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「チョコかと思ったら、やっぱりアレだった」介護ヘルパーが“潔癖症の老人宅”で見つけた「ナゾの茶色い物体」の正体

文春オンライン / 2024年9月15日 6時0分

「チョコかと思ったら、やっぱりアレだった」介護ヘルパーが“潔癖症の老人宅”で見つけた「ナゾの茶色い物体」の正体

介護ヘルパーが見つけた「ナゾの茶色い物体」の正体とは…。 ©getty

〈 「利用者宅で飲食をしてはならない」ルールを破ってケーキを食べてしまった“介護ヘルパーの後悔”「これってヘルパーを守るためのルールだったんだ」 〉から続く

「やっぱりこれまでのアレはソレだったんだ」――潔癖症の老人宅に派遣された、介護ヘルパーの佐東しおさん。彼女がキレイな部屋で見つけた「ナゾの茶色い物体」の正体とは…。新刊『 介護ヘルパーごたごた日記――当年61歳、他人も身内も髪振り乱してケアします 』(三五館シンシャ)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

◆◆◆

チョコかと思ったら、やっぱりアレだった

 利用者宅は「中間」が少ない。「思いっきり汚部屋」か「ほこりひとつない部屋」のどちらか。

 ニギリ美子さんのお宅は立地はいい。近くに店も病院もある。部屋もゆったりとしている。だけど家賃5万円は高い。この地区では築年数の浅い、こぎれいなワンルームマンションの家賃が5~6万円ほど。長屋風の古びた建物の一部で、洗面所とトイレはあとから作ったように母屋から飛び出ている。洗面所は渡り廊下の一部のようで屋外との境は板1枚でおそろしく寒い。これで家賃5万円。身寄りのいない高齢者に家を貸す人は少なく、足元を見られているのかもしれない。

 部屋はぼろぼろだけど、美子さんは潔癖症ともいえるきれい好きだ。だから、掃除も手を抜けない。一生懸命、畳の拭き掃除をしていたら(濡れた雑巾で畳を拭くことには抵抗があるが、希望する人は多い)、ときどき茶色い粘度のある粒が畳の隙間にめり込んでいる。

 美子さんがチョコを食べているところは見たことがないし、これはなんだろうと思いながら、爪でかき出して片付けていた。

 美子さんのベッドに敷いてあるバスタオルにも同じような茶色いシミがあった。

 もしかしたら、うんちじゃないかと思ったが、認知症でなく、目もしっかり見えている、プライド高い美子さんにそんなことは言えない。

 美子さん宅の茶色い何かへの疑惑を深めていたある日、入浴介助の際に浴室手前でぽろぽろとチョコボールのようなものがいくつか落ちた。

 間違いなく便だ。やっぱりこれまでのアレはソレだったんだ。

 それより、美子さんが気づいてプライドを傷つける前にどうにか捨てようと思ってあわてていると、「あらあら、うんこちゃん」あっさりそう言うと、素手で拾って、窓の外へぽいと投げる。気にするでもなく、平然としている。

浴槽の湯にぷかぷかと茶色いもの

 美子さんとは別の人でも同じようなことがあった。入浴介助時、気持ちよさそうに浸かっている浴槽の湯にぷかぷかと茶色いものが浮かんだ。

 このときも、どうにかさりげなく捨てなくてはと焦っていると、本人がすぐに気づいて、「あらら」と洗面器ですくって、排水溝に流す。そのまま何もなかったように浸かっていて、そのお湯で顔をじゃばじゃば洗っている。

 この人もきれい好きで家にはほこりひとつない。

 利用者たちが若かったころ、シャワーのかけ湯もなかったし、幼い子が浴槽で粗相(そそう)してもお湯を入れ替えることなどなかっただろう。そんな意識が「うんこちゃん」を平気で受け入れさせているのかもしれない。

(佐東 しお/Webオリジナル(外部転載))

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