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40万円で買った軽自動車を“魔改造”して車中泊生活…大企業を辞めた30代の新婚夫婦が“家も年収も捨てて”車で暮らし始めたワケ

文春オンライン / 2024年8月25日 11時0分

40万円で買った軽自動車を“魔改造”して車中泊生活…大企業を辞めた30代の新婚夫婦が“家も年収も捨てて”車で暮らし始めたワケ

YouTubeチャンネル「けんじとあかり」を運営するけんじさん(左)とあかりさん(公式YouTubeチャンネルより)

 改造した軽自動車で車中泊しながら、日本一周を達成した30代の夫婦・けんじさんとあかりさん。YouTubeチャンネル「 けんじとあかり 」で車中泊生活のリアルや日本一周の様子などを発信し、現在は登録者数15万人の人気を誇る。

 新卒で大企業に入社したふたりは、職場で出会い、2018年に入籍。その後、会社を辞めて、2021年4月から夫婦で日本一周を始める。新婚生活を送っていたふたりは、なぜ安定した収入と職を捨てて、車中泊の旅に出たのか――。(全3回の1回目/ 2回目に続く )

◆◆◆

ふたりの交際が始まったきっかけ

――おふたりは、2021年4月から2022年6月まで、軽自動車で車中泊しながら日本一周をしていたそうですね。

けんじ そうです。2021年3月に僕が会社員を辞めて、すぐにあかりと日本一周を始めました。

――それまでは、会社勤めを。

けんじ 僕は、いわゆる大企業と呼ばれる大手メーカーで営業をしていました。

あかり 私はその会社のグループ会社で営業をしていて。新卒で岡山に配属されて、そこでけんじと出会ったんです。

けんじ 全国転勤のある会社で、日本各地に支社があるんです。僕は新卒で入社したあと、広島に配属されて。そのあと愛媛に行って、そこから岡山配属になって、最終的に広島に戻りました。

――じゃあ、岡山では同じオフィスで働いていた?

けんじ いや、オフィスは別だったんですけど、同じグループ会社なので交流はあって。たまに社員同士でフットサルをしていて、そこで初めて会いました。

 僕もあかりも、大阪の南部出身なんですよ。地元が近いのもあって、フットサル後の飲み会とかで話すようになって。そこから仲良くなっていきました。

あかり 全国転勤の会社に勤めていると、そもそも大阪出身の人に出会わないんです。だから同じ大阪で、しかも南部で地元がめちゃくちゃ近かったので、私もけんじのことを意識していたところはありますね。

結婚後に大企業を辞めることになった経緯

――そのあと交際されて、ご結婚はいつ頃?

あかり 入籍したのは2018年の元旦です。でもプロポーズしてもらったのは2017年6月で、付き合って1年弱くらいで結婚することになりました。私が京都に転勤になって、遠距離恋愛になったので、結婚して一緒に住みたいという思いもあって。

 けんじが広島に戻るタイミングに合わせて、2018年3月に仕事を辞めて、広島で一緒に暮らし始めました。

――新婚生活を送るなかで、なぜけんじさんは会社を辞めることになったのでしょうか。

けんじ もともと、ずっと仕事を辞めたかったんです。会社が大きすぎて、自分の要望が全然通らないことに悩んでいて。入社してからずっと関西配属の希望を出していたんですけど、自分の意志とは関係ない場所に転勤させられてしまう。

 結婚したときも、あかりが仕事を辞めなくていいように関西配属の希望を出したんです。グループ会社で働く社員同士の結婚だから、少しは融通を利かせてくれると思ったんですけど、結局広島に戻ることになって。

 転勤以外にも、大きな会社ならではの古い体質が残っていて、この先もずっとこの会社で働きたい、という未来が描けませんでした。仕事内容にもギャップを感じていたから、なおさら仕事を辞めたくて。

