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実は今でも新製品が出るナゾのジャンル「USBフットペダル」とは? 足でPCを操作することで可能になる“3つのワザ”

文春オンライン / 2024年8月23日 17時0分

実は今でも新製品が出るナゾのジャンル「USBフットペダル」とは? 足でPCを操作することで可能になる“3つのワザ”

古くからパソコンを使っていた人ほど、どこかで見たことがあるに違いないUSBフットペダル。足で押すことで機能を実行できます。写真はサンワサプライの「400-MA212BK」

 PCの操作は、一般的に両手を使って行いますが、空いている足も操作に使えれば、さらに効率がアップするのではないか──そんな考え方をもとに誕生したのが、USBで接続するフットペダルです。車のアクセルのような構造をしており、ここにキー操作を割り当てておくことで、プラスアルファの操作を可能にする逸品です。

 こうした足で操作するデバイスの歴史は意外と長く、筆者が知る限り、USBという規格がメジャーになって間もない2000年頃には、すでに対応製品が登場しています。ラインナップするメーカーは少ないものの、数年単位で新製品がリリースされており、知る人ぞ知るアイテムといったところです。

 今回は、このUSBフットペダルを使えばどのようなことができるのか、実際にどのような割り当てがオススメなのかを、最近発売されたサンワサプライのUSBフットペダル「400-MA212BK」を例に紹介します。

足でキーボードを1つ押せると何が起きる?

 まずは仕組みを簡単に紹介しておきましょう。本製品は、ペダルを踏むことによって、あらかじめPCのユーティリティ上で割り当てておいた操作を実行できる製品です。言うなれば、カスタマイズ可能な巨大なキーをひとつ搭載した足踏み専用のキーボードということになります。

 割り当てられる機能はさまざまです。例えばEscキーを割り当てておき、操作を間違った時にすばやくキャンセルしたり、2つ以上のキーを組み合わせたショートカット、例えば[Ctrl]+[Z]を割り当てておき、直前の操作を取り消すこともできます。またスピーカーの音量をミュートにしたり、マウスで一定距離をスクロールすることもできてしまいます。

 ただし登録できる機能はひとつだけなので、例えば音量調整を割り当てようとしても、「大」と「小」、どちらか一方は登録できませんので、それならばミュートを割り当てておいたほうが合理的、といった具合になります。ほかにもブラウザの「戻る」「進む」のような、2つでセットになったキーは、あまり相性がよくありません。このあたり、利用にあたってはセンスが問われるところです。

 なお今回紹介しているのは1ペダル仕様ですが、2ペダルや3ペダル仕様の製品も存在します。もっとも前傾姿勢で使うことが多い一般的なデスクでは、車のシートに深く座ってアクセルとブレーキを踏み分けるのと異なり、複数のペダルを踏み分けるには毎回足を持ち上げなくてはならないため、こうした製品では操作ミスも起こりがちです。基本的には1ペダルの利用にとどめておいたほうがよいでしょう。

使い方その1:サボりの痕跡を上司から隠す

 では実際に、お勧めの使い方をいくつか紹介していきます。ひとつは、他の人に見られては困る操作を、一瞬で隠す用途です。

 例えば、仕事中にネットを閲覧するなどサボりをしていた時、上司が後ろから覗き込んできたとします。この時、ペダルを踏むことによってすべてのウィンドウを非表示にする割当をあらかじめ行っておけば、何食わぬ顔をしてペダルを踏むことで、サボりの痕跡を瞬時に抹消できるというわけです。

 本製品を使う強みは、デスクの下で足を使って操作を行うため、操作したことを相手に悟られにくいことです。こうした機能は、別名「ボスが来た(Boss key)」と呼ばれることがあるほどで、Windowsよりも前、DOSの時代から根強いニーズがあります。USBフットペダルの用途を問われたら、まずこれが思い浮かぶ人も多いはずです。

 実際のキー割当としては、全ウィンドウを最小化する[Windows]+[D]でもよいのですが、これだと画面から一切のウィンドウがなくなるという、極めて不自然な状態になってしまいます。Windowsの仮想デスクトップで用意しておいた別の画面へと切り替える[Windows]+[Ctrl]+[→]のほうが、いかにも別の作業を行なっていたように偽装できてよいかもしれません。

使い方その2:とっさの場合の音量ミュートや画面ロックに使う

 前述の「ボスが来た」系の機能もそうですが、PCを使っていると、何かあった時にはこのキーを瞬時に押すべし、という操作がいくつもあります。踏むだけで決まった操作を実行できるUSBフットペダルは、こうした用途に向いています。

