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チェックインしてからはサバイバルのごとく魚をかき集める…! 釣った魚を豪華なお造りにしてもらえる民宿「みたはま荘」の“ヤバすぎる魅力”

文春オンライン / 2024年9月20日 20時0分

チェックインしてからはサバイバルのごとく魚をかき集める…! 釣った魚を豪華なお造りにしてもらえる民宿「みたはま荘」の“ヤバすぎる魅力”

海側から見たみたはま荘の外観

〈 釣り人でなくとも一度は泊まりたい…! 人里離れた海岸線にポツンと佇む“プライベート釣り場併設民宿”がすごすぎた 〉から続く

 リアス式海岸の壮大な景色に溶け込むようにポツンと佇む「入り江の一軒家 みたはま荘」。

 宿の敷地内で釣りができ、釣った魚は調理までしてもらえる。さらに魚が釣れずとも提供される食事は一級品。釣り人はもちろん、釣り未経験者でも楽しめる理想の釣り宿が兵庫県にあった。ここでは、 #1 に続き、みたはま荘で過ごした2泊3日の日々を香美町香住区の魅力とともにレポートしていく。

◆◆◆

すごすぎる地質遺産

 豪華な朝食をいただいたあとは、いったん宿を出て香美町香住区の観光スポットを巡ることにした。

 海岸線がジオパーク(注:ユネスコが支援する世界的な自然公園制度)に指定されているだけに、香美町には特徴的な地質が絡む景観やマリンアクティビティが数多くある。中でもひときわ目に留まったのが、かえる島。名前の通り蛙に似た島(岩)だ。

 正直なところ事前に写真を見るだけで「確かに」と完結しそうだったが、どうやら「なくしたものが返る」「若返る」などの縁起の良いパワースポットでもあるようで、ひとまず訪れてみることにした。愛嬌のある蛙型の岩も旅の思い出にしよう。

 宿から15分ほど車を走らせた今子浦海水浴場から見えるという。小さな海水浴場に到着すると、駐車場からそれらしき岩が見えた。さらに浜を超え、岩肌をよじ登ると……はっきりと蛙がいた。

 せっかくなので、長距離ドライブの末やってきた今回の旅も無事に帰れるよう祈願した。それにしても、よくぞここまで見事に蛙型になったものだ。元を辿れば大陸の一部だった日本列島は、地殻変動により長い年月をかけて今の国土を形成している。

 今、私が拝観するかえる島も日本列島と同じく、数千万年の時を経て誕生した地質遺産なのだ。「あーめっちゃ蛙」と思うのは簡単だが、この形になった背景にまで考えを巡らせると、奇跡的に誕生した観光スポットに趣を感じざるを得ない。来てよかった。

ミッション:夕食のおかずを追加せよ!

 すでに昨晩釣ったアジが夕食の一品に追加される予定である。しかし、昨晩の釣行では、カサゴやキジハタの釣果が振るわなかった。そこで、2日目の釣行はオーナーさんのボートで沖釣りに向かった。

 常にボートを出してくれるわけではないのだが、私が訪れたタイミングが夏休み前の平日ということもあり、宿泊者さんが少なく、そうした限定的な状況のみで発動できる魔法カードのようなものを使用できたのだ。オーナーさんは「30cmのカサゴまでいるよ!」と気分を煽る。人はそれをフラグというのだが、はたして……。

 沖に浮かぶ小島の周りに船を着けると水深は10~20mまで落差があり、地形の複雑さが魚群探知機を通して可視化される。釣りにおいて、こういった地形変化に富んだポイントは根魚が多いとされ、カサゴ、キジハタを狙うには最適だ。事前に仕込んでおいた熟成スルメイカの短冊をエサにして、ブラクリという仕掛けで狙う。

 仕掛けが着底すると瞬時にアタリがでる。やはり魚影は濃い。

 しかし、釣り上げた魚はアカササノハベラだった。

 ベラ系の魚はゲスト(本命ではないリリース対象)として、釣り人にあまり好まれない存在。釣れだすと、それしか釣れないほど群れてくるため、マイナスイメージがどうしても先行してしまう。しかし、塩焼きやフライにする手間を惜しまなければ意外と美味しい魚だ。

 とはいえ、今回私が狙っているのはカサゴやキジハタといった根魚たちだ。その後、沖へ出ても案の定ベラが湧いてしまって埒が明かない状況……。しかし、諦めずにエサを落とし込み続けていると、夕方頃ようやくカサゴが釣れだした。

 ただし、サイズが小さい……。水温が高いためか小さな個体が多く、持ち帰りサイズがなかなかヒットしなかった。同じ魚を30回釣ったのかと錯覚するほど、手乗りサイズのカサゴが釣れる。

 しかし、それでも釣りを続けていると、これまでとは違う大きなアタリが出た。ついに本命のキジハタが釣れた!

