「フライデー」に載った1枚の写真を見てお父さんがカンカンに…小島可奈子(48)が語る、初めての水着グラビア撮影の“裏側”
文春オンライン / 2024年9月15日 11時0分
小島可奈子さん 筆者撮影
1996年にグラビアデビューすると人気を博し、その後バラエティー番組やドラマでも活躍した小島可奈子さん(48)。結婚後は地元である福岡に住まいを移し、美容ドリンクのメーカーを経営している。グラビア時代の葛藤から、ADHD(注意欠如・多動症)の娘への思い、16年ぶりとなる写真集「凪-NAGI-」で一糸まとわぬ姿を披露した理由まで明かしてくれた。(全3回の1回目/ 続きを読む )
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苦労人の母を幸せにしたくてグラビアの世界へ
ーー小島さんが福岡に戻られてどのくらいになりますか。
小島可奈子さん(以下、小島) 戻ってもう11年ぐらいです。食べ物が安いですし、住みやすいですよね。ただ、福岡はみんな知り合いみたいなところがあって、私はコミュニティが広い方が好きなので、仕事で違う場所に行くのも楽しいです。
ーーもともと福岡出身ですが、どのように芸能界に入ったんですか。
小島 学生時代、毎日学校に通うことが苦痛だったんですよ。ルーティーンで同じことをすることが苦手でOLさんはできないタイプだなと思ってました。
高校を卒業してからは、宝くじ「幸運の女神」をやっていたり、福岡ドームの中を案内するドームツアーのコンパニオンとかをいろいろしていました。ある時、天神の地下街を歩いていると、たまたま帰省していた福岡出身のスカウトマンに「東京でグラビアしませんか?」と声をかけられました。19歳の時です。
ーー福岡で東京の事務所にスカウトされるとなると、怪しくはありませんでしたか。
小島 正直、怪しかったです(笑)。周りからも「何それ?」って言われて。当時は雛形あきこさん、山田まりやさんはいましたが、一般的にはグラビアアイドルって何? という時代だったので。特に父親には猛反対されました。
父は弱さからか、お金が入るとギャンブルで全部使っちゃうような人でした。児童養護施設で育った母はとても気丈で、眉間にしわを寄せながらも弱音ひとつ吐かず何とかしてしまう人で苦労が多く、私はそんな母を幸せにしたいとばかり考えていました。
どうしたら母を幸せにできるかは分からないけれど、とりあえずお金を稼ごう。でも、普通の仕事ではお金にならないと若いながらに考えていて。グラビアのお誘いがあった時には「芸能の仕事に行ったら、ちゃんと自分で稼げるようになるかもしれない」という気持ちはありました。なのでその時までに貯めたお金を握り締めて、段ボール2個で上京しました。
「フライデー」の写真で「お父さんがカンカン」に
ーーただ、上京してからいきなり不運があったそうですね。
小島 もともと「新しい事務所を作るから、そこに入って」と言われてスカウトされたんですけど、その事務所ができなかったんですよ。ただファースト写真集は決まっていたので、窓口となってくれるマネージャーさんがいて、仕事だけはあったんです。
当時はグラビアというジャンルが出来上がる黎明期で、一つの雑誌で水着になったら、別の雑誌のグラビアから声がかかるといった感じで、自分でもよく分からないうちに数珠つなぎでお仕事が来てました。
ーーその後、事務所所属はいつですか。
小島 原宿を歩いてるところを別の芸能事務所にスカウトしていただいて、それでやっとちゃんとした事務所に所属しました。
ーーグラビアで水着になることについてはどう考えていましたか。
小島 プライベートでも水着を着たことがなかったから、初めて水着になった時にはものすごく悪いことをしている気持ちになりました。お天道様の下をもう歩けないなというぐらいで。まだ無垢だったんで「もうお嫁に行けない」とも思って。
「フライデー」に水着の写真が1枚載って、父に怒られたこともありました。中野の商店街を一人トボトボと歩いていた時、母から電話がかかってきて「お父さんがカンカンに怒っている。私と離婚すると言っている」と言われて。それを聞いて、その時寂しさがピークに達していたので、商店街でPHSを右手に持ったまましゃがみこんでワンワン大きい声で泣いたのを覚えています。
実際の自分とグラドルの自分のギャップに悩む日々
