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)の親友・花江を演じる森田望智(みさと)(29)だ。冒頭のセリフは猪突猛進な性格の寅子に送った花江のアドバイス。「どんな道でも、女が好きな方に行くのは大変なのよ」と続く。

ヒロインの寅子とは対照的な女性を演じる

 女学生のうちに結婚し、嫁として家に入った花江の生き方は、日本で初めて女性として法曹界に飛び込み、女性への差別や蔑視と戦いながら生きていく寅子とは対極に見える。ふわっとした雰囲気の中にしたたかさを隠す花江の性格も、真正面からの論戦も辞さない寅子とは対照的だ。

 寅子と花江は、『ブギウギ』の福来スズ子と茨田りつ子のような正反対の性格を持つバディとも言える。今後、ふたりがどのような道を歩むのか、楽しみにしている視聴者も多いだろう。

 ドラマは花江の苦悩や痛みも描きつつ、彼女の生き方も肯定する。森田は花江について、「家庭に生きる女性だって、外で仕事をする女性と同じくらい尊いんだよ、ということを伝えられる人」と解釈しているという(ステラnet  2024年4月19日)。

 森田は『虎に翼』だけでなく、Netflixの注目作『シティーハンター』でも、ヒロインの槇村香という重要な役を演じている。ショートカットがトレードマークで、男っぽくてさっぱりとした性格の香は、花江と共通点がないように見えるが、森田は難なく演じきっていた。現代最強の“カメレオン女優”という称号は彼女にこそふさわしい。

爆発的な反響を呼んだ『全裸監督』

「私は自由を手にして主張するヴァギナになったんです」

 森田望智の名前を一躍日本中、いや世界中に轟かせたのが、Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』(2019年)だ。山田孝之がアダルトビデオの世界の異端児・村西とおるを怪演したピカレスク・ドラマで、森田は一世を風靡したAV女優、黒木香になる佐原恵美を全身全霊で演じている。

 本作は爆発的な反響を呼び、森田の女優人生を一変させることになった。海外では道行く人に「Are you Netflix?」と声をかけられることさえあったという(TV LIFE web 2021年6月24日)。

マジックペンでワキ毛を描いて臨んだオーディション

 作品の詳細を聞いて「受けたい!」と熱望した森田は、オーディションに黒木のトレードマークだったワキ毛をマジックペンとアイラインで再現して臨んだという逸話がある。もちろん、そんなことをしたのは一人だけ。奇をてらったわけではなく、「ないから描いていかなくちゃ」ぐらいの気持ちだった(「週刊女性」 2020年3月3日)。

 本番には伸びにくいワキ毛を伸ばして臨んだ。初めてビデオ撮影を行う場面では恵美は黒木香となり、周囲から「獣」と言われるほどのプレイで村西を圧倒。「開花」した後、「主張するヴァギナ」となってメディアの寵児となっていく。

 母親から抑圧されて育ったお嬢様の恵美が、セックスとアダルトビデオの世界に出会って自らを解放し、女性だってセックスを自ら求めてもいいと世の中に訴えていく様子は、観る者にカタルシスさえ感じさせた。

 アダルト業界の描き方や黒木香という実名の取り扱い方に批判が集まった本作だが(筆者も否定的に捉えている)、作品の持つ猥雑なエネルギーや森田の演技に抗いようのない魔力のようなものを感じてしまったのも確かである。

 なお、『虎に翼』の伊藤沙莉とは、このときに共演している。伊藤が演じていたのは、女優の気持ちを大切にするヘアメイク係の順子。恵美が黒木香として初めてビデオ撮影に挑むのをサポートするのも順子だった。女性代表として世の中に出ていくのが森田で、裏から支えるのが伊藤という構図は、ちょうど『虎に翼』と裏表となる。『全裸監督』を意識したキャスティングだと考えるのは穿ち過ぎだろうか。

“憑依型女優”と言われるワケ

 そんな森田は“憑依型女優”と言われている。準備期間の4か月、黒木香に関する大量の映像や資料を漁った森田には、完全に黒木の口調が乗り移っていた。黒木主演の映像作品を見た感想を森田は次のように語る。

「恥ずかしさを逸脱して獣のような生命力を感じる作品だと思います。私もそういうふうに、むき出しにする気持ちは大事にして挑みました」(BIGLOBE BEAUTY 2019年8月7日)。

 森田の豹変ぶりと凄みのある演技を受け止めた俳優たちも驚きを口にする。「絡みの撮影以降は、怖かったです」「彼女の演技に、本当に食われました」(山田孝之)、「いい意味で、引きました」「本当に黒木香にしか見えなかったです」(玉山鉄二)、「化けるというのは、こういうことかと」(満島真之介)などだ(MOVIE WALKER PRESS 2019年8月14日)。

 森田は『全裸監督』に出演した後も、演技のワークショップに通い続けていた。『情熱大陸』(MBS/TBS系 2019年12月15日)には、そのときの様子が登場する。恋人が浮気したという簡単な設定を与えられ、5分足らずで役を身体に入れた後、すさまじい怒りの即興芝居を40分以上続けてみせた。演技が終わっても、役が抜けきらずに放心状態の場面も映し出されていた。森田が憑依型の女優だということは、満島の次の言葉が証明している。

