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「肛門に指を入れたり、陰茎を触りました」名門・修徳のサッカー部総監督(30)が部員への不同意性交で起訴 「体育会系のノリ」という異常な言い訳の背景とは…《求刑は懲役12年》

文春オンライン / 2024年9月15日 11時10分

「肛門に指を入れたり、陰茎を触りました」名門・修徳のサッカー部総監督(30)が部員への不同意性交で起訴 「体育会系のノリ」という異常な言い訳の背景とは…《求刑は懲役12年》

修徳中学・高校のサッカー部でコーチを務めていた吉田拓也被告

「部員の1人が『(マスターベーションを)うまくできません。どうすればいいんですか?』と聞いてきたんです。私は『(陰茎を)貸してみろ。こうするんだ』と言い、肛門に指を入れたり、陰茎を触りました。……当時、私は、彼らの仲間だと思っていました」

 9月11日、サッカーの強豪校・修徳中学校・高校(東京都葛飾区)の元教師で、高校男子のサッカー部の元総監督、吉田拓也被告(30)が、複数の部員に対する不同意性交や性的姿態撮影、児童ポルノ製造などの罪に問われている事件の論告求刑が東京地裁(矢野直邦裁判長)で開かれた。

 起訴状などによると、吉田被告は男子部員を呼び出し、部員の性器を触ったり、肛門に指を入れ、前立腺を刺激し、マスターベーションを手伝うなどわいせつ行為を加えたという。さらにその様子を撮影しており、吉田被告のスマートフォンには逮捕段階で少年が映る100点以上の動画や画像が見つかっていた。被害にあった部員からは「総監督である吉田被告の要求を拒めば試合に出られなくなると思った」という証言もあったという。

 吉田被告について検察側は「総監督という立場を利用した点は巧妙かつ、悪質。被害者の部員たちは他人に見られたくない動画を保存され、保護者たちも裏切られた」「理性に期待するのは困難だ」として、懲役12年を求刑した。

 吉田被告側は、訴えられた事実を認めたが、わいせつ行為や撮影は同意に基づいていたこと、部員の体調管理が目的だったこと、悪ふざけをしたのは「体育会系のノリ」だったと、自己の性的好奇心を満たす目的としたわけではないなどと主張し、情状酌量を求めた。

「何回も裸にさせられた」「筋肉の撮影は定期的に」

 先だって、8月19日と9月3日に行われた被告人質問の中で、吉田被告は修徳サッカー部の“異様”な性モラルを証言していた。

 被害者は13歳から16歳の4人。このうち、最も被害が大きかったのがAくんだ。

 始まりは21年12月、コロナ禍以降で初めての合宿だった。サッカー部OBが筋力トレーニングで成長した話がきっかけで、A君を含む5人ほどの部員の姿を吉田被告が撮影することになった。Aくんは「何回も裸にさせられた」と警察に証言している。

 しかし吉田被告は「筋肉の撮影は定期的に行った。意気込みに面白い動画を撮ろうと言い、下ネタとおもしろい動画を撮影した」と証言した。

 翌22年8月6日は、15人ほどの部員が参加した山梨県内での合宿中、多くの部員が吉田被告の部屋に集まっていた。その中にいたAくんが「マスターベーションのやり方がわからない」「教えてほしい」という話をし、吉田被告が方法を教えることになったと証言した。

「AVの動画を見るなどして、お互いに笑いながらふざけていました」とも証言しており、18歳以下の生徒にR-18の動画を見せていたことも示唆していた。

 2日後の8月8日。吉田被告は部の施設にAくんを呼び、マスターベーションをさせて動画撮影をした。

「まずAの同級生が過激なマスターベーションをし、またマッサージ中にAの陰茎を刺激していた。その流れで、Aには『空いているからこの部屋で(マスターベーションを)したらいい」と言い、動画を撮りました」

 吉田被告はその後も、Aくんから「(部屋を)貸してほしい」と申し出があったときには貸していたという。

 23年2月にも、吉田被告は施設内でAくんのマスターベーション動画を撮影している。吉田被告によれば、Aくん側から「今日はどうですか?」と願い出たという。

 その後、Aくんは女子生徒に対して性的加害行為をし、刑事事件を起こしている。

「Aから相談を受けた。処分や進退の問題も含まれていた。A本人も保護者にも『クラブで頑張ろう』と話した。その後、『調子はどう?』と話しかけると、Aは『性的な衝動をコントロールできない』などと言っていた。私はまずいと思い相談にのった。Aは『家ではマスターベーションができない』と悩んでいたので、『したい場合は、場所を提供するぞ』と答えた。時間が経ったある日、実際にAが『貸してください』と希望してきた」

 そして23年の7月23日、吉田被告がAくんの陰部を触っている動画が撮影された。その異常な場面について、吉田被告はこう弁解した。

「そのときの動画は、前立腺を刺激する内容のものもあった。私は当時、『面白い』という認識だった。ノリだった。(動画では吉田被告がAの陰茎を触っているが)なんとかしようという思いでした。Aが『うまくできません。どうすればいいんですか?』と聞いてきたので、『貸してみろ。こうするんだ』と言い、肛門に指を入れたり、陰茎を触りました」

「陰茎を剥かないと病気になるぞ。こうやってやるんだ。教えてあげる」

 裁判の中で検察官は吉田被告に、様々なおぞましい行為が事実かどうかを確認した。すると吉田被告は「はい」とすんなり認めた。

 Aくん以外には、3人の部員が被害にあったことがわかっている。その中の1人、Bくんに対し吉田被告は「陰茎を剥かないと病気になるぞ。こうやってやるんだ。教えてあげる」と発言したという。

