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「トランプ再登板に要注意」「中国富裕層の投資先に」不動産も株も上がる日本の“資産バブル”はいつまで続く?〈プロ3人が分析〉

文春オンライン / 2024年8月26日 6時0分

「トランプ再登板に要注意」「中国富裕層の投資先に」不動産も株も上がる日本の“資産バブル”はいつまで続く?〈プロ3人が分析〉

日経平均は最高値を更新 ©時事通信社

日本の株価、地価の高騰が続き、「資産バブル」が訪れている。その根底には何があるのか。BNPパリパ証券チーフエコノミストの河野龍太郎氏、エコノミストの柯隆氏、不動産関連投資のアドバイザリー業務を行うEminence Partners代表の木下泰氏が話し合った。

◆◆◆

資産バブルが止まらない

 河野 日経平均株価が久々に3万円台になったのは、昨年の5月19日でした。それが今年3月4日には4万円台へと突入しました。

 木下 上昇機運があるのは株だけじゃないですよ。不動産価格も、戸建て、マンションともに都市部を中心に、値上がりが続いています。

  日本は30年に亘るデフレで、物価がほとんど上がらなかった。そこに昨年来の急激な円安が加わり、日本の商品や資産は、海外の投資家からはものすごく格安に見えています。株や不動産、為替、暗号資産など、一攫千金を狙ったマネーが、国内外から流れ込んでいる。リーマンショック以来、ほぼ一貫して上昇し続けてきたアメリカからずいぶん遅れて、資産バブルが到来しています。

〈資産バブルが止まらない。日経平均株価は、80年代バブル期を超えて史上最高値を更新。不動産価格も高騰し、昨年1年間に全国で発売された新築マンションの平均価格は、7年連続で過去最高を更新した(「不動産経済研究所」調べ)。金や暗号資産などの価格も軒並み上昇。一体、この上り調子はいつまで続くのか。市場を知り尽くした3人の専門家たちが、資産バブルの行方を分析する。〉

 木下 この7月、日経平均株価だけでなく、全銘柄を対象としたTOPIXも、1989年12月に付けた史上最高値(2884.80)を一時、上回りましたね。

 河野 証券会社で金融経済を専門にしてきたエコノミストとして言わせてもらえば、ここ30年ほどの間、アメリカを中心にグローバル市場で何度かユーフォリア(好景気で相場が上昇するなかで、市場が高揚感から熱に浮かされているような状態)が起こるのを見てきました。これまで日本の株式市場はそれに乗り切れなかったのですが、今回はアメリカ発のユーフォリアに、日本も組み込まれたのだと見ています。

 今後もしばらくはこのユーフォリアが続くと私は見ています。その理由は何か。第一に、インフレが落ち着いてきて、FRB(連邦準備制度理事会)が現在の5%超の高い金利から、いよいよ利下げをしそうであること。利下げが行われると銀行預金は高いリターンを求めて、株などへの投資に向かいます。そのため今後も、株高が続くと期待されているのです。もう一つの理由は、AIの普及によって、生産性が上がると楽観視されていることです。

株高と“米中新冷戦”

 木下 長年、アメリカのユーフォリアに乗れなかった日本が、なぜ今回は、上手く波に乗ることができたのでしょうか。

 河野 大きな要因の一つは“米中新冷戦”が始まったことでしょう。それによって世界的にサプライチェーンが組み直され、台湾の半導体メーカーであるTSMCをはじめ、続々と日本に生産拠点が移されるのではないか。日本の製造業が復調すると楽観視されているわけです。

  TSMCは先端半導体をつくる世界最大のメーカーで、アメリカのアリゾナと日本の熊本に製造拠点を移そうとしている。これは大きなプラスとなりそうですね。いまやアメリカ、中国だけでなく、世界中が半導体製造能力の向上に必死で努めていますから。

 河野 もう一つの要因が円安です。円安が進むことで、日本の株や不動産など、リスク資産の価値が外国人にとってかなり割安となり、投資を呼び込んでいる。また、輸出や海外拠点で稼いでいる日本企業の業績が、円安で大きくかさ上げされている。それらが相俟って、株価を押し上げています。

 木下 外国人投資家の日本株高への寄与はますます高まっています。7月に発表された株式分布状況調査によると、2023年度の金額ベースで見た外国人の日本株の保有比率は31.8%と過去最高になりました。特にチャイナマネーが日本株に流れていると言われています。

  中国の政府系ファンド「中国投資」が日本企業を狙っているという報道もありました。個人・機関投資家を問わず、中国人のETF(上場投資信託)投資は過熱しています。その要因の一つは、河野さんがおっしゃったように、日本のファンダメンタルズ(経済状況)が“米中新冷戦”と円安の追い風を受けて好調であることでしょう。

 もう一つの大きな要因は中国経済の減速です。中国のミドルクラス以上の富裕層は、いま中国国内で資産を運用するのはリスクが高いと考えている。そんな時、世界中を見渡して、運用先として選ばれているのが日本なのです。その最大の理由は、やっぱり円安でしょうね。

 円安が日本の株価を押し上げていることは間違いないですから、円高になると株価が下がる可能性が高い。その点でドル安を掲げるドナルド・トランプ氏の再登板には要注意ですね。株に投資する人は、為替の動向にも気を配っておくべきです。

 河野 5月頭の為替介入の際にも、円が急に4円ほど上昇した影響で、日経平均株価は一気に500円ほど反落しました。

  ただ、日本の株式市場は全体のトレンドとしては堅実に上昇しており、楽観的に見て良いと思います。

本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「 株・不動産 バブルはいつまで続くのか 」)。

 

本文(15000字) では、下記の内容について詳しく語られています。

●“米中新冷戦”が日本の株価を押し上げている

●東京の地価は高騰、NYのオフィスビルはガラガラの理由

●インフレを招くトランプ政策。米金利は下がるのか

●“令和バブル”でも国民生活が豊かにならないワケ

(河野 龍太郎,柯 隆,木下 泰/文藝春秋 2024年9月号)

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