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伊東純也でも、三笘薫でも、久保建英でも、堂安律でもない…“史上最強”森保ジャパンで「最も目立った」意外な選手とは?《城彰二が解説》

文春オンライン / 2024年9月12日 11時0分

伊東純也でも、三笘薫でも、久保建英でも、堂安律でもない…“史上最強”森保ジャパンで「最も目立った」意外な選手とは?《城彰二が解説》

W杯アジア最終予選を戦ったサッカー日本代表 ©時事通信社

 今月5日と10日に2026W杯アジア最終予選が行われ、サッカー日本代表は中国・バーレーンと対戦。それぞれ7-0、5-0で勝利した。

 元日本代表で、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は、この試合をどう見たのか。話を聞いた。

◆◆◆

2試合とも圧勝した日本代表の課題

――W杯最終予選、中国戦は7-0、バーレーン戦は5-0と圧勝でした。

城彰二さん(以下、城) すごいね。バーレーンは前半、ブロックを敷いて日本にボールを持たせつつ、ラインの上下を細かくやって、うまくプレッシャーをかけていました。日本はボールを動かせるけど、相手の守備が厳しいからゴール前になかなか入れなかったし、連動性も欠いていた。バーレーンにうまくハメられたという感じでした。

――流れを変えたのは、どのシーンになりますか。

 後半2分の2点目ですね。日本は前半の終盤(37分)に上田(綺世)がPKを決めたので、後半の頭から伊東(純也)を入れて追加点を取りにいった。一方、相手は仕切り直して「さぁこれから」という気持ちで入ったと思います。そこで上田に2点目を取られて相手は一気に気持ちが落ちた。

 完全に集中力が切れて、徐々に体力的にも落ちてきた。中東の選手は試合に勝てないとわかると表情やプレーに表れやすい。スタンドのファンも3点、4点取られるともう帰っていましたね。

――2試合とも圧勝ですけど、課題はありましたか。

 ビルドアップのところですね。3バックの誰かがボールを前に押し出していかないといけないんですけど、バーレーン戦ではそういう選手がいなかった。うしろでただボールを持っているだけ。カウンターが怖いというのもあると思うけど、もっと持ち上がって攻撃に参加する姿勢がないと、自陣に閉じこもる相手を崩せない。

 そういう意味では冨安(健洋)とか、フィードがうまい選手が不在なのが大きいと思います。それに、もう2、3点は取れたかなと思います。

バーレーン戦で“物足りなかった”攻撃的な選手とは

――5点取れても物足りない。

 決定的なチャンスがたくさんありましたからね。特に、浅野(拓磨)、小川(航基)は、決めないといけないでしょう。途中交代で得点を挙げるために起用されていますし、集中力を欠いた相手でも普通に点を取ることが次に繋がるんです。

 小川は、中村(敬斗)のシュートを詰めて1点取ったけど、簡単なシュートを決められない。浅野も同じ。決める時に決めておかないとそのうちチャンスを失いかねない。物足りないと言えば、バーレーン戦は堂安律も良くなかった。

――確かに、前半の右サイドはほとんど機能しなかったですね。

 堂安は、コントロールミスが多くて、ぜんぜん足にボールがつかない感じだった。堂安のところに繋いでいい感じの攻撃の流れになりそうだなと思ったら、そこでミスをするので、何もなくなってしまう。この出来じゃ前半で交代だろうなと思っていたら案の定、伊東と交代した。

 レギュラー争いが厳しくなって危機感を抱いているのかもしれないけど、ミスを多発しているようだと森保一監督も起用を考えてしまう。次は巻き返してほしいですね。

バーレーン戦の後半から守田のプレーが目立ったワケ

――個々のプレーで、目立った選手は誰になりますか。

 守田(英正)ですね。後半、相手が動けず、スペースが空いてきたのもあるけど、上田との連係で崩して決めた3点目のゴールは、素晴らしかった。ワンツーを狙うタイミングが良かったし、GKをよく見て、しっかりとコントロールされたいいシュートだった。4点目も三笘(薫)からのボールをうまくコントロールして決めたし、コンディションがすごくいいんじゃないかなと思います。

――守田は前半はそれほど目立たない中、後半、動きが出てきたのはなぜでしょうか。

 前半は、遠藤(航)と横並びになって2人が一緒に前に出ていることが多く、その空いたスペースを相手に狙われてカウンターを受けていた。相手のカウンターの質が悪かったので、ピンチにはならなかったけど、それでも少し怖さがありました。

 後半は遠藤と縦関係になってバランスが良くなり、より攻撃に絡んでいくようになって、これがゴールに繋がった。守田がこれだけできるなら、枚数をかけて攻撃する際は、どんどん前にポジションを取っていいと思います。