――仕事内容は。

けんじ 店舗に営業する仕事だったんですけど、実際はお店のバックヤードで朝からひたすら商品の陳列をしたり、新店の準備や改装を手伝ったり。いわゆる肉体労働ばかりだったんです。若手だからやらされるというわけでもなく、昔からの古い慣習で、ある程度の年次になっても営業はその仕事をやらなければいけなくて。

 もちろん商品の陳列とかも大事ですけど、僕の目には、会社の先輩たちが楽しくその仕事をしているように見えなかった。お金のためと割り切って働いている感じで。もちろんそういう考えも理解できるんだけど、自分はそうなりたくないな、と思っていました。

「会社を辞めたい」夫の相談に妻・あかりさんは…

――あかりさんは、けんじさんの仕事の悩みは聞いていたのですか?

あかり 仕事を辞めたいという話は、付き合っている頃からずっと聞いていました。自分で言うのもなんですけど、私は割と器用に仕事をこなせるタイプなんですが、けんじはそれ以上になんでもできるタイプなんです。だから、もったいないというか、もっと能力を発揮できる仕事はあるんじゃないかな、と思ってましたね。

 それに、私も転勤の希望が通らなかったり、実績を出していたのに会社の都合で昇格できなかったり、いわゆる“大企業のしがらみ”を経験していたので。けんじから会社を辞めたいと相談されたときも、「全然いいよ。辞めたら?」というスタンスでした。

――けんじさんの気持ちが理解できたと。

あかり そうです。私の会社も福利厚生が手厚くて、上司や先輩はたくさん給料をもらっていたけど、けんじと同じように、社内に憧れの人はいなかった。けんじと私は、考え方がほぼ同じというか、価値観が近いんですよね。

――とはいえ、安定した職と収入を手放すのは、もったいないと思わなかったのですか。

けんじ 僕たちは、大金を稼ぎたいという考え方ではないので。一緒に生きていければ、それでいいのかなと。

あかり この先の30年、40年を「しんどい」と思いながら働くほうが損しているというか、もったいない。それよりも、ふたりで好きなことをやったほうがいいかなと思いました。

軽自動車で車中泊を始めることになった理由

――ふたりでやりたいことが、車中泊だった?

あかり いや、私たちはふたりともカレーが大好きで、カレー屋になりたいと思っていたんです。けんじが会社を辞めたあとに、修行をしたり、何かしらカレーに携わる仕事をしてから、お店を開こうと思っていました。

 でもコロナ禍になってしまったので、さすがに今は飲食店を開くタイミングではない、ということになって。

――新型コロナの感染拡大によって、予定が狂ってしまったわけですね。

けんじ そうです。僕が会社を辞めるのも、コロナ禍で1年先延ばしになってしまって。

――なぜ車中泊での日本一周に切り替えたのでしょうか。

けんじ 在宅ワークが増えて営業に行かなくなったので、暇な時間が増えて、それまで見たことがなかったYouTubeを見るようになって。車中泊をしながら日本一周をしている夫婦の動画を見つけたんです。

 で、その動画を見ていたら「こういう生き方、うらやましいな」と思うようになったんですよね。僕もあかりも、もともと旅行が好きなので、いっそのこと自分たちもこういう旅をしてみたいなと思って。僕から「仕事を辞めたあと、日本一周しない?」と提案しました。

YouTubeを見たことがなかったふたりが、YouTuberになったワケ

――その提案を聞いて、あかりさんは驚きませんでした?

