1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「会社員には戻りたくない」大企業を辞めて“改造した軽自動車”に住んだ30代夫婦YouTuberが語る、車中泊でひっくり返った“価値観”「大事なのはお金じゃない」

文春オンライン / 2024年8月25日 11時0分

「会社員には戻りたくない」大企業を辞めて“改造した軽自動車”に住んだ30代夫婦YouTuberが語る、車中泊でひっくり返った“価値観”「大事なのはお金じゃない」

YouTubeチャンネル「けんじとあかり」を運営するけんじさん(左)とあかりさん(公式インスタグラムより)

〈 「普通に働け」「税金払え」とネットで批判…大企業を辞めて軽自動車で“車中泊生活”を始めた夫婦YouTuber(30代)が明かす、“周囲からの反応” 〉から続く

 改造した軽自動車で車中泊しながら、日本一周を達成した30代の夫婦・けんじさんとあかりさん。YouTubeチャンネル「 けんじとあかり 」で車中泊生活のリアルや日本一周の様子などを発信し、現在は登録者数15万人の人気を誇る。

 大企業を辞めて、2021年4月から2022年6月まで軽自動車で日本一周をしていたふたりは、車中泊生活を通して価値観が大きく変化したという。ふたりの価値観はどのように変化し、日本一周後はどんな生活を送っているのか。話を聞いた。(全3回の3回目/ 1回目から読む )

◆◆◆

家に住んでいたときよりも仲良くなった

――ずっとふたりで車内にいて、ケンカすることはなかったですか?

けんじ 1回だけ、YouTubeの撮影方針について喧嘩したことはありましたけど、それくらいですね。

――お互いイライラしたり、ストレスを感じることもなく。

あかり 日本一周をする前は、「今、何しているんや」「仕事から帰ってくるのが遅い」「もっと家事を手伝ってよ」みたいな不満を持つこともあったけど、車中泊ではなかったです。

 ずっと一緒にいるから相手が何をしているかわかるし、夕飯とかも全部一緒に準備するから「どっちのほうが家事をやっている」というのもなくて。私たちは価値観や考え方が近くて意見がぶつかることもないので、喧嘩をするきっかけがありませんでした。

――むしろ、家に住んでいたときよりも仲良くなった?

けんじ そうですね。今あかりが言ったように、考え方や価値観がすごく似ているから、ずっと一緒にいるほうが楽しくて。より彼女のことが好きになりました。それは車中泊生活をして良かったことのひとつです。

あかり けんじが車内でYouTubeの撮影方法や動画内容を研究したり、カメラのことを勉強したり、夜遅くまで編集作業をしている姿を間近で見て、すごくリスペクトするようになりましたね。

 私は飽き性なので、YouTubeの仕事をせずに、スマホで韓国のオーディション番組を見てしまうときもあったんですけど(笑)。けんじはコツコツと努力し続けていたので、偉いなと。

けんじ 自分たちの思い出を編集しているだけだと思っていたので、何時間作業してもまったく苦ではなかったです。

「生きていくのに物は必要ないんや」車中泊生活を経験して物に執着しなくなったワケ

――ほかに、車中泊生活を経験して良かったな、と思うことは?

あかり 日本一周が終わって、また家に住み始めて思ったのは、車中泊だとすごく効率よく旅ができる。家から行くとなると、準備とかに時間がかかるけど、車中泊だと、荷物を全部車に積んでいるので、すぐに旅へ行けるんです。

 車に泊まるからホテルの予約も必要ないし、何日も旅をしても、宿泊費がかからない。天気が悪くて予定をずらしてもホテルをキャンセルする必要がないから、融通も利きますし。それは普通の旅ではなかなかできないことだと思います。

けんじ あとは、物に対する執着がなくなりましたね。車中泊をする前は、ふたりとも物欲があるほうだったんですよ。家具や家電を結構買っていたし、服もたくさん持っていたし。

 でも、車中泊生活を経験してから、あまり買い物をしなくなって。

――なぜ物に執着しなくなったのでしょう。

けんじ 軽自動車の限られたスペースで、限られた荷物だけで生活していたら、「生きていくのに、あんまり物は必要ないんやな」「服も全然いらんやん」と思うようになったんです。

 だから、旅が終わって北海道に移住するときに、以前の家に置いてあった物は半分以上、売ったり処分したりして。日本一周前に比べると、家の中がかなりスッキリしました。

あかり 今は「これは自分たちにとって本当に必要なのか」って考えてから買い物しています。

「やっぱり快適やな」日本一周が終わって家に住み始めて実感

――逆に、車中泊生活のデメリットは?

