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読み書きが学べる、デジタル技術への慣れに繋がる、地理や歴史に詳しくなる…だけじゃない 「子供にゲームを遊ばせるべき」と断言できる“納得の理由”

文春オンライン / 2024年8月25日 11時0分

読み書きが学べる、デジタル技術への慣れに繋がる、地理や歴史に詳しくなる…だけじゃない 「子供にゲームを遊ばせるべき」と断言できる“納得の理由”

©years/イメージマート

 筆者はビデオゲーム、つまりテレビゲームにまつわる記事を書いて生計を立てているライターなのだが、ずっと考えていたことがあった。

 それは「子供にゲームを遊ばせるか否か」である。もちろんゲームに好意的な筆者は遊ばせたいどころか一緒にプレイしたいのだが、親の立場としてはそう考えるとも限らない。

 我が子が成長してゲームに興味を持ちはじめると、いわゆるママ友あるいはパパ友からある相談を受けるようになった。そう、「子供にゲームを遊ばせるか否か」である。

 少し考えたあと、「やはり遊ばせるべきだ」と答えるほかなかった。なぜなら、もはやゲームは“遊ぶメリット”が非常に大きいからである。

◆◆◆

スマホを持つのが当たり前なように、ゲームを遊ぶのも当然な時代

 なぜゲームを遊ばせるべきなのか? いくつかの角度から説明していこう。

 まずは「ゲームを遊ぶのが当たり前」という現状だ。eスポーツ業界の市場調査会社Newzooによると、Z世代のゲームプレイ経験率は81%にも及ぶという。つまり、ほとんどの子供はゲームを遊んでいるのがふつうなのである。

 昨今は高校生や親子によるeスポーツ大会も開かれているし、親世代もゲームに触れたことがあって当然だろう。スマホなどで高齢者がゲームを遊ぶのもなんら不思議なことではない。

 ビデオゲームの地位も向上している。2025年には第1回オリンピックeスポーツ大会が開催されるわけで、ビデオゲームはフィジカルスポーツに近づいているといってもいいだろう。あるいは、ゲーム実況配信者は人気者で子供たちの憧れになっている。

 そもそも現在は、ほとんどの人がスマホを持たざるを得ない状況だ。スマホを持っていればゲームも非常に身近になるわけで、もはや遊ばないほうが珍しい。ゆえに、子供たちはスマホと同じく、ゲームの扱い方をしっかり学ぶ必要がある。

 とはいえ、こう言えば「みんながやっているからといって、ゲームをやらせるべきではないんじゃない?」と返されるのが目に見えているし、そのように納得できない人も多いだろう。もうひとつ遊ばせるべき重要な理由を挙げるとするならば、“ゲームが学びになるから”である。

ゲームが学びになる“根拠”

「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、物事に取り組むときに楽しく行えばよりよく取り組むことができる。ゲームは遊び手を楽しませようとする仕組みに特化しており、その仕組みをほかに活かそうとする「ゲーミフィケーション」という概念があるほどだ。

 楽しく遊んでいるうちに何かを得られているとなれば、これは幸いである。では、具体的にゲームから何を学ぶ・得ることができるのだろうか?

 基本的な部分でいえば、読み書き、数のやりとりもゲームから学べる。「ポケモンをやりたいがためにひらがな・カタカナを覚えた」だとか「RPGでお金の計算をする必要があって数のやりとりを学んだ」といった例は枚挙にいとまがない。

 デジタル技術への慣れにも繋がるだろう。たとえばセルフレジがよくわからないのはああいった媒体に慣れていないからだが、ゲームに触れていれば画面上の操作は理解できるようになっていく(もちろん、単純にセルフレジの操作が複雑すぎる場合は話が別だが)。

 また、ゲームに深く興味を持つとそのうちPCに触れるようになっていく。子供が「ゲーミングPCが欲しい」と言い出すのは、金銭的な面で親にとって頭の痛い話だが、PCに慣れることは将来働くうえで重要なスキルになる。若年層があまりPCに触れていない日本では大きなアドバンテージといえるだろう。

