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女性用下着バラまき犯のDNAが26歳女性を殺害した凶悪犯と一致…13年間進展がなかった「元・未解決事件」が動き出した奇妙なきっかけ《庭先に女児用のパンツが…》

文春オンライン / 2024年9月13日 17時0分

女性用下着バラまき犯のDNAが26歳女性を殺害した凶悪犯と一致…13年間進展がなかった「元・未解決事件」が動き出した奇妙なきっかけ《庭先に女児用のパンツが…》

女性が惨殺されたホテルが入っていたマルビルは大阪のランドマークだった(現在は解体工事中) ©AFLO

 世の中には、解決に至っていない犯罪が存在する。俗に言う「未解決事件」である。

 何の手がかりもないまま何年も経過したり、公訴時効を迎えて迷宮入りになったりしたケースも少なくない。しかし、ふとした出来事が、未解決だった難事件を一気に解明に向かわせることも時として起こり得る。捜査関係者の執念なのか、あるいは天の配剤か。

 意外なきっかけで真相が明らかになった“元・未解決事件”を追う。

 1994年1月16日、大阪マルビル(大阪府大阪市北区梅田)内の大阪第一ホテルで女性が惨殺された。事件の現場となった大阪マルビルは円筒形のフォルムが特徴的で、大阪を代表する繁華街のランドマークとして今日でも世間に広く知られている。

 被害女性(当時26歳)は、コンピュータ関連の人材派遣会社で事務職として働くかたわら、デートクラブ(派遣型風俗店)にも登録していた。この日は日曜日で、昼職は休みだったのだろう。夕方の午後5時20分頃、第一ホテルに宿泊する男性客のもとに派遣され、犯罪に巻き込まれてしまった。

死因は頸部圧迫による窒息死、床には大きな血だまりが…

 大阪第一ホテルのチェックアウト時間は午前11時。翌17日の午後になっても男性客がカウンターに姿を見せず、客室に内線電話を入れても応答がなかったため、不審に思ったホテル従業員がマスターカードで客室のドアを開けた。しかしそこに男性客の姿はなく、変わり果てた女性の遺体が残され、床には血だまりができていたのだ。

 警察の司法解剖の結果、死亡推定時刻は16日の午後6時頃。女性が入室してから、わずか40分で惨劇が繰り広げられたことになる。

 被害女性は顔や頭部を十数回殴打されたあとに首を絞められており、死因は頸部圧迫による窒息死だった。犯人は被害女性を執拗に殴りつけたと見られ、床には大きな血だまりができていた。その凄惨さから、犯人の狂気がうかがえ、怨恨による犯行の可能性も疑われた。

 容疑者の男の姿は、大阪第一ホテルの1階フロントなどに設置されていた防犯ビデオに残されていた。男は16日の午後2時10分頃にひとりでチェックインし、犯行後にホテルを後にする際には、チェックイン時に着用していなかったコートを羽織っていた。

 このコートは返り血を隠すためであろう。また、客室の備品が犯行に使用された形跡はなく、紛失したものもないことから、男はあらかじめ凶器を用意していたとも推測された。

 しかし捜査を開始した警察官を驚かせたのは、室内から指紋が全く検出されなかったことだ。

 犯行があった1994年当時、携帯電話の国内普及率は3.5%で、男はデートクラブへの電話もホテル備え付けの客室電話からかけている。しかし受話器やドアノブなど、指紋や掌紋が付着しているはずの場所を調べても、ついに1つも指紋を採取することができなかった。

 大阪第一ホテルの宿泊カードには市内に実在する他人の名前と住所が書かれており、捜査は行き詰った。

初対面のデート嬢を無差別に殺害し、財布入りのバッグを奪って逃走

 これらの事象から鑑みるに、犯人の男はかなり用意周到な性格であると推測できる。繁華街のど真ん中で凶行に及んだこと、被害女性に執拗な殴打を加えていることなどからは突発的な犯行にも見えるが、あらゆる証拠が事前に準備された「計画的犯行」であることを示唆していた。

 派遣された初対面のデート嬢を無差別に殺害したうえで、財布入りのバッグを奪い、人目につかず逃走……。これは計画的な強盗殺人事件なのだ。

 警察は容疑者の姿を印刷したチラシを配布し、広く手がかりを求めたが、有力な目撃情報は得られなかった。

 また、犯行現場には男の体液が残されておりDNA鑑定が行われたが、こちらも有力な手がかりにはならなかった。そもそもDNA型鑑定は、前科があったり過去に逮捕された人などから採取したDNAのデータベースと照合して一致する者を割り出すしくみであり、前科がない人間を見つけることはできない。加えて、まだ日本ではDNA鑑定が導入されたばかりでデータベースが十分ではなかった。

 ビデオ映像とDNA。一見すると決定的な証拠が揃っているように見えた事件だが、それが容疑者の特定に結びつくことはなく、なんと13年もの月日が流れてしまった。やがて事件は風化し、公訴時効の成立(当時は15年)が迫る。誰もが「完全犯罪」と思った強盗殺人事件。

 だが、この“未解決事件”は、思わぬ角度で再び動き出すことになる。きっかけは、女性の下着だった。 

 2006年の秋ごろから2007年にかけて、大阪府茨木市周辺では民家の敷地内に女性用の下着がバラまかれる珍事件が頻発していた。ある家では、自家用車のアンテナにパンストが被せられており、ある家ではパンストのつま先とパンティを結んだものが植木に引っ掛けられていた。

下着バラまき犯のDNAが殺人容疑者とまさかの一致

 他にも自転車のハンドルにパンストが巻き付けられていたり、庭先に女児用のパンツが投げ捨てられていたり、ポルノ雑誌のヘアヌード写真が敷き詰められていたり……。警察には近隣住民から苦情が寄せられ、その数は何と100件以上。警察はこの“変態事件”の捜査のために深夜のパトロールを強化した。

 警察は「変質者には前歴があるケースが多い」という経験則にもとづき、下着バラまき犯を特定するために、庭先に捨てられていた下着に付着していた垢を採取。

 そして鑑識のDNA型鑑定に回したところ、なんと13年前に大阪第一ホテルで女性を殺害した容疑者が室内に残していた体液のDNAと一致したのである。

 女性用の下着をバラまく事件は、突如として未解決の凶悪殺人事件の捜査に変貌した。

 13年間も手がかりがなく、時効目前の完全犯罪と見られていた事件の容疑者が急浮上したことで、捜査関係者は一気に色めき立った。

〈 女性用水着を着用し下半身はパンスト…13年前の殺人から逃げ切り寸前だった男(48)が我慢できなかった変態行為の大きすぎる代償「近所の人が嫌がると思うと…」 〉へ続く

(加山 竜司)

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