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「僕は快楽主義者なのか?」“再婚発表”東出昌大(36)が不倫スキャンダル後“こうありたいな”と思ったギリシア哲学者の名前「僕はすぐ調子にのるので(笑)」《独占インタビュー》

文春オンライン / 2024年9月16日 11時0分

「僕は快楽主義者なのか?」“再婚発表”東出昌大(36)が不倫スキャンダル後“こうありたいな”と思ったギリシア哲学者の名前「僕はすぐ調子にのるので(笑)」《独占インタビュー》

©文藝春秋/釜谷洋史

〈 「住所は別々。まだ籍も入れてないですしね」東出昌大(36)独占告白120分《再婚相手・花林ちゃんのこと、不倫報道後のパニック状態》「“付き合いました#両思い”みたいな年齢じゃないので(笑)」 〉から続く

(全3回の3回目/ #1 、 #2 を読む)

◆◆◆

「はい、鹿サンド、食べてください」

 なんか肉を捌いてるな、味付けしてるな、焼いてるなとは思っていたが、気づけば熱々のおいしそうな鹿サンドが目の前にあった。鹿のもも肉を薄く切りソテーしたものが食パンに挟まっている。

 その野性味あふれる香ばしい匂いに引き寄せられたのか、東出さんの家にはどこからともなく「近所のおっちゃんたち」が集まっていた。近隣住民の大村さんも鹿サンドを頬張り、「でっくん、これ美味いよ、600円で売れるって!」と声を上げる。東出さんの自宅の持ち主という義守さんも、「でっくんが作ると、美味いんだ」と笑う。私も我慢できず、取材を中断して鹿サンドにかぶりつく。旨味がじゅわっと口に広がる。肉は柔らかく、クセもない。昨夜のシチューも美味しかったが、こちらも絶品だった。

「でっくんはここらの専属コックだから」という義守さんの言葉に大いに頷きつつ、この3年で東出さんが築き上げた人間関係について思いを巡らす。

何かを決めているわけじゃない

――自然と皆さんが集まってきて、賑やかですね。後輩女優(さいとうなり、烏森まど)さんがこちらに移住したことも含め、ここに「東出村」、「東出共同体」ができているみたいに、書かれることもあります。

「でも、助け合おうとか集まろうとか、決めているわけじゃないんです。何かを決めすぎると気持ち悪い共同体になると僕は思っていて。後輩たちの予定なんかも、僕は全然、把握していないんです。地元のおっちゃんたちの方が、把握してるくらい(笑)。おっちゃんたちはその子達の家に行って、『おいちょっと何々手伝うだ』って直にスカウトしてるみたいで。彼女たちが僕の家に来るときは、大体、おっちゃんの軽トラの助手席に乗っけられてる(笑)」

――妻の花林さんも、今は果実の収穫などを手伝っていると話していましたね。

「そうです」

――花林さんも狩猟免許を持っていますが、一緒に狩りに行くことは?

「あります。あるけど、ほとんどないですね。最初の頃は、自分も教えるってほどではないんですが、『僕の狩猟スタイルの単独忍びのような歩き方では、こういうところはつま先立ちで歩くんだよ』『こういう木の枝は踏まない方がいいよ』とレクチャーしました。でも、ある程度山を歩けるようになったら別々で行った方が獲れる可能性が高いので」

親しいからこそ、人との距離はきちんと取りたい

――そうなんですね。

「『個は個である』『各々好き勝手』っていうのがいいと、僕は思っているんです。この不便さの中に楽しみを生み出すには、なんでも自力でやった方が面白い。野菜も、木の伐採も、薪作りも。田舎は、お金はいらないです。電気代はかからない。けれども、暖を取るためには薪を割らないといけない。薪を割ってようやく暖が取れた時に、ああ、生きててよかったと思う。そうやって各々が自力で生活する中で行き会って、偶然のように合流して、一緒にぶどうをつくったり木を伐採したり……。そんな感じで、基本的にはあんまり仲良くしてないというか(笑)。ベタベタにくっついてはいないですね」

――むしろ距離があるからうまくいっている?

「僕は今、携帯を持っていないこともあって、あんまり人と約束もしないし、決めすぎることはしないんです。『こうあらねばならない』とか『なんでこうしてくれないんだ』とか、期待とか約束が裏切られると憤りになったり怒りになったりする。それもなんか煩わしいし。親しいからこそ、人との距離はきちんと取りたいと思っています」

――携帯、ないんですね。

「ガラケーがあったんですが、なくしちゃった(笑)。でもiPadがあるから必要最低限の仕事の連絡はとれるし、電子機器に頼らない生活というのも模索していきたいなと思っています」

“利他”の輪がどんどん広がり、生きている意味を実感

――来年にはお子さんが生まれますが、子育ても基本的に「自力」という考え方ですか?

