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「コバタカは裏金議員の救世主みたいに…」自民党の“伝統芸”も完備した“コバホーク”こと小林鷹之(49)は誰を背負っているのか

文春オンライン / 2024年8月27日 6時10分

「コバタカは裏金議員の救世主みたいに…」自民党の“伝統芸”も完備した“コバホーク”こと小林鷹之(49)は誰を背負っているのか

自民党総裁選のポスター ©時事通信

 さぁ、自民党総裁選の季節がやって参りました! 総裁選大好き芸人の私が今回の見どころを紹介していきたい。

 まず説明しましょう。総裁選とは「興行」なのである。自民党のPRイベントと考えればよい。候補者たちはテレビ局などをまわり、不人気な前任者とそれまでの党の失態を忘れさせる宣伝をする。

 新総裁が誕生したら早めに解散総選挙をすることもある。その場合、自民党は今度はテレビ局に「公平中立な報道を」とけん制しまくる。お約束のこの振る舞いは今回も見どころの一つ。

 お約束といえばこの時期は候補者や政策が出そろう前に「次の首相にふさわしい人」という世論調査の結果を新聞が発表する。謎の人気投票をして興行を盛り上げる。新聞は社説では政策論争をと書くが、政治部記者は権力闘争が嬉しくてたまらない。

大きな興行をするときは大きな嘘が必要なのである

 さて総裁選は「興行」と述べたが、大事なのは売り文句だ。どれだけデカいことを言えるかに尽きる。東京五輪を思い出してほしい。招致委員会は国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルで次のようにプレゼンしていた。

「五輪が開催される東京の夏は温暖で、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候です」

 海外メディアからは「うそつき」とツッコまれていたが、大きな興行をするときは大きな嘘が必要なのである。事実、東京五輪は招致に成功できたから大きな嘘、いや、夢のような言葉は有効なのだ。

 では今回の自民党総裁選での夢のような言葉とは何か? 自民党の発信や報道をみると「脱派閥」であり「刷新感」だろう。次の記事を見てほしい。

『自民総裁選、小林氏が出馬表明 「脱派閥徹底、支援求めず」』(時事通信8月20日)

 49歳の若手、コバホークこと小林鷹之氏が出馬宣言。2012年の衆院選で初当選し、2021年に経済安保相として初入閣を果たしている。千葉2区が地盤で、現在当選4回。二階派に所属してきた。

「開成中・高から東大法学部を経て、旧大蔵省に入省。ハーバード大ケネディ行政大学院にも留学し、公共政策学修士を取得した。イケメンで高身長、『欠点がないのが欠点』とも言われます」(政治部記者)※ 文春オンライン8月20日配信記事 より

 小林氏への待望論は早い時期から出ていた。「総裁選 コバホーク雄飛なるか」(産経新聞7月23日)では中堅・若手を中心に支持を集め、自民の人材の豊富さをアピールする狙いがあると書かれていた。「脱派閥」「刷新感」という今回の興行を象徴する人物だ。

 コバホークは「自民党は生まれ変われることを証明したい」と言い、趣味のランニング姿まで公開。マスコミもいちいち付き合ってくれている。

裏金議員に“コバホーク”が気を使うワケ

 ところが......。夢のような風景には裏があった。小林鷹之氏の言葉が波紋を呼んでいるのだ。8月9日のネット番組で政治資金規正法違反で処分された安倍派議員が要職などから外れている現状を「見直す必要がある」と発言。

 さらに11日のテレビ番組でも、安倍派の役職外しは「やりすぎてしまうと現場が回らなくなってしまう」と述べていたのだ。

 これには、

《「改革に逆行している」との批判も広がった。》(読売新聞8月15日)

 あれあれ......。なぜ裏金議員に気を使うのだろう? 実は小林氏の出馬会見に同席した少なくとも議員24人のうち11人が裏金事件直撃の安倍派だった。二階派が4人。24人のうち7人が裏金作りに関与し、うち4人が党から処分されていた。