あかり 私もそれまで、あまりYouTubeの動画を観たことがなかったんです。YouTuberに苦手意識があったので。

 でもその夫婦は、ホームビデオみたいな内容の動画をアップしていて、すごいナチュラルで楽しそうだったんですよね。

 そういうYouTuberがいると知らなかったから、すごいカルチャーショックを受けたし、「こういうのなら自分たちにもできそう」と思ったので、けんじの提案にも「全然いいやん」みたいな感じでした。

――日本一周と同時に、YouTubeも始めるんですよね。

けんじ そうです。もともと、旅行先でビデオカメラを持ち歩いて、よく撮影していたんです。帰ってきてから自分たちで見るために、その動画をホームビデオみたいにまとめたりしていて。なので、その延長みたいな感じで動画を編集して、YouTubeにアップしてみようと思いました。

あかり 暇な時間にやることがあったほうがいいかな、というのもありましたね。

収益化は「できたらいいな」というスタンス

――YouTubeで生活費を稼ぐ狙いもあった?

けんじ 最初からYouTubeを生活の柱にしよう、という感じではなかったです。思い出を残すために動画を撮って、収益化は「できたらいいな」というスタンスでした。

あかり もちろん収益化したらうれしいし、そのためにがんばるけど、それでお金が稼げなかったとしても「まあ、いいか」みたいな。貯金もしていたので、YouTubeで必死になって稼がなきゃ、という感じでもなかったんです。

――日本一周やYouTubeに対する不安は?

けんじ 僕は、仕事を辞めて旅行できることへのワクワク感しかなかったです。人生でそんな経験できることって、あまりないので。

あかり 2人でいろいろなところに行けるし、思い出も作れるし、私も楽しみのほうが大きかったですね。

日本一周に対する両親の反応「あかりちゃんはそれでいいの?」

――お互いのご家族には事前に説明したんですか?

けんじ 僕の両親には、会社を辞めることも日本一周をすることも、事前に相談してなくて。事後報告だったんです。

――「会社を辞めて、これから日本一周に行きます」みたいな?

けんじ そうです。だから、両親はそもそも反対する余地がなかったというか。

――報告したあとのご両親の反応は。

けんじ 心配はしていましたね。「せっかく大企業に入って将来も安泰だったのに、仕事を辞めて大丈夫なの?」と。

 あと、夫の親として、あかりに対する責任も感じていたみたいで。

あかり けんじのご両親は、すごく私の心配をしてくれて。「あかりちゃんはそれでいいの? けんじに無理やり誘われたんじゃない?」みたいな。

 でも私は、けんじが仕事を辞めることに賛成だったし、車中泊で日本一周することも楽しみにしていたので、「全然大丈夫です」と伝えました。

――あかりさんのご両親は何と?

あかり 私の両親にもふたりで説明しに行ったんですが、反対はされませんでした。母が少し心配したくらいで、父は「おおっ、ええやん」という感じで(笑)。

けんじ ふたりが決めたことだから応援します、と言ってくれましたね。

旅の期間を1年間に決めた理由

――日本一周中、ご両親と連絡は取ってましたか。

あかり 「荷物が届いたよ」とか、ちょくちょく連絡していました。

――ご実家に荷物が届くようにしていた?

あかり そうです。日本一周を始めるときに、ふたりで住んでいた賃貸の家を引き払って、実家に住民票を移したんですよ。だから、税金とかの郵送物も実家に届いて。

 それを「郵便局留め」で送ってもらって、私たちがいる場所の近くの郵便局で受け取って、銀行やコンビ二で支払うみたいな。

けんじ 家を引き払うときに残った僕らの荷物も、実家に置かせてもらっていたんです。30代にもなって親に頼りっぱなしは恥ずかしいので、長期の旅にせず、1年間で日本一周することにしました。

――ご両親に迷惑をかけないように。

けんじ あと、これはあくまで僕たちの意見なんですけど、車中泊をしながらだと、どうしても道の駅とか無料の公共施設を使わせてもらう場面が出てくるので、あまり長く旅を続けるのは良くないとも思ったんです。

〈 「普通に働け」「税金払え」とネットで批判…大企業を辞めて軽自動車で“車中泊生活”を始めた夫婦YouTuber(30代)が明かす、“周囲からの反応” 〉へ続く

(「文春オンライン」編集部)

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