「コロナ禍で練習ができないときはオンラインで連絡を取っており、YouTubeでの動画制作を始めた。動画の中に『こういう角度で撮れ』などと言っている部分がありますが、最終的におかしな方向へいってしまった。児童ポルノを撮ることが目的ではない」

 吉田被告はそう証言したが、23年5月3日には野球拳をしながら服を脱ぐ部員たちの動画を撮影している。

「Bも陰茎を出し、笑っていた。私は『ちゃんと、シコっているのか?』と言いました。Bは『わからないです。やったことがないです』というのです。それで『遅いのではないか?』と私は慌てた。なんとかしてあげようと思い『シャワー室あるからやってみれば?』と言った。このときの動画は、私が教えるような内容になっている」

 Cくんが全裸の動画を撮影される被害を受けたのは、21年7月11日だった。

「Cは普段から、全裸でポーズを決める動画を撮っていた。前日の練習でも、陰茎を露出して笑っていた。このときは学校長らが練習を見にきていたので、部員たちに『お客さんがいるので、全裸にならないように』と言った。しかしCが裸になってふざけていたので『さっき、指導したじゃん』と注意した。しかしCは『すいません』と言いながら陰茎を露出していた。その後、LINEで『ONとOFFをわけてくれ』と部員たちを再度、注意した。私自身、部員たちとふざけるのは、OFFの一部だと思っていた」

 検察官に「(Cくんの裸の)動画を保存したのは、楽しむため?」と聞かれると吉田被告は否定したが、「曝け出せ、とか、一皮剥ける、とか言っていたが?」とさらに詰められ、「面白い動画を撮っているという認識だった。エスカレートした結果だ。反省している」と発言した。

 10代の少年の裸の映像は吉田被告にとっては「面白い動画」なのだろうか。

「『一皮剥けるだろう』と言った。つまり全裸になれるだろうとの意味」

 Dくんも23年8月1日に撮影された全裸の動画を吉田被告に所持されていた。

「Dの先輩は、自分から下ネタ動画を送ってくる人だった。それで先輩もしているのだから、Dもできるだろうと思い込んでいた。だから『一皮剥けるだろう』と言った。つまり全裸になれるだろうとの意味。人前で表現することは、競技の性格上、必要なこと。成長してほしいという気持ちがあった。人格を考えずにしてしまったが、要求したわけではない」

 このDくんの全裸動画撮影についても、吉田被告は「わいせつという認識はなかった」と証言した。

「当時は笑いの動画であり、(総監督という)立場を理解しておらず、笑いとして認識していた。芸人がしているもの、同級生同士がしているもの、私が関わっているものは、いずれも一緒のものだと思っていました。私は、彼らの仲間だと思っていました」(吉田被告)

 修徳高校のサッカー部では、全裸の動画がなぜこれほど気軽に撮影され、保存されているのか。

 吉田被告が中学生・高校生のサッカー部員の写真を撮りはじめたのは、吉田被告が同校で働き始めた2018年頃からだったという。当初の目的は筋力トレーニングの成果を写真で比べることだった。

 しかし2020年頃から、体にペイントを塗った写真を提出するなど、ふざけて画像や動画を送る部員が増えていった。下ネタの動画を撮影することも不自然ではなかったという。

「過激な動画の中には、全国大会後にホテルで全裸になったり、部員がマスターベーションをしているものもあったが、部員たちはそれを面白がって学校内に拡散していた。合宿でマッサージ中にも、ある生徒が自慰行為をして布団を汚したこともあった。こうした経緯もあり、(わいせつ動画を送ることの)ハードルは下がっていた。(部員も)面白がっていました」(吉田被告)

 その動画の中には、生徒が自身の性器をしごいたり、乳首を触っている動画も存在する。サッカー部の総監督であれば吉田被告は注意すべき立場のはずだが、それを問われると、驚きの証言をした。

「面白いと思った。私は点数をつけていた」

 吉田被告はその異常な価値観の背景として、自身が学生時代に体験した部活動の雰囲気にあると証言する。

「学生時代は全体の前で一発芸をしていました。流行りのアイドルグループのダンスを裸でやったりしていた。当時は、自分では面白いと思っていた。そのため、部活動のONとOFFの線引きがおかしくなっていた。犯罪になる認識はなく、生徒との距離を縮めるためだった」

「ふざけていた」「体育会のノリだった」

 修徳中学・高校サッカーのカルチャーを物語る証言も、検察官とのやりとりで飛び出している。

検察官 一連の事件のとき、どう思っていたのか?
吉田被告 ふざけるのは面白いことだと思っていた。
検察官 被害者たちは望んでいたと?
吉田被告 大声で笑っていたし、私がいないところでもやっていた。

 指導者という立場を忘れ、未成年の全裸の映像を撮影したり陰部に触れたりすることを「面白いこと」と認識し、「ふざけていた」「体育会のノリだった」と証言した吉田被告。しかし検察から懲役12年という重い求刑が出されると、明らかに動揺した。

「正直、動揺してしまい、(その後の)記憶がない。法律は裁判官が客観的に判断することです。そのため、私にできることは、本人に直接申し訳なかったと言いたいのですが、それが叶わない。(部員たちの)保護者の方や関係者の方々にも申し訳ないと思っています。刑務所に行き、自問自答をしながら、反省し、勉強し、罪を償いたい。証言してくれた友人や家族には恩返しをしたい。とにかく反省をしたい」

 体育会系の運動部の空気が、最悪の形で生徒への性加害につながってしまった事件は、いかなる決着がつけられるのか。判決は11月5日に下される。

(渋井 哲也)

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