 さらにその後、本日一番大きなカサゴも追加できた。

 季節的な問題もあり、苦戦を強いられた沖釣りだったが、これで夕食の釣魚は揃ったといえよう。あとはオーナーさんがどう調理してくれるのか、わくわくしながら料理を待つ。

たった1000円で釣った魚が豪華すぎるお造りに!

 夕食は館内でいただくことに。

 調理方法はお任せ。すると、アジ、キジハタ、カサゴの3種が一皿に豪快に盛り付けられた姿造りでやってきた。

 キジハタ、カサゴはその日釣れたばかりの鮮魚。アジも活き活きしている。自分で釣り上げた日本海の幸。お造りを前に喜びがこみ上げる。

 しかも、よほどの大型魚でなければ、たった1000円で調理していただけるのだ。釣り人の皆さん、いや、そうでない皆さんも、これは頑張って釣るしかないです。

 キジハタの身は透き通るほどの鮮度。もっちりとした触感で、ハタ特有のさわやかな香りが口に広がる。小型ではあるが噛むほどに味わいがあり、高級魚であることを実感する。

 カサゴは皮目に旨味があるためか、皮も食べやすいよう湯引きされていた。コリコリした食感がいい。梅肉と合わせることで淡白な身が活きてくる。

 岩場で釣れたアジは秋の旬を思わせるほど脂が乗っており、旨味が強い。なめろうは薬味の香りが効いて好みの味だ。

 ここまで手の込んだ料理はとてもじゃないが、自分ではできない。プロの料理人の技術が遺憾なく発揮されており、普段釣っている魚種がいっそう美味く感じる。

 そこに釣りができる宿の魅力の真髄がある。プライベート釣り場で自由に釣りができるのはもちろん、宿ごとに調理法が違い、どんな料理に仕上がるのか、テーブルに並べられるまで楽しみが続く。これは普段の釣行では得難い体験だ。だからこそ、チェックインしてからはサバイバルのごとく、必死に魚をかき集めるほかない。

1人前をはるかに超えた料理がテーブル上に!

 調理してもらった釣魚に加え、ここからはコース料理の但馬牛や海鮮焼き、〆のジャンボおにぎりなど、1人前をはるかに超えたお料理がテーブルに並ぶ。オーナーさんからビールを1杯ごちそうになり、お話をしながら賞味させていただいた。

 食後はウッドデッキの椅子に腰を掛けながら、ちょい投げ釣りで魚を狙う。夜通しライトアップされているため、ヘッドライトがいらないほど明るい。

 自分で釣った魚を宿の方に調理してもらうという目的は、すでに達成していたため軽い気持ちで構えていると……そういうときに限ってアタリがでる。釣果を伸ばす秘訣は殺気を消すこととはよく言われる(信じるかどうかはあなた次第……)。

 岩場で遠投してアナゴを狙っているとこちらにも竿先に反応が出た。釣り上げてみると……。

 アナゴかと思いきや、ホタテウミヘビ。

 超熱帯夜で体力も奪われるため、アタリは続くものの、ほどほどなところで釣りを終えた。

透き通るような白さの“海の女王”

 入り江の奥に行くほど海底が見えるほど浅い。一見魚がいない気もするが、実はシロギスが砂地まで押し寄せていて、食材を確保するのに最も適した場所だとか。

 水深が深い方が釣れるという先入観で入り江の外側ばかり狙っていたが、その辺りは海藻や岩盤が多く、ウキ仕掛けでないと狙いづらい。2泊3日の間に学んだ「みたはま荘」での釣りのポイントだ。

 しかし、もう最終日……早く気が付いていればシロギスの天ぷらが食べ放題という世界線もあっただろう。

釣りも料理も宿の雰囲気もすばらしい……

 釣りもさることながら、お料理や宿の雰囲気まで全てに大満足であった。周辺地域での食事、お土産、温泉も素晴らしい。町の観光も合わせて宿泊プランを立ててみてはどうだろうか。

 季節によって釣れる魚やお料理の食材も変わるので、香美町の名物である香住ガニが獲れる時期にも訪れてみたい。

 そして、最終日。現地の名物であるイカ釣りに挑戦してみるとする。

〈 兵庫県北端の漁港で獲れる“知られざる名物”…夏の風物詩として評判の「白イカ」釣りに挑戦してみると“まさかの釣果”が! 〉へ続く

(ぬこまた釣査団(大西))

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