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なぜか“妻公認”で働く男性も…「女性用風俗」で働く男性セラピストたちの「世にもハードなお仕事事情」

文春オンライン / 2024年9月8日 11時0分

なぜか“妻公認”で働く男性も…「女性用風俗」で働く男性セラピストたちの「世にもハードなお仕事事情」

漫画家の水谷緑さん。女性用風俗の取材を通じてわかった、そこで働くことの大変さとは? ©平松市聖/文藝春秋

 年々、店舗数が増加しつつある「女性用風俗」。市民権を得るなか、女性用風俗で働くことに興味を持つ男性もいるだろう。しかし、安易に女性用風俗のセラピストになろうとすると、思いもよらぬトラブルにぶつかることも…。女性用風俗で働く男性たちの生態や、お客とのトラブル事情を漫画 『僕は春をひさぐ~女風セラピストの日常~』 作者として、数々の関係者を取材してきた水谷緑さんに聞いた。(全2回の1回目/ 後編を読む )

◆◆◆

女性用風俗で働く男たちの生態

――セラピストの男性達は、どんなきっかけで女性用風俗で働き始めるのでしょうか。

水谷緑(以下、水谷) 今はアルバイト感覚で気軽にスタートする人も増えているようです。大学生が「先輩に勧められたから」と軽い気持ちで応募したり、「ネタになると思ったから」という人もいます。女性用風俗の店舗は年々増加しており、セラピストの需要は多いのでカジュアルなノリで志望する人が増えています。

 女性が風俗で働くことに対して、言葉は悪いですが世間一般的に“風俗に堕ちる”というイメージがあるかもしれません。でも男性セラピスト達はそういう感覚がほとんどないようです。多くのセラピストは昼間は会社員など別の仕事をしているのですが、本業の同僚にバレたとしても、引かれることもありますが、興味深々で質問や相談をされることもあるそうです。

――男女で周囲の捉え方の差が大きいのですね。しかし、なかには問題視されるケースもあるのでしょうか。

水谷 副業禁止の規定のある企業では問題になると思います。ある男性は、女性用風俗店のホームページに掲載されていたプロフィール写真から会社にバレそうになったそうですが、顔の部分がボカしてあったので、「これは僕じゃありません!」と上司に言い張ってごまかし通したそう。すぐに写真を消すと怪しまれるので、「敢えて少しの間残しておいた」と言っていました。

 実は結構多いのが、身内に告げ口されるパターン。セラピスト達はSNSで営業活動をするのですが、それを兄弟などに見つかって勤め先や奥さんに密告されたという話をよく耳にします。何だか家族の闇を感じますね。

 別のセラピストは、奥さんに内緒で働いていたところ、街で客と歩いているのを奥さんの身内に見られて、不倫を疑われたことからバレたそうです。

既婚男性が“妻公認”で働く事情

――家族や恋人にバレたら修羅場になりそうですね。

水谷 婚約者に知られて、婚約破棄になったという人もいました。また別のケースでは、彼女に気づかれて揉めていたところ、彼女がセラピストの実家に電話をして「お宅の息子は女性用のデリヘルで働いている」と暴露したそうです。家族それぞれ反応が違っていて、お兄さんは好奇心が抑えられない様子、お母さんは泣いていて、お父さんは本当にピュアに「デリヘルって何だ?」と聞いてきたそうです(笑)。

――奥さんや彼女公認で働いているセラピストもいるのですか?

水谷 そういう人もいます。30代で3人の子持ちのセラピストは、性欲が強過ぎて毎日奥さんとしても飽き足らず、副業として女風を始めました。奥さんは、「浮気されるよりは、お金を稼いできてくれたほうがいい」と言っているそうです。

――店側は、どうやって採用活動をしているのでしょうか。

水谷 ホームページで募集していることが多いですが、女性の経営者の中にはマッチングアプリでスカウト活動をしている人もいます。実際に会うと女性に気遣いができるかどうかすぐ分かるので、向いていると思ったら「お店で働いてみない?」と声をかけるそうです。

 ただ、採用されたとしても生き残れるのは30人中1人くらい、1年続けられたら長いほうです。

――なぜ続けられる人が少ないのですか?

