《ベストスコアは64》青木功が明かした「トランプ大統領に贈ったドライバー」安倍晋三“ゴルフ外交”の現場
文春オンライン / 2024年9月10日 6時0分
青木功氏 ©文藝春秋
2024年6月、ゴルフ界のレジェンド、青木功氏(82)がプロ生活60年の節目を迎えた。その生きるレジェンドが自らのゴルフ人生を、華麗なる人脈とともに振り返る、 インタビュー連載第1回 が、9月10日(火)発売の「 文藝春秋 」10月号に掲載される。
その中で青木氏が回顧したのが、今まさに米大統領選挙戦をたたかうドナルド・トランプ氏とのゴルフだ。2019年5月、トランプ氏と安倍晋三首相(当時)のラウンドに帯同し、日米首脳のゴルフ外交に一役買ったことが大きな話題となった。
「アオキはパットの名人だ」
「あの時は、外務省を通じて安倍さんから電話がかかってきた。『プレーするならどこがいいですか』と聞かれたので、『安倍首相は誰と(ゴルフを)やるのですか』と尋ねるとトランプ大統領だというんだ」
2017年に来日した時、トランプ氏は「アオキはパットの名人だ。今度は彼とやりたい」と語っていたという。
米国やアラブ首長国連邦、スコットランドなどでゴルフリゾートを経営し、自身もゴルフを愛好するトランプ氏は、米大統領史上もっとも巧みなゴルファーと言われる。真偽不明とされているもののベストスコアは自称64。2019年5月26日のプレー当日、トランプ氏はツイッター(現X)でこう呟いた。
《まさに今@AbeShinzo とゴルフをプレーする。日本人はこのゲームが大好きだ》
「カートの中で真剣に政治の話を……」
「トランプさんは、私のマネジャーの村田一治を気に入って『おいカズ、ここから何ヤードある?』『どっちから風が吹いている?』と、ことあるごとに彼に意見を求めていた。私も安倍さんに『先生、こっちで打つとあそこに落ちるから、あそこへ行った方がいいですよ』といった具合にアドバイスさせてもらったが、プレー以外の話をする余裕はなかったなあ。
あまり考え込まずにパパーンと打つと、案外思い通りに行くことがあるじゃない。あの二人もそんな感じだった。ナイスショットと声をかける間もなく、二人はボールを打つとスッとカートに戻り、真剣な表情で話し込んでいた。スコアは付けず、納得が行かなければ打ち直しをしたりして。もっとも本当の目的は二人だけで腹を割った話をすることで、誰の目も気にせず、盗聴されるおそれもないゴルフ場はうってつけの場所だったんじゃないかな。
ニュースで流れた映像を見た人は、二人が遊んでいるだけのような印象を受けたかもしれないけど、間近で見ていた私の印象は違う。カートの中で真剣に政治の話をするための、文字通りの"ゴルフ外交"だったのだと思う」
「オー、グッド!」と上機嫌
青木氏が使っているドライバーを貸すと「これはいい」と、トランプ氏はプレー中、ずっと使っていたという。
「シャフトは彼には硬すぎるものだったから、私が柔らかいものに交換してあげると飛距離が伸びて、『オー、グッド!』と上機嫌だった。『アメリカに持って帰っていいか?』と言うから、どうぞと渡すと、安倍さんも『僕も欲しいな』と言うので、虎のマークがついたテーラーメイド製のドライバーを二人に一本ずつ差し上げた。非常に喜んでくれたようなので、私も少しは外交の役に立ったのかもね(笑)」
記事 では、今年3月の日本ゴルフツアー機構(JGTO)会長退任の真相、世界殿堂入りの際の名スピーチ、田中角栄氏との「90切り」爆笑エピソードなどが10ページにわたって披露されている(「 文藝春秋 電子版 」では雑誌発売に先駆けて9月9日に先行公開)。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年10月号)
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