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「コロナ禍もあって『もう閉めようか』と…」老舗百貨店の小さな劇場が文化発信基地的な賑わいを取り戻すまで

文春オンライン / 2024年8月13日 6時0分

「コロナ禍もあって『もう閉めようか』と…」老舗百貨店の小さな劇場が文化発信基地的な賑わいを取り戻すまで

2013年、もともとは真っ平らだった床を、少し傾斜させる改装工事を施した。 ©文藝春秋

〈 「いい年かもしれませんが、まだ怒りの感情は忘れていない」息苦しい社会に染まらず、抗議の一石を投じる大人の映画館 〉から続く

 老舗百貨店の最上階にある、小さな映画劇場。そう聞くとこんな想像をする人も多いかもしれない。比較的無難な、おとなしい作品をかけていて、時が止まったような穏やかな空間、という。

 その想像は、少ししか当てはまっていない。

「昨年運営を東山遊園さんにお任せしてから明らかに変わりました」名古屋三越・星ヶ丘店担当の立花美紀(よしき)さんは現状をそう説明する。

「コロナ禍もあって、『もう閉めようか』という話もあったんですが、お客さまからの再開を要望するお声も沢山いただいたため、運営体制も見直し、改めて再開しました」

作品の組み合わせも試行錯誤中

 現在、運営に当たっている東山遊園株式会社の担当者はこう話す。

「元々は1作品だけを1カ月間上映していたのですが、今は1日に2~3作品上映していて、集客的にも収益的にも、その方がいい結果が出せています。作品の組み合わせについても試行錯誤しながら、だんだんいい形が摑めていると感じています」

 作品選びの“制約”と、当たるかどうかの“傾向”は、立地に大いに関わっている。

「百貨店の中という性質上、描写的に刺激が強い作品は積極的に上映していませんが、例えば『人生フルーツ』(17年)のような、〈暮らし〉や〈人生の知恵〉に寄った作品は人気の傾向があります。そういう安定的に集客できる作品をベースに、時にはメッセージ性の強い作品も加えながら、色んな方にお越しいただける映画劇場の可能性を模索しています」

イベント開催にも積極的。

「『チョコレートな人々』(23年)で初めてイベント上映を行いました。登場する企業の店舗が弊社の運営するショッピングモールにございますので、そちらのリニューアルオープンのタイミングに合わせて上映とトークショーを行いました。そういった立地を活かした企画上映はとても有意義で、今後も取り組んでいきたいと考えています。星ヶ丘は自然との共生を大切にしている地域でもあるので、植物がテーマのドキュメンタリー作品に合わせたトークイベントも非常に反応が良いです」

 このように地域の雰囲気も活かして文化発信基地的ににぎわいを見せているのだ。

《映画の後で》東山動植物園の入り口の一つ、星ヶ丘門が徒歩5分ほどの距離にある。この地域の特色である豊かな緑を体感してみては。

INFORMATIONアイコン

三越映画劇場
愛知県名古屋市千種区星が丘元町14-14 星ヶ丘三越9階
☎:080-7565-6792
HP: https://www.mitsukoshi.mistore.jp/hoshigaoka/shops/experience/theater.html
座席数:68席
オープン:1980年10月1日

(「週刊文春CINEMA」編集部/週刊文春CINEMA 2024夏号)

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