「支持者たちは裏金議員ばっかり。コバタカは裏金議員の救世主みたいになっている」(自民党内の声・朝日新聞8月20日)

 裏金事件に踏み込めないコバタカ。裏金議員の救世主だなんて、なんか思ってたのと違う。

 さらには旧統一教会との関係も明らかになってしまった。

《小林氏は2021年7月、選挙区の千葉県八千代市で開かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体が共催したイベントに出席。このイベントに参加した男性によると、小林氏はあいさつの中で旧統一教会の教義に共感を示す発言をしていた。》(東京新聞8月19日)

 小林氏はこの点について「記憶は一切ありません」と否定している。では会見を取材したジャーナリストの鈴木エイト氏に聞いてみよう。旧統一教会問題といえばこの方だ。

 エイト氏は「私を排除することなく質問に答えたこと自体は評価できます」と述べたうえで、

「ただし、質疑応答で地元の有力な支援者の中に複数の統一教会地区幹部がいることへの認識を尋ねた際の回答がプライバシーや個人の思想信条の問題にすり替える内容だったのは残念でした。小林議員に個々の後援者の信仰を確認したのかなどと訊いたわけではなく、統一教会サイドによる意図的なアプローチへの認識を問うたものです。政治家として反社会的な団体からのアプローチにどう対応しているのかという論点をうまく躱(かわ)されたという印象です」

「記憶にありません」の“伝統芸” コバタカは若いのに古い味もする

 小林氏が総理総裁となった時に旧統一教会に対して厳しい対応を取れるのだろうか?

「危惧するところですが、岸田首相の方針を堅持して統一教会に厳しい対応を取るという言質が取れたことは収穫でした。統一教会が表立って小林議員を総裁選で応援することはやりにくくなったと思います」

 トップを目指すならエイト氏のような専門家にもきちんと説明しなければいけない。それにしても「記憶にありません」という昭和自民党からの伝統芸。コバタカは若いのに古い味わいもする。

 では総裁選出馬が有力視される他の議員はどうか。河野太郎氏について興味深かったのがこちらの記事だ。

『「改革訴えるなら麻生派出ないと」平氏、河野氏出馬意向で』(読売新聞8月21日)

 自民党の平将明衆院議員が河野デジタル大臣に対し、「党改革を訴えるなら、麻生派をまず出ないと話にならない」と指摘した(平氏は前回の総裁選で河野氏の推薦人だった)。

裏金問題はチャラになるとワクワクしている議員とは?

 河野氏はこれまでの世論調査では改革イメージで人気があったようだが、脱派閥をうたっている今回の総裁選で「悲願の派閥支援」に張り切るのは最も「改革」からズレていないか。見事に間が悪い。

 相変わらずの派閥重視は自民党全体も同じだ。派閥には志を共にする人々で政策を磨き合う「正」の面もあろう。それを続けたいなら派閥の「負」の面、裏金問題や旧統一教会問題の説明と究明をしないといけない。でなければ刷新感と言っても意味がない。

 そもそも「刷新」とは言わず「刷新感」と言っていることにも注目したい。やってる感と同じだ。

 では無派閥の小泉進次郎氏はどうか。彼を支援する菅義偉氏は「無派閥という名の派閥」を形成していることでもおなじみ。菅氏の子分には旧統一教会問題や政治とカネで注目された人がぞろぞろいる。

 おまけに進次郎氏には森喜朗氏の支援も報道されている。まるで長老たちの生存争いだ。これで「刷新感」は出るのか?

 もっと夢を見させてくれよ総裁選! 心配だらけです。気分転換に今回の興行の鑑賞ポイントをあらためて言おう。

 総裁選は現段階で10人前後の名前が浮上する。この10人の裏には、80人近くの裏金議員が息を潜めて総裁選に期待しているのだ。顔が替われば裏金問題はチャラになるとワクワクしている。この様子を見ておくことが最大のポイント。そうですよね、萩生田さん。

(プチ鹿島)

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