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“物言う株主”から創業家が脅かされ…小林製薬・猛毒会長(84)が目論む「MBOで非上場化」《紅麹サプリで死者100人》

文春オンライン / 2024年8月30日 6時0分

“物言う株主”から創業家が脅かされ…小林製薬・猛毒会長(84)が目論む「MBOで非上場化」《紅麹サプリで死者100人》

馬主でもあった一雅氏(同社提供)

 小林製薬の紅麹サプリメントで健康被害が続出している問題。因果関係が疑われる死者は100人にまで膨らんでいる。先日、創業家のトップ2人が引責辞任を発表したものの、額面通りには受け取れないようだ。

◆◆◆

文字通り『特別』な扱い

 長年、小林製薬のドンとして君臨してきたのが、7月23日付で会長を辞任し、特別顧問に就いた小林一雅氏(84)だ。「ブルーレットおくだけ」のCMで有名なあの芳香剤などを相次いでヒットさせ、1976年から2004年まで社長を務めた。その一雅氏の長男で、8月8日付で辞任するのが、小林章浩社長(53)。ただ、「ボンボンの章浩氏は一雅氏の傀儡。社長交代会見も『僕は出たくない』と漏らしている」(同社関係者)という。

「その構図は、一雅氏に支払われる特別顧問としての報酬からも窺えます。規定では通常の顧問は任期2年で報酬は月50万円ですが、一雅氏は任期3年で月200万円。文字通り『特別』な扱いなのです」(同前)

現在も小林家が大株主。一雅氏の影響力は強いまま

 章浩氏の後任には、山根聡専務(64)が昇格。「創業家以外が初めてトップに就く」とも喧伝されるが、

「そもそも現在も小林家が大株主で、会社を支配している構図に変わりはありません」(メガバンク幹部)

 7月31日時点の筆頭株主(11.87%)は章浩氏、第3位の株主(7.69%)は一雅氏が理事長の小林財団だ。章浩氏の保有株式の時価は約558億円で、小林財団は約361億円に及ぶ。また、昨年度の年間配当金は101円のため、章浩氏は1年で約9億3000万円の配当金を得た形だ。さらに役員報酬も「億だけ」で、昨年度は章浩氏が1億100万円、一雅氏は3億2300万円に上る。

「章浩氏は役員報酬の一部を返上すると発表しましたが、一雅氏は返上していません。小林製薬は無借金で社債残高もない。現預金や有価証券が約1100億円あり、財務内容も良好です。逆に言えば、融資銀行からの圧力(デットガバナンス)が働かない。今後も、大株主、とりわけ一族の中心である一雅氏の影響力は強いままなのです」(同前)

創業家を脅かす「物言う株主」

 ただ、創業家を脅かす動きも顕在化している。香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」が7月22日時点で、小林製薬株を5.20%取得したことが明らかになったのだ。

「オアシスは物言う株主として有名で、22年にはフジテックの株主総会で創業家出身の内山高一社長(当時)の再任に反対し、最終的に内山氏は退任に追い込まれました。今回の保有目的は『ポートフォリオ投資および重要提案行為』としており、今後、オアシスによる創業家へのガバナンス圧力は高まることが予想されます」(同前)

囁かれる「小林家によるMBO」

 そうした中、マーケットで囁かれているのが、小林家によるMBO(経営陣による自社買収)だ。

「創業家が株式の約3割を保有しており、オアシスと異なる外部のファンドと組んでMBOを仕掛けてくる可能性がある。MBOで非上場化すれば、株式市場からの圧力をかわせ、企業統治に影響力を行使しやすくなります」(証券会社幹部)

 小林製薬にMBOについて見解を求めたところ、

「小林一雅元代表取締役会長を含め、第三者による弊社買収の可能性について、弊社からのご回答はいたしかねます」

 売上へのダメージは避けられそうになく、損害賠償を巡る訴訟も生じる。株も役員報酬も「あったらいいな」で逃げ切りを目論む“猛毒会長”だが、まだまだ事態は収束しそうにない。

(森岡 英樹/週刊文春 2024年8月15日・22日号)

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