ゲームが学習用教材として用いられる時代

 ところで、世界一売れているゲーム『マインクラフト』をご存知だろうか。ブロックを組み上げて何かを作りあげたり、あるいはブロックで構成された世界を冒険するゲームだ。本作は楽しいだけでなく、国内外問わず教育現場で活用されており、プログラミング教育・情報教育・協同学習の教材として用いられている。

 プログラミングを楽しく学べるものもいろいろとあり、任天堂の『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』や、パズルゲーム『ぷよぷよ』を写経して基礎を学ぶといったものもある。

 歴史や地理も学べるだろう。筆者の中学生時代の同級生は「勉強はぜんぜんできないけど『信長の野望』(コーエーテクモゲームスのシミュレーションゲーム)のおかげで戦国時代は完璧」と語っており、実際に彼は日本史、それも特定の時代だけ非常によい成績だった。

 あるいは『Ghost of Tsushima』は鎌倉時代の対馬を題材にしたゲームで、元寇による日本侵略を描いている。これも日本史を知っているとより楽しめるし、詳しく知っていくきっかけになるだろう。

 ボードゲーム『桃太郎電鉄』は日本全国が題材になっているため、遊んでいると自然と地理および各地の名産を学ぶようになる。「プリントで都道府県名を覚えさせるより、ゲームを遊ばせるほうが勝手にやるし楽だった」という人の話も聞いたことがある。本作は教育現場向けのバージョンも提供されており、まさしく遊ぶことが実益になっていくのだ。

社会問題に関心を持つ入り口としても…

 社会の問題を取り扱ったゲームもたくさんある。『This War of Mine』はサラエボ包囲、つまり実際の戦争を題材にしたサバイバルゲームで、つらく苦しい状況で必死に生き延びる一般人の生活を描いている。ほかにもクィアを描いたゲーム、宗教の信仰と現実の差異を描いたゲームなど、もはやゲームは社会を描くようになっているのだ。

 あるいは、ゲームは教養であるとすらいえる。マンガやアニメで人気の『ダンジョン飯』や『葬送のフリーレン』といった作品は、ゲームの文脈を前提にした作品である。もはやゲームを知っている人向けの新たな創作が行われる時代であり、それらがヒットする状況なのだ。

 もっと単純に見れば、ゲームは癒やしにもなる。 パズルゲーム『テトリス』がメンタルヘルスの改善に役立つのではないかといった研究 があるように、ゲームに熱中しているときは眼の前の遊びに集中でき、それが人の心を落ち着かせるのである。

 ここまでいろいろな理由を並べたが、子供がゲームを遊ぶメリットとして、中でも重要なものが「コミュニケーション」といえよう。

ゲームによるコミュニケーションが当たり前の時代

 ゲームには「ひとりで遊ぶもの」というイメージがあるかもしれないが、実際はコミュニケーションが前提になっているものも少なくない。というより、人間にとってコミュニケーションは大きな娯楽であり、それを用いたゲームは流行りやすいのである。

 日本で大流行した『あつまれ どうぶつの森』もプレイヤー同士のコミュニケーションを主軸にした作品だし、「ポケットモンスター」シリーズもほかの人との交換・対戦を楽しむという意味でコミュニケーションの遊びだ。『フォートナイト』や『ロブロックス』はゲームのなかに交流を楽しめる世界が用意されており、それが大きな支持を得ている。

 いわば、現代はゲームのなかに公園があるような状況だ。雨の日や外に出づらい気候、あるいはコロナ禍のような状況はそこで遊ぶのがベターだろうし、そのうえ現実にはない楽しみ方ができるわけだ。親が付き合えば、家族の交流にも繋がるだろう。

 もはやゲームはわれわれの日常生活に食い込んでおり、単なる娯楽を超えつつある。楽しい学びにもなるうえ、公園のような場所ですらあるというならば、遊ばせるべきだと言うほかない。子供からコミュニケーションを取り上げるべきだろうか? と問うとしたら、答えは聞くまでもなかろう。

 とはいえ、「コミュニケーションさせることが心配なんだ」という声もあるだろう。実際、ゲームを子供に遊ばせるデメリットもある。 #2 では問題点とその対策を考えていきたい。

〈 「ゲームは1日1時間」に科学的根拠はナシ…子供をゲームに依存させないために親ができる“効果的な手段”とは? 〉へ続く

(渡邉 卓也)

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