「ギャングの親分の暗殺を命じられ…」小心者の新人警察官が映画を撮影することに? 「ジガルタンダ・ダブルX」を採点!
文春オンライン / 2024年9月17日 17時0分
© Stone Bench Films ©Five Star Creations © Invenio Origin 配給:SPACEBOX
〈あらすじ〉
1970年代の南インド。小心者のキルバイ(S・J・スーリヤー)は、警察官採用試験には合格したものの、身に覚えのない殺人罪で収監されてしまう。2年後、無罪放免と復職を交換条件に、ギャング〈ジガルタンダ極悪連合〉の親分シーザー(ラーガヴァー・ローレンス)の暗殺を命じられる。
キルバイは、名匠サタジット・レイ門下の映像作家と身分を偽り、クリント・イーストウッドの西部劇が大好きで自身の主演映画の監督を公募中だったシーザーに接近。映画の撮影中にシーザーの命を奪うシナリオを思いつく。舞台はシーザーの故郷の村。その4つの森を巡る謀略が、2人の運命を大きく変えていく。
〈解説〉
脚本・監督は『ジガルタンダ』のカールティク・スッバラージ。ミュージカルや西部劇、映画界の内幕ものなど、多ジャンルを混在させた社会派大作。172分。
中野翠(コラムニスト)
★★★★☆小心な警官とギャングの親分の奇妙な連帯。インドなので馬ではなく象に乗っての“西部劇”というのが愉快。映画愛も。
芝山幹郎(翻訳家)
★★★☆☆誇張の多い映像と音響に最初は困惑したが、実は意外にシンプルで骨太な反近代映画。異様に頑健な肺と心臓で突っ走る。
斎藤綾子(作家)
★★★★☆象を森の神と崇める民の姿。命を守る象の眼差し。ファンタジーな展開はなく驚くほど現実的。映画への愛にグッときた。
森直人(映画評論家)
★★★★☆マカロニ西部劇の濃厚なエキスをぶち込んだ格別の印度娯楽。野蛮なパワーを発揮しつつも暴力より映画の祝祭が勝つ!
洞口依子(女優)
★★★☆☆レオーネなマカロニ映画というよりサタジット・レイへのリスペクトの偉大さ。マサラ風味ギャング映画として楽しんだ。
INFORMATIONアイコン
ジガルタンダ・ダブルX(印)
9月13日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
https://spaceboxjapan.jp/jdx/
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年9月19日号)
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