 例えばPCでの作業中に急に同僚や家族に呼ばれたり、あるいは宅配便が届いて受取のために席を外さなくてはいけなくなった場合に、再生中の音楽を一時停止したり、音量をミュートにするといった操作がこれに当たります。本製品ならば、こうした操作がすでにショートカットとして用意されていますので、選ぶだけで実行できるようになります。

 画面をロックするなど、セキュリティを強化する目的で使うというのも、よくある活用方法のひとつです。Windowsの画面ロックを行うためのショートカット[Windows]+[L]を本製品に割り当てておけば、席を離れる時にペダルを踏むだけで、PCがロックされます。また自動保存機能がないソフトとの組み合わせでは、[Ctrl]+[S]を割り当てておき、作業の節目ごとに上書き保存するというのも、考えられる使い方の一つです。

 特定アプリでのみ使えるショートカットももちろん登録できます。例えばExcelで表の最後のセルまでを範囲選択するショートカット[Ctrl]+[Shift]+[End]を登録しておき、押すと一発で表全体を選択できるようにする、といった使い方は、こうした操作を繰り返す人にとっては便利でしょう。

 一方で、ZoomやGoogle Meetなどのテレビ会議ツールで、マイクをミュートにするショートカットを割り当てておき、会議が始まる前に必ず押すようにするというのは、アイデアとしては面白いのですが、個人的にはあまりおすすめしません。

 というのもこれらのショートカットは、繰り返し押すことで有効と無効が切り替わる場合が多く、小回りが利かない足での操作では、ミュートにしたつもりがうっかり解除されてしまうミスを誘発しやすいからです。あわてて操作することで傷口を広げかねない操作、容易にはリカバリーできない操作は、なるべく割り当てないほうがよいでしょう。

使い方その3:覚えられない定型フレーズをかわりに覚えさせる

 珍しい使い方としては、決まった文字列を入力するというワザがあります。本製品は、指定したキーストロークを連続入力できる機能を備えており、メールアドレスなどの定型句や、あるいはプログラミングなどでよく使うフレーズを登録しておくことで、これらをすばやく入力できるようになります。

 例えばExcelとの組み合わせで、どうしても覚えられない関数を書式付きで登録しておき、必要な時に貼り付ける、というのはありでしょう。さまざまな関数を選んで貼り付けられるわけではなく、1つだけに限定されるので、これはこれで迷いがちですが、使い方によっては重宝するでしょう。

 このほか、コマンドプロンプトで使うコマンドのうち、よく使うものをパラメータ込みで登録しておくというのも便利です。ただし入力できるのはアルファベットだけで、日本語は変換を伴うこともあって対象外であるほか、文字数は最大38文字までという制約もあったりと、なにかと制限がある点は要注意です。

 このほか、今回紹介している製品は、マウスの動きも割り当てられます。左右クリックやホイールクリックのほか、座標を指定してマウスのポインタを動かしたり、また距離を決めてマウスのスクロールを行うこともできます。

 ただしいちどにポインタを移動できる距離は決まっているので、例えばポインタの位置を見失った時に、ペダルを踏み込めばポインタが一発で画面の左隅に移動する、といった使い方はできません。こちらもやや使い所が難しそうです。

まとめ

 以上のように、任意のアプリを起動したり、複数の設定を間隔を空けて実行するマクロを組むといったゲーミングマウスのような高度な設定はできませんが、その手軽さは実に便利です。設定した内容はPC上にではなく、本製品内のメモリー領域に保存されるため、PCから本製品を取り外して別のPCに接続しても同じ割り当てが使えるのも利点です。

 製品選びにあたって知っておきたいのは、こうしたフットペダルには本体の手前を踏むタイプと奥を踏むタイプの2種類があるということです。手前を踏むタイプは、常に足のつま先を持ち上げておかなくてはならないのに対し、奥を踏むタイプは、ふだんから足を軽くペダルに乗せておけるので、あまり疲れません。個人的には奥を踏むタイプをおすすめします。今回紹介しているのもこのタイプです。

 製品によっては、前述のキー入力のように、日本語環境ではいまいち使いづらい点が残っているのはやや気になりますが、それを抜きにしても、さまざまな工夫ができる点はそそられる人も多いのではないでしょうか。今回紹介した製品は実売価格も3480円と、マウスとほとんど変わりませんので、ぜひ実際に製品を入手して、思いついた使い方を試してみてほしいと思います。

(山口 真弘)

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