けんじ 日本一周が終わって家に住んで思ったのは、車より絶対家のほうがいい(笑)。

あかり 「家はやっぱり快適やな」みたいな(笑)。私は日本一周の終盤に、すごく肌が荒れてしまったんですよ。それまであまり肌荒れをしたことがなかったのに。原因はわかりませんが、車中泊生活でストレスが溜まっていたのかな、と。

けんじ 今思うと、よくあんな狭い車内で生活していたなと思います。特にトイレとかお風呂は大変でしたね。

あかり 夏場は基本、毎日お風呂に入ってましたけど、銭湯や温泉が臨時休業で閉まっていて、すごい汗をかいたのにお風呂に入れなかったこともあって。でも家ではいつでもお風呂に入れるから、めちゃくちゃいいなと思います。

移住先に北海道を選んだ理由

――日本一周が終わったときには、達成感があったんじゃないですか。

あかり 達成感もありましたけど、「やったあ、家に住める!」みたいな(笑)。

 私たちは転勤族で、社会人になってから好きな場所に住んだことがなかったのもあって、「これからは自分たちの好きな場所に住めるぞ!」という嬉しさがありましたね。

けんじ 日本一周しているときに北海道への移住を決めて。日本一周が終わる1か月くらい前には家も決まっていたんです。

――2022年6月に日本一周を終えて、7月から北海道に移住したそうですね。なぜ北海道を選んだのですか?

けんじ 北海道が広すぎて、日本一周のときに回り切れなかったのが一番の理由ですね。実際に北海道に住んで、もうちょっとゆっくり見て回りたいなと思いました。

あかり 北海道は、アウトドアをするのにとてもいい環境なんです。道が広くて真っすぐだから、車で旅をしたりキャンプに行きやすくて。そういうのも考慮して、北海道に決めました。

――実際に住んでみて、北海道生活はどうでしたか。

あかり 食生活のQOLが上がりました。スーパーで売っている食材の質が高いから、少しくらい料理が下手でも、おいしくなるんです。しかも、値段も安い。

 あとはやっぱり、アウトドアに行きやすいですね。キャンプ場がたくさんあるからキャンプを楽しめる。

中古で150万の宅配バンを購入し、車中泊仕様にDIY

――北海道移住後は、中古で宅配バンを購入したそうですね。

あかり そうです。北海道に移住したあと、日本一周中に乗っていた軽自動車の「カリー号」が、車検で2か月くらい帰ってこないことがあったんです。そのときに、「古い車だから、次の車も買ったほうがいいかな」と考えて。

けんじ あと、その時期にキャンピングカーを借りて車中泊旅に出かけたんです。そしたら「やっぱり広い車はめちゃくちゃいいやん」となって。2023年3月に宅配バンを買いました。

あかり 大きいカリー号という意味を込めて、「デッカリー号」と名づけました(笑)。

――なぜ宅配バンにしたのですか?

けんじ 見た目がすごく好きだったんです(笑)。誰も乗っていない珍しい車というのも、いいなと思いました。

 それに、車内で立ったりできるくらい大きくて、かつ快適に過ごせそうなので。キャンピングカー仕様にDIYしたら、今まで以上に車中泊を楽しめるかなと思って。

あかり 実は、日本一周しているときから欲しかった車なんですよ。「次に買うならこの車だ」とずっと言っていたんです。

――ちなみに、購入費用は?

けんじ 車自体は約150万円で、車検とか諸々を入れたら200万円くらいしました。

「軽自動車とは快適性が全然違う」DIYした宅配バンの“乗り心地”は?