日本代表に復帰した伊東純也と、長谷部誠コーチの存在感

――今回、代表に復帰した伊東純也のプレーは、どう見ていましたか。

 中国戦、バーレーン戦ともに途中交代で入りましたが、やっぱり存在感は大きいですね。三笘のドリブルと伊東のスピードは、相手にとって本当に脅威。2人ともカタールW杯から両サイドでプレーしていますが、単独突破だけではなく、今は周囲をうまく使えるようになって、コンビネーションのプレーが非常に良くなった。

 当時より格段にうまくなっていますし、怖い選手になっている。代表のレギュラー争いは激しいですが、伊東と三笘は鉄板ですね。

――この最終予選から長谷部誠がコーチとして参加することになりました。このメリットは、この2試合からは感じられましたか?

 選手に細かいアドバイスとかをしているようだけど、だからといってそこまでガラッと大きく変わった感じはありません。たぶん、まだ手探りの段階だと思います。あくまで監督は森保さんなので、長谷部が自分の判断だけで選手に何かを伝えることはできない。

 それは分かっていると思うので、“長谷部効果”が出てくるのは、まだ先でしょう。ただ、監督より選手に近い存在なので、選手は相談しやすいだろうし、スタッフと選手の隙間を埋める存在としても重要になっていくのは間違いないと思います。

2列目の選手のクオリティがすごく上がっている

――監督と選手の橋渡し的な役割でしょうか。

 選手は、いろんな考えを持っているけど、それをストレートに監督に言えないものなんです。でも、長谷部には言えるところがあると思うんです。

 長谷部は選手の言葉を受けてうまく噛み砕きながら監督に伝えていくことができますし、逆に監督の考えを理解して、選手にもっとこうしたらいいんじゃないかって伝えることもできるので、これから選手にとって大きな存在になっていくと思います。

 ただ、チームにはコーチがたくさんいるので、チーム内の交通整理はなかなか大変でしょうね。

――2試合で12得点無失点は、日本の強さが本物だということでしょうか。

 過去の最終予選を見ても、日本は今回ほど点が取れていない。それに今回のW杯最終予選の他の試合を見ても、どこの国も得点を挙げるのに苦しんでいます。韓国の試合を見ても、オマーン戦でソン・フンミンが1ゴール2アシストを挙げたけど、彼以外に点に絡める選手がいない状態です。

 でも、日本は中国戦こそストライカーが点を取れなかったけど、バーレーン戦では上田が2ゴール、小川が1ゴールを挙げましたし、2列目にも点を取れる選手がたくさんいる。この2列目のクオリティがすごく上がっているのが、今の日本の強さかなと思います。

――バーレーン戦の2列目は、カタールW杯の時とほぼ同じ面子ですね。

 カタールW杯の時よりも20~30%はレベルアップしています。三笘を始め、欧州の各リーグでプレーしているので、個人戦術や技術が磨かれて、洗練されている。森保さんのチーム作りは、現段階で70~80%は完成してきているんじゃないかな。中盤の構成やアジアの他国の選手の質を比較しても、ちょっと抜けていますね。

史上最強の日本代表が、世界の強豪国と戦うために必要なこと

――残りの20~30%は、どういう点が足りないのでしょうか。

 最終予選は、アジアの国が相手なので日本からすると格下になるわけです。世界の強豪国と試合した時、アジアの国と戦っている時のような高いクオリティを発揮していけるかどうか。相手に主導権を握られ、劣勢になった時、グループとして個人として、どのように対応していけるか。残りの2年間で世界の強豪国とうまくマッチメイクして、経験を積んでいければ、その差を埋められると思います。

――10月は、同グループで強敵と言われているサウジアラビアとオーストラリアとの試合になります。

 オーストラリアに関しては、試合を見たけど、かなり質が落ちたなと思います。海外でプレーしている選手も少ないですし、世代交代や代表強化など、いろんなことがうまくいっていないことが結果に表れている。対戦相手としては、そこまで怖くはないでしょう。

 サウジは、中国に苦戦したけど、最終的に10人になっても勝っているから、さすがにしぶとい。しかも格下よりも同レベルや格上との試合で良さを発揮するチーム。個々の能力も高いし、日本にとってはアウェイでの試合になるので、ここは予選を戦う上で最初のポイントになると思います。

――スタートから4連勝の可能性はありますか。

 可能性は高いですね。10月の2試合に勝って4連勝すれば、今後に向けてもかなり余裕が出てきます。最初の2試合のフォーメーションは3-4-2-1でしたが、4-3-3や4-2-3-1のシステムや新しい選手の起用のチャンスも出てくる。そうしてチーム全体のレベルを上げていくと、どこまで強くなるのか。今のところ、現在の日本代表はこれまでで一番レベルが高く、最強のチームになっていると思います。

取材・文=佐藤俊

(城 彰二)

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