「現場が終わって、この前、お会いした時もまだ黒木香でした」

オーディションは落選続き…意識を変えるきっかけとなった一言とは

 1996年、神奈川県生まれ。フィギュアスケートに打ち込んでいた小学生の頃、家の近所で映画やドラマの撮影をしているのを見て、「あの中の一員になりたい」と思うようになった。現場でスカウトされて、女優になることを志したが、オーディションは落ちてばかりだった。

「どうしたらいいかもわからないし、何が正解なのかもわからないし、焦りもあるし、みんなはどんどん前に進んでいくし……本当にぐちゃぐちゃになったような感情がずっとあった」(Harper's BAZAAR Japan 2022年1月17日)。

 オーディションに受かる夢は何十回も見た。受かったと喜んだところで目が覚めるパターンが一番多かったという。

 考え方が変わるきっかけは、映画『エゴイスト』(2023年)などで知られる松永大司監督のワークショップへの参加だった。悩みを吐露したところ、「役者辞めたらいいんじゃない?」とあっさり言われて、自分には「覚悟」が足りないことに気づいたという。

「お芝居のうまさとかではなく、求められているのは“この人の演技がみたい”と思わせられる人。それが何かを考えたときに、強い覚悟だったり、例えば歌でも、ただうまいより魂がこもっている人のほうが私自身も好きなので、そういうことを目指すようになりました」(「週刊女性」同前)。

 少しずつ仕事が増えてきた頃、『全裸監督』のオーディションの話が舞い込んだ。そこからの活躍は多くの人が知るとおりだ。

「自分とはかけ離れた人を演じたい」

 女優をしていて一番面白みを感じるのは「与えられた役に近づこうと頑張っている時です」と語る(「SWITCH」2019年12月号)。役を演じるための準備の時間はどれだけあっても足りないという。

「自分とはかけ離れた人物を演じたい。そんな欲望がムクムク湧いてきています。役柄と自分が違っているほど、その人物像に向けて深く掘り下げていく作業が必要になる。それがおもしろくてたまらないんです」(AERA STYLE MAGAZINE 2019年11月29日)

不倫男を奈落の底に突き落とす“悪女”を怪演

 演じる役柄を深く掘り下げて、自分に憑依させる。そのことを、森田は「役を生きる」と表現する。「(役の)幼少期の記憶から何からを、自分の記憶と同じくらいの濃度で思い出せないと、本当の意味でその役を生きられないと思うんです」(シネマトゥデイ 2021年6月24日)。

 完璧に役を生きることはできないが、限りなくにじり寄っていく。だから、どんな役柄でも演じることができるのだ。

 柴門ふみの原作のドラマ『恋する母たち』(2020年)で演じた、山下のり子役も強烈だった。セレブ妻(仲里依紗)のエリート弁護士の夫(玉置玲央)と不倫をする女性で、妻を挑発し、不倫男を奈落の底に突き落として、自分だけ幸せになって去っていく“悪女”をねっとりと怪演している。

 当初はのり子に腹を立てていた視聴者が、だんだんのり子に惹かれていくという現象を引き起こした。木村佳乃、阿部サダヲほか、芸達者のキャストが揃っていたが、一番のインパクトを残したのが森田だった。磯山晶プロデューサーは、第1話の撮影の時点で「スタッフは彼女の虜になった」と明かしている(MANTAN WEB 2020年12月12日)。すごいな、森田望智。

 朝ドラ『おかえりモネ』(2021年)には、ウェザーエキスパーツ社の気象予報士・野坂碧役で出演。テキパキと仕事をこなす、モネ(清原果耶)にとって頼りになる先輩をさわやかに演じて、山下のり子ファンの視聴者を大いに戸惑わせた。

『妻、小学生になる』(2022年)では新島圭介(堤真一)の年下の上司で「お弁当友達」の守屋好美役、『作りたい女と食べたい女』(2022年)では野本ユキ(比嘉愛未)にフラットに接する同僚・佐山千春役を演じている。

 地上波初主演ドラマ『バイバイ、マイフレンド』(2023年)で演じたのは、高校時代の親友との複雑な過去を抱える小説家志望の女性・早川麻衣。「自分の人生との境界が分からなくなるほど まいまいと繋がれた作品です」と振り返っている(Xのポスト 2023年5月30日)。森田らしいコメントだと思う。

若手にして、ロバート・デ・ニーロの風格

 圧巻だったのが佐藤二朗主演の映画『さがす』(2022年)だ。森田は死に場所を探す車椅子の女性、ムクドリを演じた。重い前髪、色つき眼鏡、ぶっきらぼうで高圧的な態度……初見では森田だとわからない人のほうが圧倒的に多いだろう。佐藤は「若手にして、もはや女性版ロバート・デ・ニーロの風格」と絶賛している(映画ナタリー 2022年1月22日)。

 かつては「自分とかけ離れた人物を演じたい」と語っていたが、もはやどんな人物だって見事に演じてくれるはずだ。『虎に翼』はもちろんのこと、今後どのような演技を見せてくれるのか、楽しみにしたい。

(大山 くまお)

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