――車内をDIYしたそうですが、その費用はどれくらい?

あかり 実は、DIY費用はほとんどかかってないんです。北海道で偶然お会いした視聴者の方が大工さんで、いらない資材とかをたくさんくださって。車内のベッドとかフローリングの資材も、その方がカットしてくれたんです。

けんじ DIYしたと言いつつ、ほぼ自分たちでは作ってません。

――どのような経緯で、視聴者が資材を?

あかり 宅配バンでキャンプに行って、その帰り道に声をかけられたんです。「僕は大工で、今仕事中なんです」って。

けんじ ちょうどふたりで、「車が大きくて自分たちでDIYするのは難しいから、大工さんとかに頼めないかな」と話していたので、「ええ、大工さん!?」って驚きました。

――奇跡ですね。

あかり 本当に、すごいご縁だなと思いました。そのあと連絡させてもらったら、「いらない資材があるから使っていいよ」と言ってくれて。

――「デッカリー号」の乗り心地はいかがですか。

けんじ 高さがあって、車内で立って着替えられるので、軽自動車とは快適性が全然違いますね。

――珍しい形の車だから、目立つんじゃないですか。

あかり キャンプ場とかに行くとかなり目立ちます。

けんじ 外装を塗ると超目立つと思ったのであまり塗ってないんですけど、それでも視聴者さんにはすぐに気づかれます。

「会社員には戻りたくない」と考える理由

――北海道に移住してからも、引き続きYouTubeが収入源ですか。

けんじ そうですね。この先もずっと続ける、というわけではないんですけど、当面はYouTubeを続けたいなと思っています。

 やっぱり自由に働けるし、自分たちの好きな場所に住んで、好きなタイミングに出かけて撮影したりできるので。

――車中泊での日本一周を経て、おふたりのライフスタイルはかなり変化しましたよね。

けんじ 日本一周をする前はYouTubeを仕事にして、こんな自由な働き方をするとは想像していませんでした。日本一周が終わったら再就職して、また会社員として働くと思っていたので。

――会社員に戻りたいという気持ちはないんですか?

けんじ 国保(国民健康保険)の支払額を見たときに「サラリーマンいいな」と思うことはあります。病気になって休んでも給料があって安心だし、会社員には会社員の良さがあるなと。

あかり なくはないけど……戻りたくない気持ちのほうが大きいです。ふたりで会社員をしていた頃のほうが年収も高かったけど、今のほうがやりたいことができている。大事なのはお金じゃないと思ってます。

北海道を回りきったので今度は大阪へ移住。今後の目標は…

――今後はどんな人生を歩んでいきたいですか。

けんじ 実は、今年の7月に北海道から大阪へ移住したんです。

――なぜ北海道から大阪へ?

けんじ 2年間で、北海道を回りきるという目的を達成できたので。十分楽しめたから、一旦ふたりで地元の大阪に帰ろうかなと。

あかり あとは、将来的にふたりでカレー屋を開きたくて、お店を出すなら大阪がいいなと思っているので。物件探しとかもするために引っ越しました。

――カレー屋を開く時期は決まってるんですか。

あかり 具体的には決まってないですけど、5年以内には出したいです。

けんじ 今年の秋頃には、業者に頼んで「デッカリー号」をキッチンカー仕様にする予定です。一旦キッチンカーでカレーを出しながら、いろいろな経験を積んで、ゆくゆくはお店を持てたらいいなと思っています。

――これからは、カレー屋を開くために活動していくのですね。

けんじ 僕たちは別に目立ちたいわけでも、有名になりたい訳でもない。ただ、YouTubeで僕たちを知ってくださる方が増えれば、カレー屋を開いたときにお店に来てくれる方も増えると思うので、YouTubeでの発信は続けながら、こぢんまり生きていこうと思っています。

あかり 今までもそうだったように、これからもYouTubeに振り回されることなく、自分たちのやりたいことを優先して、ブレずに活動していきます。

(「文春オンライン」編集部)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください