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たった4年で4万9980円→7万9880円に…!? PS5の“衝撃的な価格改定”が起きた“納得の理由”〈9月2日から販売価格が変更に〉

文春オンライン / 2024年9月1日 17時0分

たった4年で4万9980円→7万9880円に…!? PS5の“衝撃的な価格改定”が起きた“納得の理由”〈9月2日から販売価格が変更に〉

SONY公式サイトより

 ソニーの家庭用ゲーム機「PS5」の価格が9月2日から8万円弱に値上げされると発表がありました。ゲームファンの間には衝撃が走り、SNSでも関連ワードは軒並みトレンド入り。批判一色といった様相を呈しています。ソニーはなぜ今回値上げに踏み切ったのでしょうか。歴史を振り返りながら検証していきます。

◆◆◆

価格の変遷

 PS5は2020年11月に通常版(4万9980円、税抜き)と、ディスクトレイなしのデジタル版(3万9980円、同)の2種類を発売。その後、2022年、2023年に値上げを行ったのですが、今回は過去2回の倍以上となる1万3000円もの大幅値上げ。通常版はほぼ8万円(正確には7万9980円)、デジタル版ですら7万円(7万2980円)です。あわせて周辺機器も値上がりし、コントローラーは1つで1万円を超える価格(1万1480円)になりました。

 発売当初はPS5本体に対し、「性能に比べて安い!」と絶賛の声があがりましたが、その頃と比べて通常版が約2万5000円、デジタル版が約2万9000円も値上がりしたのです。

 そもそも、従来の家庭用ゲーム機は、年数が経過すると値が下がるのが“常識”でした。実際にPS4の場合は、本体のリニューアルを重ねていきながら、発売から1年11ヵ月、さらにそれから約11ヵ月後のタイミングで、それぞれ5000円の値下げを行ってきました。それだけに今回の値上げに批判が起こるのも仕方ありません。発表後にはネットショップの在庫が即完売。このタイミングで購入を検討していた人たちからすると、ソニーに怒りの矛先を向けたくもなるでしょう。

ソニーの“言い分”

 しかし、ソニーにも言い分はあるでしょう。

  プレスリリース に「昨今の世界的な経済情勢の変動などの厳しい外部環境を受け……」とある通り、物価高と円安が重なり、今回の決断に至ったことは想像に易いです。

 通常版PS5は米国では発売以来、約500ドル(499.99ドル)で販売され続けています。そんな中、2020年には1ドル100円台で推移していたレートが、今年6月には1ドル160円になるなど、大幅な円安となりました。2020年であれば米国で500ドル、日本では5万円で売れる商品でしたが、1ドル150円まで円安が進行してしまうと……。

 そもそも、昨年の新モデル発売の時点で、レートは1ドル150円でしたから、その時に2万5000円の値上げをする選択もあったのです。良く言えば、1年の猶予をくれたとも捉えられるでしょう。逆に、意地悪に言えば、日本市場はソニーにとって世界シェアの1割しかないため、市場が停滞しても、経営的な悪影響は軽微だと判断したのかもしれません。今回の日本の値上げは、ソニーにも日本市場のためにレート以上に価格を下げる配慮、余裕がなくなったーーとも読めます。

ゲーミングPCが台頭するのか?

 今回のPS5の値上げを受けて、ゲームに特化した「ゲーミングPC」が取って代わるという見方も出ていますが、そこは意見が割れるでしょう。PS5と同性能のPCを買おうとすると8万円では到底難しいのが大きな理由です。PCを利用すれば、マイクロソフトのサービス(Xboxゲームパス)を使え、データ改造(自己責任)などもできますが、PS5同様の快適性を求めるとすれば、それは金銭的に余裕のある人のみに許された選択になるでしょう。

ソニーの意外な“方向転換”

 救いがあるとすれば、ソニーのゲーム戦略が、PS5に依存しないマルチプラットフォームにシフトしていることです。

 今年、ソニーが初めてPS5とPC向けに同時発売した『ヘルダイバー2』が1200万本の大ヒット。今年の年末商戦には、PS5とPC、ニンテンドースイッチ向けに『レゴ ホライゾン アドベンチャー』を発売する予定です。同作はソニーが開発する人気タイトル「ホライゾン」シリーズの新作。これまでのソニーであればPS5のみで販売していたでしょうが、そんな貴重な作品を任天堂のゲーム機にも出す……という判断をし始めているわけです。

ゲーム機の高額化は避けられない運命……?

 そして、インフレは世界的な傾向であり、日本のゲーマーは、グラフィックの美しい高性能のゲーム機で遊ぶためには、今後は経済的な負担を強いられるだろうという現状です。今後発売されるであろう家庭用ゲーム機も、高額化は避けられず、日本のゲーマーの“受難”が鮮明になってきているといっても過言ではありません。

 発売時期も内容もいまだに伏せられている、ニンテンドースイッチの後継機種も、円安の問題が立ちはだかります。仮に日本の価格を3万円に設定して、1ドル150円というレートで試算をしてみると、米国では200ドルで販売することになってしまいます。

 逆にドルを基準にしてみましょう。300ドルなら4万5000円、400ドルなら6万円。仮に、任天堂のゲーム機が6万円と聞いて、どういうイメージを抱くでしょうか? 任天堂のターゲットは、老若男女を問わない全方位タイプですから、価格はなるべく抑えたいところ。1ドル150円という相場は、相当な悩みどころになるのです。

 現在のニンテンドースイッチの有機ELモデルは、米国での販売価格が約350ドル(349.99ドル、税抜き)。対して、日本の価格は3万7980円と、現在のレートを考えると、任天堂が日本市場にかなり配慮をしているのが分かります。この配慮を「当然」と思うのか……という話で、海外のゲーマーからすると「日本の価格に合わせて、値下げしてくれ」と不満に思うのではないでしょうか。

 いずれにせよ、日本のゲーマーには、厳しい現実が立ちはだかっている。そんなことをPS5の値上げは教えてくれているのかもしれません。

(河村 鳴紘)

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