ーー抵抗感を感じていたグラビアですが、その後も続け、小島さんは人気グラビアアイドルとして活躍されます。
小島 今振り返ると、常に表現の仕事をしながら戦う、普通じゃないことを面白いと感じてしまう自分と、守ってくれる男性についていくかわいい奥さんになりたい自分という、2つの自分が心の中にいました。それはグラドル時代からずっとあった心の葛藤だったんですけど、当時はそれに気づかず、ただただ苦しかったです。
もともと自己肯定感が低かったんだと思います。だから、人様に見ていただく仕事をしてない自分には価値がないと思っていた。目立つ仕事をすれば、愛されるし、自分を愛せるとか思っていたけれど、実際やってみても当然ですが、そんなことで自己肯定感は上がらないので。例えばサイン会にファンの方がたくさん来ていただくとその時はもちろん嬉しいんですけど、家に帰るとポツンと一人になる。そのギャップが寂しくて。
私はグラドルって偶像を作る仕事だと考えていました。男性が「こんな女性がいたらいいな」「こんな彼女が欲しいな」という偶像になるのが自分の仕事だと思っていて。なので当時の私は、実際の自分とグラドルの自分を全く切り離していました。芸能の世界には素の自分ではいなかったので、芸能人でお友達って呼べる方はいなかったです。
「たけしさんの番組」にレギュラー出演
ーーグラビア自体は楽しかったですか。
小島 海外にいっぱい行けたので楽しかったですね。あと、グラビアは少人数で和気藹々としながら、作品を作っていく感じで好きでした。出版社の方も大体みなさん美味しいものを知ってらっしゃるから、美味しいものをご馳走になったり。そういうのはすごい楽しかったですね。なので、生まれ変わってもグラビアアイドルをしたいです(笑)。
ーーグラビアからスタートした後はテレビのバラエティー番組、さらにドラマと活躍の場を広げていきますね。デビュー翌年にはビートたけしさんの番組「足立区のたけし、世界の北野」にレギュラー出演されます。
小島 あれはオーディションで決まりました。ちゃんとしたレギュラー番組は初めてで、それがたけしさんの番組でありがたいですよね。たけしさんの姿が見えなくても、現場の空気がピリッとすることで「あっ、今たけしさんがいらっしゃるんだ」とわかったことを覚えています。たけしさんって現場に行くと「姉ちゃん!」って私のことを言ってくださるんで、それが嬉しかったですね。
「自分の色」や個性が見出せなくて苦しかった
ーーデビューから3年後の1999年には深夜ドラマ「ABC...XYZ」で初主演。さらに2000年にはドラマ30「三つのお願い」でも主演と演技の仕事も増えていきます。
小島 実力もないのに、本当に運だけで決まってしまって。それが良くなかったのかなって今振り返ると思います。頑張って仕事を掴んだのでなく、何だか分からないうちにたけしさんとの仕事が決まって、ドラマが決まってと、全てにおいてそんな感じだったんです。
でも、実力もないのに、運だけでいいお仕事をいただいても、続かないですよね。へたくそだから。途中から演技のワークショップを受けたりはしていましたけど、もったいなかったなって思います。きちんと目標があって頑張っている女優さんはやっぱり息の長い頑張り方をされてるじゃないですか。
ーー当時、小島さんは伊集院光さんとの雑誌で対談されてるんですが、その際伊集院さんは浅草キッドから「番組するならあの子が良いよ」と小島さんを薦められたと話しています。ご自身が思っている以上に周囲の評価は高かったんじゃないでしょうか。
小島 えーっ、そうなんですか。覚えてなかったので嬉しいです。あの頃の私はただ生きていた。生きることに必死だった感じだと思います。賢いグラビアアイドルの方もいらっしゃるじゃないですか。小池栄子さんやMEGUMIさんはきちんと目標を持っていたし、自分の色がある。
逆に私は色も何にも出せてないし、個性も出せてない。自分をどうやって出せばいいのだろうと思ってました。とにかく何か分からないけど生きづらかった。「しんどい」っていつも思ってました。ただ必死にはやっていました。
〈 「当時ヌード写真集を出したばかりで…」キャラに悩んでいた小島可奈子(48)に泉谷しげるがかけた“適格すぎる言葉”「えっ、私の心をのぞきましたか?」 〉へ続く
(徳重 龍徳)
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