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「党運営の時代遅れともいえる実態を正す」自民党次世代リーダー福田達夫・大野敬太郎・小倉將信が〈改革試案〉を緊急提言

文春オンライン / 2024年8月23日 6時0分

「党運営の時代遅れともいえる実態を正す」自民党次世代リーダー福田達夫・大野敬太郎・小倉將信が〈改革試案〉を緊急提言

福田達夫氏 ©文藝春秋

支持率低迷が続く自民党に必要な改革とは? 9月に総裁選を控える中、自民党の4回生議員の福田達夫、大野敬太郎、小倉將信の3氏が、「改革試案」を緊急提言する。

◆◆◆

不退転の決意で投じる一石

 各社の世論調査をみても、岸田政権だけでなく自民党の支持率も低迷し、過去最低水準で推移している。

 平成以降、国民の政治不信がこれほどまでに高まったのは、30年前と15年前の2回だろう。30年前にはリクルート事件(1988年)と東京佐川急便事件(1992年)、15年前には日歯連のヤミ献金や事務所費問題が契機となり、「政治とカネ」の問題が政界を揺るがした。その結果、社会が政治に求めたケジメは政権交代だった。1993年には細川護熙氏を首相とする非自民連立政権が誕生、2009年には民主党政権が樹立された。

 今回の事件で、我々は2009年に政権を失った時の原点に立ち返らねばならない。

 我々3名は、2012年の初当選以来、ともに研鑽を重ねてきた同期であり、現状に対する危機感を共有し、意見交換を重ねてきた。総裁選が約ひと月後に迫るいま、ただちに着手すべき自民党改革試案を提起したい。

 我々は、この改革試案をもって、社会の常識に即した改革議論を活発化させることを望んでいる。この総裁選での重要な論点は、誰が総裁になるかではなく「どんな自民党にするか」だ。自民党という古びた組織(ビークル)の改革、そして改革を果たした自民党がどのような社会と国家、そして世界を目指すのかを、議論の中心に据えるべきだ。それぞれの総裁候補は明確な「党改革ヴィジョン」を打ち出さなければならない。本稿の目的は、その議論に寄与することである。

〈派閥による裏金問題が表面化してから約9カ月。問題意識を一にする3人の4回生議員が議論を重ね、まとめたのが本試案だ。総裁選に出馬する候補たちはこの声をどう聞くだろうか――。〉

1・政治とカネ──党ガバナンスの強化

 政治資金規正法は、政治資金収支の公開を通して政治活動の公明公正を確保し、民主政治の健全な発展に寄与することを目的としている。今回のような「政治とカネ」の問題が二度と起こらぬよう再発防止を徹底し、加えて政治資金の透明性を一層向上させなければならない。

 6月19日に成立した改正政治資金規正法は、再発防止策として、資金の通帳記入の義務化や外部監査の強化とともに、政治資金収支報告書提出に対する議員の監督責任と罰則が新設されるなど、不記載・虚偽記入に対する一定の抑止力を持つものとなった。一方で、政策活動費の支出をチェックする第三者機関の制度設計や、10年後に公開が義務付けられた領収書の対象範囲など、透明性の向上に資する部分は、有識者の間でも意見が分かれ、その大半が「検討」事項として残された。2年後の2026年1月の施行に向け、十分な議論を重ね、実効的な制度の創設が急がれる。

 政党は国家の機関ではなく、国民の自発的結社であり、政治活動の国家からの自由は最大限守られるべきである。ただし重要なのは、自由には責任が伴うという大原則を守ることだ。自民党は、その責任を全うできる組織、自浄作用が働く組織に生まれ変わらなければならない。

 最初に着手すべきは、問題対応プロセスの確立だ。組織内部に不祥事が生じた場合、一般に、「現状報告」「対処方針説明」「原因究明」「責任表明」「再発防止」のプロセスがとられる。特に「原因究明」は極めて重要で、誰が、いつ、何を、どのように指揮したのかを解明することは「責任表明」の必要条件であり、どの制度に、何の不備があり、事態の発生を許したのかを分析することは「再発防止」の必要条件だ。

 ところが、今回の党の対応を振り返ると、個々の議員のさまざまな努力にもかかわらず、結果としていずれの段階でもミッシング・ピース(欠落部分)が多過ぎた。党の調査チームの「聴き取り調査に関する報告書」(2024年2月15日)に、「遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と記されるのみで、実態は不明のままだ。清和研では、会長の安倍晋三元首相が、亡くなる直前の2022年4月に還流中止を指示したにもかかわらず、死後に再開されていた。この再開の経緯もいまだ不明のままである。検察の捜査でも実態が明らかにならず公判に持ち越されたことで、当然の帰結として政治不信を深めた。

 そこで我々は、危機における党運営の時代遅れともいえる実態を正すべく、抜本的な近代化を提言する。すなわち、内部不祥事に厳正に対処する体制の構築だ。「現状報告」「対処方針説明」「原因究明」「責任表明」「再発防止」という、危機管理の基本的フローを叩き台に、各ステップにおいて為すべき事柄について、必要な制度を整備し、基本指針を策定すべきだ。その中核は、不祥事を起こした議員に対する党の調査権限とその範囲を明記することで、抑止力とすることだ。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「 私たちの「自民党改革試案」 」)。

 

全文では、さらに下記の内容について言及されています。

  ▶政策集団は「政治技術」も伝承せよ
 ▶「73歳定年制」の厳格な適用を
 ▶「クオータ制」導入で女性議員を増やせ
 ▶「政調会」は官民連携で長期的な政策立案を

(福田 達夫,大野 敬太郎,小倉 將信/文藝春秋 2024年9月号)

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