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やり投げの北口榛花、男子体操団体…金メダルに通じるマネジメント&マーケティングとは!?

文春オンライン / 2024年8月27日 6時0分

やり投げの北口榛花、男子体操団体…金メダルに通じるマネジメント&マーケティングとは!?

やり投げでパリ五輪金メダルを獲得した北口榛花選手 ⒸJMPA

 パリ五輪で金メダルを獲得した男子体操団体の萱和磨、谷川航、やり投げの北口榛花をはじめ、日本を代表する選手たちの「アスリートマネジメント」を手がける一方、国内&国際大会などの「スポーツマーケティング」にも数多く携わる会社スポーツビズ。

 日本のスポーツビジネスを新しい形で牽引してきた同社社長の山本雅一さんが、パリ五輪の現地視察往復機内で読んだのが、池井戸潤さんの最新長編小説『 俺たちの箱根駅伝 』だった!

 ロングインタビューの前編です。( 後編 を読む)

◆◆◆

選手たちのためのセレモニーの素晴らしさ

――本日はフランスから帰国されたばかりでのタイミングで取材となりました。

山本 今回のパリ五輪へはマネジメントをしている、スケートボードの中山楓奈選手、ボクシングの岡澤セオン選手、男子体操の萱和磨選手、谷川航選手、フェンシングの身延和靖選手、そして陸上の北口榛花選手の6人が出場しました。とはいえ、オリンピック期間はセキュリティが厳しくて、競技会場で応援はできてもなかなか選手に直接会えるわけではないんです。

 たとえば、体操では直接のコーチは試合会場に入れますが、監督でさえラグビーのように観客席で見守ります。そこで現地での僕の仕事は、選手たちのために何かをするというよりも、むしろ日頃お世話になっている関係者への挨拶のためにJOCのレセプションに出席したり、各スポーツメーカーのオリンピックハウスを廻って挨拶をしたりがメイン。たまたまスポンサーさんに誘っていただいて、阿部一二三選手の金メダル獲得の瞬間を観られたのは幸運でしたね。

 僅か4日間の滞在でしたけれどすごくよかったのは、エッフェル塔の前に「チャンピオンズ・パーク」が設置され、そこで一般の観客も一緒になって祝福するメダリストのためのセレモニーが開かれたんです。開催地のランウェイを歩いて、現地の人たちに祝福されるのは、どんなに選手たちの思い出に残るのだろうか……できればこれを本当は東京五輪でもやりたかったですけど、とにかく素晴らしいことだと感じました。

男子体操団体金メダルのリーダーシップ

――小説『俺たちの箱根駅伝』の中でも、とあるセレモニーが印象的に描かれています。

山本 まさにあの場面は泣きましたよ! 作中で大学生ランナーを指導している甲斐監督は、モチベーションを上げるための仕掛けづくりに非常に長けていますよね。選手たちが暗い体育館の中を、「いったい何が起こるんだろう?」と進んでいった先に、あれほどの高揚感に満ちた空間を演出できるリーダーシップというものは、流石だと唸らされました。

 この本を読みながら、今回のオリンピックといちばん重なったのは、実は金メダルを獲った男子体操の団体戦なんです。5人の選手で戦う団体戦で、日本は橋本(大輝)君がエースでしたが、あそこでリーダーシップを持って全員を鼓舞していたのが、キャプテンの萱君でした。自分の競技をやるだけではなく、他の皆にも声を掛けながら、「勝つためのムード」を作り出すところを、箱根駅伝を目指す青葉隼斗君の気遣いに重ねました。

 僕の中では、男子体操の強化本部長の水鳥寿思代表監督と甲斐監督も被っていて、まさに究極の真剣勝負の現場では、ああいうリーダーシップが求められるんでしょうね。そのすごさというのは、おそらく甲斐監督が商社で世界を相手にしたビジネス経験を持っているという設定の説得性もあって、池井戸さんはきっちりそういうところも理解されて書かれている感じがしました。

誰もが感動する箱根駅伝とは

――山本社長ご自身も、毎年、箱根駅伝に行かれているそうですね。

山本 箱根駅伝というのは、僕らが日ごろからお付き合いをしているミズノ、アシックス、デサント、ナイキ、アディダス、プーマ……いろんなスポーツメーカーと、まず年明けにお目にかかる機会でもあります。スタート地点となっている、大手町の読売新聞本社前に朝の6時半~7時くらいに出かけて、一通りスポーツメーカーの方と年始の挨拶をするのが恒例行事となっています。

 それこそ、毎年あの場に集まっているメーカーの販売促進を担当する皆さんは、自分たちのシューズ開発の成果や、自分たちのウェアを通じたブランディングを、ものすごく気にされていると思いますよ。予選会から何チームが出場して、最終的に箱根駅伝に出るチームのうち、どれだけ自社がサポートしている大学になるのか……そこは本当に悲喜こもごもです。

 やはり小説の中で、甲斐監督が「これは君たちだけの箱根駅伝ではなく、俺たちの箱根駅伝だ」と、学生たちに言った場面もすごく印象的で、箱根駅伝は当然アスリート、実際に走る大学生たちが主人公ですけど、それに携わるメディアや協会、スポーツメーカーや大学各部といった、本当にさまざまな人々がいて、この情熱的な感動が得られるものだと、改めて痛感させられますよね。

山本雅一(やまもと・まさかず)

1964年生まれ。駒澤大学卒業後、広告代理店に勤務。96年にスポーツビズを設立。アスリート・指導者・文化人の競技からライフプランまでをマネジメントしている。

https://www.sports-biz.co.jp/

〈 アスリートのマネジメントの未来はどうあるべきか…経営者も指導者も学ぶべきことがある 〉へ続く

(山本 雅一/文藝出版局)

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