水谷 人気商売なので、1ヶ月間1件も予約が入らなくてショックを受けて辞める人もいます。営業活動として、SNSで「写真日記」を毎日更新しなければならないのですが、自分の魅力を言語化するのが大変なんです。それが苦手な人はツイキャスでライブ配信をして、喋っているところやカラオケしているところを見てもらい、声がかっこいいのをアピールしたりしています。

 また、新宿にある色々な店のセラピストに直接会えるバーでは、日替わりで色々な店のセラピストが接客をするので、客が直接会ってお気に入りの男性を選ぶことができます。トークの得意なセラピストは、そこで人気が出て売れるようになったと言っていました。

「女風セラピスト」と「看護師」の意外な共通点

――様々な年齢の客が来ると思うのですが、自分よりかなり年上の女性に性的なサービスをすることに抵抗を感じることはあるのでしょうか?

水谷 ほとんどの店は研修期間にそういう話をするので、「自分の母親より年上の女性はちょっと……」と感じる男性は、その時点で辞めます。セラピストは受容できる年齢の幅が広いんだと思いますね。「崩れた体型がたまらない」と、熟女好きになるセラピストは多いと聞いたことがあります。

――客が付くようになってからも、大変なことは多いのでしょうか。

水谷 客とX(エックス)のDM(ダイレクトメッセージ)でやり取りをするのですが、連絡の頻度が多い客がいるので「返信が大変」だといいます。30往復してやっと予約が1回取れるくらい。手間ばかり掛かって「俺何やってんだろう」と疲弊して辞める人もいました。デートコースの場合は、プランを考えてレストランやカフェの下調べをしないといけないので、性的なサービスのコースより労力がかかるそうです。

――性的なサービスで、大変なことはあるのでしょうか?

水谷 興奮している女性を見ることで、自分までムラムラしてしまわないよう、理性を保つのが大変だと思います。

 以前、女性用風俗で働いている女性のセラピストに話を聞いたことがあるのですが、「自分に男性器がなくてよかった、あったら大変なことになっていたかも」と言っていました。女性同士でも、相手の性的な昂りのエネルギーに影響されるそうなので、男性にはさらに強い自制心が求められるのだと思います。

客が突然セラピストの「名前のタトゥー」を彫ってきた

――女性を感じさせるために、セラピストはどんなことに気をつけているのでしょうか?

水谷 最初は、女性をいかに安心させられるか苦心するそうです。その点では、私が別作品で描いていた精神科の看護師さんと同じだなと感じました。心を開いてもらおうと悩みを聞いたり、一緒に落ち込んでしまったりと、セラピストと看護師さんの悩みは実はすごく似ているんです。

 緊張を解くためには笑いを取ることが大切なので、小道具を仕込んでいるセラピストが多いです。面白い形の文房具や、セラピストの写真入りのクリアファイル、人気キャラクターの絵柄のコンドームなどを用意しておいたりして、クスッと笑ってもらえたら一気に気持ちがほぐれます。

――身体に触れる前から工夫しているんですね。

水谷 ただ、セラピストがあの手この手で気分をほぐそうとしても、女性側が行為中に気を遣ったり、「自分が変じゃないか」とずっと気にしていることが多いのだそうです。「いってみたい」と言って女風を利用するものの、いざとなると「いくのが怖い」と言う人が多いんです。「いけない人は勇気がない」と言うセラピストもいました。

 セラピストは快感を得るための手伝いはできますが、女性が気持ちよくなるためには自分で自分を解放することがとても大切だといいます。最後は「もういいや!」と思い切って自分を解き放つと、いけるようになるそうです。

――自分を解放するには、信頼できる相手でないと難しそうです。セラピストと客が、親密になり過ぎることは多いのでしょうか。

水谷 癒しを求めて女風を利用している女性が多いので、ぎゅっと抱きしめてもらうだけで好きになってしまうことはあると思います。中には、セラピストに依存してしまう客もいますね。私の知る範囲でも、客が突然セラピストの「名前のタトゥー」を彫ってきた話など、ゾッとするようなエピソードが沢山ありました。

〈 【女性用風俗の怖い話】「勃つまで待ってるから!」と何時間も責められた男性も…女性用風俗で働く男性が「すぐ辞めてしまう」ワケ 〉へ続く

(都田 ミツコ)

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