「そうですね。でも自力もありながら他力に頼るところも、絶対出てくると思いますし、それが悪いわけではない」

――今回の再婚、妊娠報告に地元の方はなんと?

「すごく喜んでくれました。地域のおっちゃん、おばちゃんが、『長生きする理由ができた。だってお前ところの子ども育てないといけないもんな』と言ってくれて。気が早いけど、名前を考えてくれたり(笑)。僕は、自分のためだけに生きられるほど、この世界ってそんなに面白いことに溢れてないと思っていて。だから今回、僕らのことを喜んでくれて、……そうやって、“利他”の輪がどんどん広がっていくのを見て、生きている意味を実感しました。これを幸せって呼ぶのかなって」

――花林さんにとって初めての妊娠、出産。不安も大きいと思いますが、そういう地域の方に囲まれて、安心ですね。

「花林ちゃんも母になることについては、いろいろなことを考えていると思いますが、そういう人達に囲まれているおかげで、ポジティブにいられるんじゃないかと思います。予定日のあたりは、こっちが鬼寒い時期。出産、育児についてはあらゆる可能性がテーブルの上にあって、まだ具体的にはわからない。でも、分かんないことがいっぱいあるのは楽しみです」

こっちに移り住んでから、俳優業でぶちかましてやるぜと思える

――俳優業も段々とお忙しくなっている。こちらに暮らすようになってから、俳優業と向き合う上での変化はありましたか。

「昔、樹木希林さんとご一緒した時に、『あんた不動産やりなさい』って言われたんです。『不動産の方で生計を立てれたら、役者業でいろんな失敗もトライもできる』って。逆にそれぐらい腹が座ってないと、俳優業はきついと。東京にいた時は、仕事もあってお金も持っていても、『これで一生食っていけるんだろうか?』と不安に思うことがいっぱいあったんです。でもこっちに移り住んだ今、『俺、どうやったって生きてけるな』って思うから、俳優業でぶちかましてやるぜと思える。実際に、力もついてきたかなと思います」

――樹木希林さんも、「役者は生活を大事にしなければいけない」というようなことをよく仰っていた。

「名優と呼ばれる人たちはみんな、生活を大事にしてるので。名優になるためにではないんですけれども、僕もやはり豊かな人生にするために、生活を充実させたいなって」

――こちらの生活を充実させるために、何か考えていることは?

「食品衛生管理者の資格を取ろうと思っています。いつか飲食、やりたいですね。ジビエ肉って一般の人にとっては、とっつきづらいと思うんです。クセがあるとか、調理が大変だとか。でも、うまく調理すればめちゃめちゃうまいので。野生肉はうまいっていうことを知ってもらって、そこから自然に興味を持つ人が増え、ひいては環境保護に繋がったらいいな、と。そういう啓蒙も兼ねて」

 気づけば青空の下のインタビューは2時間を超えていた。「午後から雨」の予報とは裏腹に空は晴れ渡り、時々心地よい風が吹く。焚き火の始末をしながら、「そういえば」と、東出さんが思い出したように言った。

「 米田さんとのクマ対談 の時に、『奥山放獣をしたいなら、麻酔銃を扱う資格を取った方がいいよ』と言われたじゃないですか。実はそれをうちの猟友会の支部長が取って。今度、僕も取ります。だから、奥山放獣できるようになりますよ」

 奥山放獣とは、ツキノワグマが個体数を減らし絶滅の危機に瀕していた頃、NPO法人日本ツキノワグマ研究所理事長の米田一彦さんが行っていた、人里に降りてきたクマを殺処分するのではなく、麻酔で眠らせて山奥に返すという保護活動だ。

「このあたりでも、最近よくクマが人里に降りてくるんです。でも、猟友会のおっちゃんたちも言っているのですが、クマの頭数自体は減っていると思う。山奥に食べ物がないんです」

 東出さんはあの対談で得たものを、ここでの暮らしで生かそうとしていた。それがなんだか嬉しい。

「どんな家庭を築いていきたい?」と尋ねると…

 最後に「ここでどんな家庭を築いていきたいですか」と東出さんに尋ねると、笑顔でこう答えた。

「目標とすることはいっぱいあるけれど、それに縛られて、ストレスを抱え、喧嘩するようなことはしたくない。あとは、僕はすぐ調子にのるので(笑)。自分が間違ってるという前提のもと、人々に教えを請いながら日々を過ごしていきたいなと思っています」

 インタビューを終え、キャンプ場の子供たちと合流すると、上の子どもが泣き叫んでいた。ママがいなくて寂しかったかと思って近づくと、「帰りたくない! 帰りたくない!」と喚いている。そんな子供を、東出さんはそうか、そうか~と抱きしめる。

「またおいで。今度来たら山を案内するね。こーーーんなに大きいイノシシがいるから!」

 そう言う瞳は子供のように輝いている。近所のおっちゃんたちも、「ほら、魚、見に行こう」「ジュース買ってやる。リンゴがいいか?」「ブドウ持って帰れ。ここではブドウはもらうもんなんだ」「また来るだ」と、総出で子供をあやしてくれる。なるほど、きっとこんな感じで後輩の方々も心を掴まれたのだなと感心しながら、私も次の休みの予定は……と頭の中でカレンダーをめくっていた。

東出さんから出された“宿題”

 カメラマンも帰り、おっちゃんたちもめいめい仕事に(?)戻り、さあ私たちも東京に帰ろうという時、東出さんはうんと大きな伸びをして、「芝居、頑張ろう!」と大きな声で言った。その時ふと、1年前に東京駅の新幹線の改札前で初めて東出さんと会った時のことを思い出した。初対面のあの時、東出さんの身体は今よりも細く、雑踏の中に身を隠すように、無意識に猫背がちだった気がする。挨拶した時の表情にはまだ少し陰りがあったし、目には少なからず警戒心が宿っていた。

 けれど、目の前の東出さんは「この生活をしていたら自然にそうなった」という、一回り大きくなった体を思いっきり広げ、晴れやかに笑っている。その姿は秋田県の山の中で見たクマみたいに生命力にあふれていた。

 取材の終盤、東出さんはこんなことを口にしていた。

「僕は去年のクマ対談で半日を過ごす中で、記者さんのことを信頼できると思ったから、こうしてインタビューを受けました。でも、こうやって質問にいくら答えたところで、僕の今の状況は明確に伝わらないと思う。記者さんが僕と過ごした時間の中で感じたこの情景、景色、義守さんの笑顔、大村さんが昼から酒飲んでること……。それを記者さんの言葉でエッセイのように書いてくださったら、そっちの方が今の僕を明確に伝えられる情報だったり、それこそがジャーナリズムだったりするのかなと、僕は思ったりします」

 大変な宿題を出されてしまった。いや、挑戦状? そういうわけで、 雑誌記事 とは別に、記者によるエッセイ+ロングインタビューという形で、オンライン特別版のこの記事を書かせていただくことになった。

「快楽主義者」なのか?

 そして私は今、岩波文庫『エピクロス 教説と手紙』を読んでいる。ギリシアの哲学者で、人間にとっての最高善の快楽は精神的な快楽であるとした「快楽主義者」。その精神的快楽とは、人間の欲望のうち、「自然で必要な欲求」だけを追求し、「平静な心(アタラクシア)」を得ることにあるとしている……。と、なんでこんな本を読んでいるかと言うと、インタビューの前日に焚き火を囲んでいる時、東出さんがワインを飲みながらこう話していたからだ。

 

「スキャンダルがあって、『東出は快楽主義者だ』と言われた時に、僕は快楽主義者なのか?と思って、エピクロスの著作を読んだんです。そこに、『水とパンで暮らしておれば、わたしは身体上の快に満ち満ちている』『チーズを小壺に入れて送ってくれたまえ、したいと思えば豪遊することもできようから』と書いてあって。それを読んで、こうありたいなと思ったんです」

 東出さんは山の自然、動物たち、そしてここで出会った人々との交流の中で、今の彼の人生における「水とパン」を見つけたんだろうなと思う。花林さんとの再婚も、この生活を享受する者同士、「自然で必要な」成り行きだったんだろう。そうやって自己充足している東出さんに対して過去のスキャンダルを引き合いに、「なんでお前が……」と声を上げる人もいる。けれど、今や「アタラクシア」状態の彼は、誰が何を言おうが、炎上しようが、揺るがないのだ。

(「週刊文春」編集部/週刊文春Webオリジナル)

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